2年間で200回以上。
守屋次官がゴルフ接待を受けた回数ではない。
姉歯の耐震偽装事件が発覚し、購入早々の新築マンションから退去を余儀なくされてから、耐震改修工事を終えて再入居するまでに開いたマンション住人の皆さんの会議の回数だ。
平成17年の11月に姉歯一級建築士が耐震強度を偽装した構造計算書を作成していた事実が発覚した。
震度5クラスの地震で倒壊する恐れのあるマンションが建設されていた、というニュースは、多くの集合住宅居住者を不安の只中に叩き落した。
人生の最大の買い物であるマンションに住めなくなる。
建物を取り壊して再建築するためには、莫大な費用がかかる。
ローンの支払いもしなければならない。
当面、どこに住まいを見つけたらよいか。
戸惑いばかりがあったと思う。
現実に再入居を果たすまでは、不安の日々であったと思う。
この不安な2年間を見事に乗り切ってこられたのが、横浜鶴見の「コンアルマーディオ横濱鶴見」の住人の皆さんである。
昨日、自民党の耐震偽装問題対策ワーキングチーム事務局長の牧原秀樹議員と、「コンアルマーディオ横濱鶴見」を訪問した。
当初は若宮健嗣議員も参加する予定だったが、突発的に行事が入り、キャンセル。
座長の私と事務局長の牧原議員、地元選出の小此木八郎衆議院議員の秘書の3人とそれぞれの事務所関係者で耐震改修工事の現場を視察し、お話を伺った。
お会いしたのは、耐震改修工事の設計・監理を担当された㈱KR建築研究所の服部範二所長、工事を施行された㈱紅梅組の金泉隆介会長はじめ担当者の方々、そしてマンション管理組合の横山富夫理事長外の理事及び住人の方々。
様々な条件に恵まれてはじめてこの耐震改修工事が完成に至ったことが分かった。
そもそも耐震強度がこのマンションは、0.5以下ということで解体撤去が求められていたのである。
耐震改修工事で強度不足を補えるのではないかと直感した建築士がいなければ、耐震改修の検討はされなかったであろう。
横浜市の担当者がまさに寝食を忘れて誠実に対処したから、結果的に住人が行政を信頼した。
横浜市がいい加減に対処していたら、とても住人の信頼を得ることは出来なかったであろう。
横浜市の斡旋と支援で住人の相談役を引き受けた熱心で有能なコーディネーターがいなかったら、住人は結束を維持できなかったかもしれない。
住人の様々な意見の調整に当たった管理組合の理事の存在も大きい。
よくぞ15戸の住人の多様な要望を一つに纏めたものだ。
横浜市が管理組合の議事録作成などの細かい事務支援をしなければ、様々な書類の作成や提出が遅れ、住人の話し合いも纏まらなかったかもしれない。
よくそんな細かいところまで手を差し伸べたものだ。
さらには、学校等の公共建築物について豊富な経験を持つ一級建築士がいなければ、耐震補強工事の具体的な設計プランが出なかったかもしれない。
施工工事を担当したヒューザーが耐震補強工事に十分対応できるだけの良質なコンクリートの打設を行っていたことも大きかった。
建物の前後に、1メートル75センチほどの耐震補強壁の増設が可能な敷地と、補強工事の足場を組めるだけの広い敷地があったことも重要である。
一つの良い結果が出る背景には、実に様々な要因がある。
そのことが本当に分かっているのは、当事者だけ。
その当事者の管理組合の理事の方から、私たち自民党の耐震偽装問題対策ワーキングティームに対して、次のような言葉があった。
「ワーキングチームの皆さんが私たちの要望を見事に自民党の提言の中に書いてくれたから、細かいところまで実に行き届いた支援を受けることが出来ました。
市役所の対応が悪いと相談したら、すぐ横浜市に連絡していただき、その直後から市の対応が変わりました。
なんでも相談できる。どんなことでも聞いていただける。
それだけで、私たちの大きな支えになりました。」
自民党の耐震偽装問題対策ワーキングチームが発足したのが、丁度2年前である。
当時、年末年始を返上してこの問題に取り組んだ。
事務局長の牧原秀樹議員がいなければ、とうてい出来ない仕事だった。
月曜日には、中間提言を出したい。
現地視察を土曜日、日曜日に終えて、その結果をすぐ纏めたい。
そんな私の無理な注文に、夜を徹してまで答えてくれたのが、牧原議員である。
管理組合の理事の相談に乗っていたのも、横浜市に電話をしたのも全て牧原議員。
任期付き公務員として経済産業省に奉職した、弁護士らしい見事な仕事ぶりである。
しかも、彼は、ニューヨークの弁護士資格まで持っている。