小沢氏不起訴確率論をさらに敷衍する | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

私は、世論調査は絶対に無視していけないと思っている。

無作為に抽出されて選ばれた人々の意見は、実に民意を反映している。


私が小沢氏の政治資金規正法違反事件の今後の展開について確率論を持ち出してみたのは、政治と同様にひょっとしたら司法も予測可能ではないか、と思ったからである。

経験則という言葉でくるんでしまうが、経験則には何かの裏づけがあるのではないか、経験則を数値化できないか、というのが私の問題意識である。


小沢氏の政治資金規正法違反事件で検察審査会が起訴相当と議決する確率は相当高いと私は判断していた。

8割以上は起訴相当になるのではないか、そんな見当だった。

何故私が直感的にそう思ったのか、という部分が問題である。

私の法曹実務家としての経験や勘、といったものだ、とこれまでは説明したと思う。


なかなか合理的な説明の方法がないから、少し自分を茶化して、当たるも八卦当たらぬも八卦、などと言っておく。


私が確率論を持ち出してみたのは、11名の検察審査会の審査員全員が起訴相当と判断したことが衝撃的だったからである。

11名の検察審査会の審査員全員がまったく白紙の状態で、いわばあてずっぽうに0と1の数字しか出ないサイコロを11回振って同じ0が出る確率は、いったいどのくらいなのだ、という素朴な疑問が私の今回の問題提起である。


2の11乗分の1、というとてつもない数字になった。

とりあえずはその驚きを皆さんに紹介しておいた。


幸い数学に明るい皆さんから即座に反応があった。

マスコミの報道ですでに小沢悪人論が世間に流布、浸透しているから、検察審査会の審査員の判断はこれに流されてしまっている。

8割以上の国民が小沢幹事長辞任を求めているようだから、起訴相当になる確率は8割程度になるはずだ、などという議論があった。


なるほど、と思いながら、でも、11名全員が起訴相当と判断しているんですよ、これをどう判断したらいいんでしょうかね、と質問しようと思っていたら、別の方が母集団の話を持ち出してくれた。


8割の方が起訴相当と思っている母集団から無作為で11名を選んで議決をしたときに11名全員が起訴相当になる確率は、約8.6パーセント、0.085899345/1ということである。

これもなるほど、という感じがする。


ところで、私が、事前に検察審査会が全員一致で起訴相当の議決をする確率をどの程度と読んでいたか。


直感的だが、1割から2割の間かな、という感じだった。

どうやら、私が直感的に想定した検察審査会の審査員を無作為で抽出する母集団は、約8割が起訴相当と考える集団だったようだ。


もっとも、私は、不動産の取得登記の時期をわざわざ翌年にずらしていること、後日陸山会と小沢氏の間で当該不動産が陸山会の所有であり、小沢氏個人の所有物件ではないとの確認書を日付を遡ってまで作成するという偽装工作をしてしまっていること、一部、見方によっては小沢氏と秘書との間の共謀を認定できるような供述が関係者から得られているらしいこと、などから、いやいや、全員一致で起訴相当になる確率は3割から4割ぐらいだぞ、などとも考えていた。


仮に3割程度のの確率で11名の全員一致で起訴相当の議決をするような母集団は、どういう集団か。

数学に明るい人に計算してもらいたいが、多分9割が起訴相当と考える集団である。

0.9の11乗が私の計算では、0.313810596となる。


それでは、2回目の検察審査会の議決はどうなるか。

私は、1回目の議決に影響されるのではないかと想定してみたが、ここは母集団の属性に基づいて計算した方が適当だろう。

11名の中で5名が交代し、前と同じ属性を持つ母集団から無作為で新たに5名の審査員が選ばれる。

その母集団は、8割から9割が起訴相当と判断する属性を持っている。


ということになると、2回目の議決がどうなるかは自ずから予測できる。


司法も決して予測不可能ではない。

先を読んで、出来るだけ賢明な措置を講じてもらいたい。

これが、私の趣旨である。


民主党の関係者の皆さん、どうぞよろしく。