子ども手当てと戸別所得補償は民主党が衆議院選挙で地滑り的勝利を得た目玉商品だが、本気でこれらの商品をいつまでも売っていてもらっては、日本が疲弊する。
どうしても政策転換をしてもらわなければならない。
平成22年度の予算は政権交代の直後の予算編成なので、直ちに政策転換を打ち出したのでは、嘘吐き、と多くの国民から軽侮の声が上がるだろうから、当面は公約実現、公約実行を謳わざるを得ないだろうが、やはり無理なものは無理、思ったほどの効果が上がらないことが見えたら、さっさと引っ込めることだ。
君子は豹変する。
立場が違えば、風景も違って見えるものである。
日本の経済が漫然と衰退への一途を辿ることがないよう、国際経済が成長、拡大する方向に舵を切り替えることがいい。
若い方々の雇用の場をいつまでも国内にのみ求めていたのでは、人口減少と高齢化、さらには若年労働者の可処分所得の減少傾向が続き、消費が縮小している日本で就業の場を見い出すことはますます難しくなる。
子ども手当ての支給を始めたからといって直ちに日本の人口が増加するわけではなく、特別の需要を創出するわけでもない。単なる所得移転効果があるに過ぎない。
やるなら所得税の減税であろう。
これなら、子ども手当てのような新たな給付金の支給手続きの実施に伴う事務経費がかからない。
しかし、今所得税の減税を実施できるような財政状況にないことは、皆分かっていることだから、無理はしない方がいい。
需要創出効果、経済成長効果が上がりそうなのは、やはり法人税の減税だろう。
国際競争力を維持するために世界の国々は企業活動に係る税金等の負担を出来るだけ軽減する方向に向かっている。
税金や社会保険料等の企業負担がより低いところに企業は流れていく。
これが他の条件が同一であったと仮定した場合の、自然の摂理である。
このままでは、日本の経済が空洞化していくかも知れない。
日本経済の空洞化を食い止めるために、法人税の減税は一定の効果があるだろうと思う。
日本の研究者や技術者の研究開発力や技術力の高さ、日本の教育力の高さに起因する労働力の質やその均質性、さらには道路や空港、港湾等の社会インフラ、そしてこれらにあいまって国際水準と比較して決して重くない法人税の負担等が実現されれば、世界の企業を日本に呼び込むことが出来るはずだ。
これまではどちらかというと企業を日本から外へ追い出すような政策を志向してきている。
日本国内における生産活動を呼び込む方向に政策転換すれば、ガラッと日本の経済は上昇方向に転じ、雇用の場も拡大していくはずだ。
まずは景気だ、とぶち上げていた麻生内閣の政策を遠慮なく取ってしまえばいい。
それが国民の生活を守る一番いい方策だと気がついたら、さっさと政策転換することだ。
なにしろ、国民の生活が一番、と主張してきたのだから、細かいことには拘る必要はない。
過ちを改むるに憚ること勿れ。