福岡ぐりむ療育とピアノと学習の教室です。別ブログやXの過去記事にコメントを加筆して書いていっています。

 

2018年のポストです。

 

DQ65発語なしの3歳さん。

引っ越してみえたばかりで知らない土地での療育探しは、さぞかし不安だったことと思われます。

 

おじいちゃんおばあちゃんが、ぐりさんの教室をみつけてくださったとお聞きして驚くやら感激するやら。

おじいちゃんおばあちゃん、といってもお若いのですが、現役子育て世代の上の世代にご理解をいただけて本当に嬉しく頼もしいと感じたことを覚えています。

いまも時々、わざわざ足を運んでくださり、楽しくお話を交わさせていただくことのある ご家庭です。

 

 

就学前までは、園を早退して遠方より足しげく通い詰めてくださいました。

そして、本当によく泣いていらしたお母さんでした。

 

反応が薄いお子さんで、お母さんともまったく目線が合わず、最初の頃は いつも帰り際にお母さんが「楽しかったねー」「また来ようねー」と呼びかけながら、目にいっぱいの涙を浮かべておいでだったのを覚えています。

 

思い描いていた子育てとは大きく異なり、不安と戸惑うことの連続。

 

「『軽度知的』の診断に、やっぱりかという気持ちと、なんで?という気持ちと、それからあとはよく覚えていません」

 

と、お母さん。

 

愛しさと、切なさと、虚しさと、時にはなんだかよくわからない腹立たしさと、やるせない思いとが交錯する日々。

どうにかしたいという想いと、どこで何からどのようにすればという焦りから、いつしか周りに懐疑心や嫌悪を抱くようになられ、それが拒絶につながってもおいででした。

 

 

 

とっかかりや原動力なんて、最初はなんでもいい。

続けた先に道は開けるのです。

 

 

 

発語のない生徒さんのレッスンは、かなりのパワーを必要とします。

ぐりさんは本気だからさ。

 

お返事の意味もわからない、指差しもない、『コレ』もわからない、これ何?の『なに』の意味がわからない・・・

まずはゼロに近づけていく作業からのスタートから3ヵ月ほどで、手を挙げる動作や選んだり指をさすことを覚えました。

 

エコラリアが増えてきて、それも通過点のひとつとして十分な手ごたえ。

1年ほどで、ご家族の間では やりとりに困らない程度になりました。

 

たどたどしくも『ぞうさん』や『チューリップ』などを歌う姿は愛らしく、ピアノもよく練習してきました。

さようならのご挨拶をしてから「がんばったー」と、お母さんに伝えて「ほんとー、すごいねー」と、手をつないで嬉しそうに話しながら歩いて行かれる親子の後ろ姿に  ぐりさんも疲れが吹っ飛びます。

 

なんてことない、ごくごくありふれた光景なのかもしれませんが、それさえも叶わないご家庭はたくさんあります。

せめて、なんらかの形で意思疎通できることから始め、親子で通じ合う喜びを味わっていただけたらなと思っています。

 

 

熱心に通ってみえられて、軽度から境界域、標準へと数値的にはグングン上げていきました。

もう一度書きますが、数値的にはです。 二回書きました、はい。

 

数値は単に結果的なことだと考えていますが、一時的なDQ100越えで安心してしまわれるご家庭は驚くほど多いです。

 

自閉は『よくなる』というのとは異なります。

 

そこまでさえも大変な道のりなのですが、そこからも大変さは続きます。

成長とともに特性は変化もしますし崩れもします。

それにともなうトラブルやメンタル面にも注意を払う必要があります。

 

それでもペースを落とさず、全力疾走をやめないお父さんお母さんには本当に頭が下がります。

 

そして、通常学級での入学は本当に勇気のいるご決断だったことと思います。

それに向けてのレッスンと、その後のレッスンはSNSにはあげられないほどの頑張りで、それは3年生になった今でも続いています。

ちょっとこのお母さんのような真似はなかなかできないなと思います。

 

担任の先生にも恵まれ、クラスにも馴染み、驚くような嬉しいエピソードもいくつか経験できました。

それは、やはりお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんのお人柄あってこそだと、ぐりさんは思っています。

 

先日、3年生になった生徒さんが、うまかっちゃんをご両親と自分のぶんを作ったと嬉しそうに話してくれました。

それまで何度か失敗したことも聞いていたので、ぐりさんも一緒になって喜びました。

お父さんもお母さんも、きっと忘れられない思い出のうまかっちゃんの味になったのではないでしょうか。

 

そんなこともできるまでになりました。

 

これから先、あぁ、コレをこの子が一人でできてくれたら助かるなーって思われるシーンはいくつも出てくるでしょう。

そんなときに、『よかった』と思っていただけるような取り組みも心掛けています。

 

レッスンは、一般的な療育といわれているところとは、趣旨も指導内容も全然異なります。

 

 

行動を起こさない人は「いいよねー」というかもしれません。

行動を続けられなかった人は「やってもムダ」というかもしれません。

 

成功している人は、成功するまで続けているのです。

自転車も乗れるまで練習したから乗れるのですし、

おみくじだって大吉がでるまで引き続ければいい笑

 

その過程を笑う人、妬む人、いろいろいわれることもあるでしょうが、たどり着いたら素晴らしい景色が広がっていて、素晴らしい人たちとつながれます。

 

とかいって、

 

西遊記みたいに実は ほんのちょっとしか進んでなくって、まだまだ長い道が続いているかもしれませんが笑

 

でも、そこまで行けたスキルとパワー、思考と習慣は備わっているので、それから先の積み上げ方も身についているはず。

 

正しい場所で、正しい方向で、十分な量なされた努力は裏切らない by林修

 

 

「先生、いまなら信じられます。思ってもみなかった生活はありますね」

お母さんの言葉です。

ありがとうございます。感謝に堪えません。

 

さぁ伸びてしまえ!!