日本の司法を考える会 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

私が出席する会合の中で一番特異な会が、「日本の司法を考える会」である。


週間金曜日という辛口の雑誌に記事が掲載されているが、政治資金規正法違反や収賄事件等で有罪判決を受けた著名人や冤罪被害者の方々を講師に招いて、被告人や被疑者あるいは受刑者になった人の目から見た検察捜査や警察捜査の問題点、あるいはこれらの根底にある現行の司法制度や裁判制度の欠陥などについて意見交換する場となっている。


おそらくこの会で語られている内容は、日本の刑事司法を考える上で最高水準のものだと思う。

昨日は、狭山事件で無期懲役の実刑判決を受け、現在仮釈放中の石川一雄氏から直接話を聞くことが出来た。

部落解放同盟が支援グループの中核を担っており、狭山差別裁判、などというおどろおどろしい名前でアピールされてしまうと、私たちとは別世界のこととしてつい目も耳も塞いでしまうが、警察における捜査の過程や裁判の経過などを詳細にお聞きすると、これは法律家としてとても看過してはならない重大事件の一つであることが分かってくる。


右とか左といった政治的な立場やイデオロギーを超えたところで自由闊達に意見交換がなされているのが、この会の特徴である。

この会の主宰者は、参議院のドンと言われた村上正邦氏。

完全な右派の政治家である。

KSD事件で有罪の実刑判決を受け、刑務所に1年余り収監されて昨年秋仮釈放となり、最近刑期を終えたばかりである。


裁判では、自分の訴える真実の声がまったく通らない。

検察官は自分達の作ったストーリで無理に事件を作る。

被疑者だけでなく参考人、証人を含めての取調べのすべての過程を録音、録画しなければ真実が捻じ曲げられ、冤罪被害を作り出してしまう。

裁判官は検察の言い分を鵜呑みにして、被告人や弁護人の言い分に耳を傾けようとしない。


などということを、村上氏は自分自身の体験を通じて肌身に知ったようである。


右とか左というイデオロギーや政治的立場に左右されないで、日本の刑事司法の在り方を根本的に考える機会を提供してくれる、という意味で、この会は、日を追うごとに私にとって大事な会になってきている。

いつの間にか、私がこの会のメインゲストの一人となっている。


冤罪被害を根絶するためには、取り調べ過程の全面的可視化や被疑者の弁護人に対するアクセス権の保障、さらには弁護人の弁護権行使の実質的保障が必要であり、受刑者に対してはすべての証拠へのアクセス権を認めるべきである、などということが、この会で語られ始めている。

いずれも、立法府である国会が解決しなければならない大事な課題である。


今日、臨時国会が開会されたが、現職の国会議員には裁判官や検察官、あるいは弁護士出身の国会議員はいても、被疑者や被告人、受刑者、あるいは冤罪被害者の視点で、具体的かつ実務的に物を考えることが出来る法曹資格者は少ない。


そう言えば、今日、司法改革人生フルコースさんとばったり有楽町線の池袋駅で会った。

大きな転機を迎えるときには、何か不思議な出会いがあるものだ。

現役の弁護士であり、元法務大臣政務官、元衆議院議員である私の仕事はこれから始まる、というところだろうか。