賃金下落・大不況期並み アベノミクスのこと | 群青

賃金下落・大不況期並み アベノミクスのこと

国会で統計不正審議でも、何処吹く風とニヤケるメンバー。
 


 

さて本題。
経済アナリシストの中原圭介さんからです。2月5日。
久しぶりに読み応えある経済論評ではないかと思います。
東洋経済やダイヤモンド社の経済分野に寄稿の多い方のようです。

 


 

 

同時進行で、2018年の賃金調査・賃金改ざんが国会論議となっています。
でも、中原圭介さんによると、問題の「本質」はそんなところにあるのでは無い。
アベノミクス以降の実質賃金、すなわち2013年以降の実質賃金がどのように推移してきたかという長期間の経緯をみて下さい・・・というもの。

多少長いですが、URLから本文をどうぞ。
下には、一部を抜粋しておきます。


■ 衝撃! 日本人の賃金が「大不況期並み」に下がっていた ~アベノミクスとはなんだったのか…~ 中原圭介2019.2.5

 

(一部抜粋)

▲2013~15年に「リーマン級」にまで暴落していた

名目賃金は2000~2004年まで大幅に下がり続けた後、2006年までは小幅な上昇に転じたものの、リーマン・ショック前後の2007~2009年に再び大幅に下がり、その後の2017年まではかろうじて横ばいで踏ん張っていることが見て取れます。

 

・・・・ 2016~2017年の名目賃金は2年連続で小幅ながらも増えているので、政府によって「賃金はいよいよ上昇トレンドに入ったのだ」と力強く語られるのは致し方ないのかもしれません。しかしながら、物価の変動率を考慮した実質賃金の動きを名目賃金に重ねて眺めると、政府の主張が明らかに間違っていることがすぐに理解できるようになります。

・・・・ そのように容易に理解できるのは、実質賃金は2000年以降、名目賃金とほぼ連動するように推移してきたのに対して、2013年以降はその連動性が完全に崩れてしまっているからです。2013年以降の5年間の実質賃金の動向を振り返ってみると、2013年は0.8ポイント減、2014年は2.6ポイント減、2015年は0.9ポイント減と3年連続で減少を続けた後、2016年には0.7ポイントの増加に転じたものの、2017年には再び0.2ポイントの減少へと逆戻りしているのです。

・・・・ ここで注目したいのは、日本は2012年12月から戦後最長の景気拡大期に入っているにもかかわらず2013~2015年の実質賃金の下落幅累計して4.3ポイントにまでなっていて(※厚労省の当時の統計では4.6ポイント減/2015年=100で計算)、その下落幅というのは2007~2009年のリーマン・ショック前後の5.2ポイントに迫っていたということです。そのうえ、2014年の2.6ポイント減という数字は、2008年の1.9ポイント減や2009年の2.2ポイント減を上回り、2000年以降では最大の下落幅となっているのです。


▲景気は国民の実感のほうが正しい

・・・・ 私の試算では、2013~2015年の実質賃金の下落幅4.3ポイント減のうち、輸入インフレの影響は2.5ポイント減、消費増税の影響は1.8ポイント減となっているのです。

その結果として、2014~2016年の個人消費は戦後最大の水準まで減少することになりました。

円安インフレによりガソリンや食料品など生活に欠かせない必需品ほど値上がりが目立つようになったので、多くの家庭で財布を握る主婦層はそれらの必需品の値上がりには敏感に反応せざるをえず、ますます節約志向を強めていくことになったのです。

 

実質賃金と個人消費のグラフを重ねて相関関係

 

 

・・・・ 実質賃金が大幅に下落した時にのみ個人消費が減少するという傾向がはっきりと表れています。とりわけ2013年以降は名目賃金と実質賃金の連動性が逆相関の関係になったことにより、かえって実質賃金と個人消費の関係がわかりやすくなったというわけです

・・・・ 経済学者も経済官僚も「名目賃金が国民の生活実感に近い」という間違った常識を改める必要があります。そのうえで、いかに実質賃金を上昇させていくのかという発想を取り入れて、国民の生活水準の向上を考えていかねばならないのではないでしょうか。

▲国民の8割はアベノミクスの蚊帳の外にいる

・・・・ 安倍晋三首相の言う「平均賃金」とは名目賃金のことを指しており、「史上最高の賃金上昇率」とは連合の発表している数字を根拠にしています。

・・・・ おまけに、連合に加盟している労働者は日本の全労働者のわずか12%にすぎず、労働組合がない圧倒的大多数の中小零細企業の労働者は含まれていないので、史上最高の賃金上昇率は一部の大企業の正社員に限定されて行われていたと言っても差し支えはないのです。

 

▲不正統計があぶり出した「実質賃金の真実」

・・・・ アベノミクスの最大の問題は、政府が国民に対して名目賃金(とりわけ大企業の賃金上昇率)の成果ばかりを強調し、実質賃金にはいっさい触れてこなかったということです。

さらにひどいことに、安倍首相は「勤労統計の伸び率のみを示して、アベノミクスの成果だと強調したことはない」「連合の調査では今世紀最高水準の賃上げが続いている」2月1日の参議院本会議で答弁しました。連合に加盟しているのは大企業ばかりで、その賃上げ率を日本全体に当てはめて説明している首相の姿は、あまりに国民の暮らし向きに鈍感ではないかと感じました。

・・・・ それに加えて、名目賃金にしても実質賃金にしても、調査の対象は「事業所規模5人以上」となっているので、零細企業は調査対象外となっており、実態を正確に反映しているとは言えないところがあります。零細企業は中小企業よりも財務的にも経営的にも行き詰っているところが多く、零細企業を調査対象に入れれば、実態はもっと厳しい結果が出るはずだからです

・・・・ 政府には「国民の暮らし向きは良くなっていない」という現実をしっかりと直視してもらったうえで、国民の暮らしが良くなる経済政策や社会保障制度を構築することに期待したいところです。

 

 

●中原圭介さんの分析に感謝します

中原圭介さんにより、ものの見事に長期的な賃金・景気を分析して頂きました。

SNSの上では、既に「実質賃金の移り変わり」を少しだけ紐解いてくれる方が増えました。
消費税8%への増税を経て、さらに、可処分所得を減らす社会保障関係の負担増加も安倍政権はやってきましたから、実質賃金の方が国民の暮らし・支出の正確なところが表現出来るからです。
政府賃金調査そのものが、4人以下の零細企業の賃金を調べていないこと。確認させて頂きました。
「国民の暮らしは良くなっていない」・・・・。
連合加入のところを孫引きしての安倍アベノミクス自画自賛は、真っ赤な嘘だという訳です。
世論調査で国民が優先して望むのは「経済・景気」です。
ややっこしい右だとか左だとかでは無いです。
敢えて言うならば、トランプ大統領から戦闘機爆買いに勤しむため、国民の暮らしが如何にも良くなっていると、財布の余裕をみせたい安倍。
国民の暮らしに関心を寄せない安倍政治は、ご免被ります。


 

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