諸君、ご壮健かな。
さて、次にやってきた座標。
誰もいない商店街。
誰かがいるべき空間が、ここまで無人だと本当に寂しい。ここに次のマンホールカードがあるというのだが…。
案内によるとここ。本当にここに…。恐る恐る入港してみる。
あ。
控えい、控えおろう!と言いたげなマンホールカードのレプリカ。まだ少し訝しい静寂ではあるが。
数段上った途中にも。
ひかえおろう。
よし、これなら安心だ。
マンホールカードの旗も勇ましくたなびく。
シャア!「マンホールカードありますか」
店員「はい」
音楽も鳴らない店内で、静かに響くやりとり。この死合を超え、空間を制したのだよ、アムロ!
ブラックジャックに寄り添うピノコ。
すれ違う2人が、懸命に難病の患者に相対する。今まで意識しなかったが、感染症の拡大に手探りで立ち向かった医師たちに、首を垂れる。
漫画を執筆しながら医師免許をとったという手塚治虫。それは医療漫画を描くのに際し、医師に対する最大の敬意なのかもしれない。
それではマンホールを探しに行こう。
ここだろうか。
物凄く寂しい通り。
昔ながらの商店街を歩く。あるのか?本当にこちらの座標に。
あ!ナショナル坊や!
松下電器(現パナソニック)の店舗には必ずあった人形。懐かしい、そんな気持ちにさせる街。
あ、あれは…。
あった。
人が並ぶ停留所にいる2人。人知れず闇で、命を救おうと奮闘した彼らが、多くの生活者の足元にいるのが少し嬉しい。
(つづく)