イッツ・オンリー・ロックン・ロール | ギターよ、熱く語れ!

イッツ・オンリー・ロックン・ロール

1963年、社運を掛けミュージック・シーンへと大きく羽ばたいて行ったものの、ギブソン社の期待を大きく裏切る低セールスを記録してしまい、閑古鳥と化してしまったファイヤーバード。そして運命とは、なんと容赦なく残酷なものなのでしょうか。既に虫の息であったファイヤーバードを、更なる不幸が襲います。フェンダー社から、      

「ボディ・バックのコンター加工が、ストラトキャスターの特許に抵触する」

というダメ押しを食らわされたのです。この一撃で火の鳥は完全に鎮火されてしまい、誕生から僅か3年という短期間で、地球上から絶滅してしまったのでした。

・・・が、しかし!これしきのことで、天下のギブソンが終わるものですか。ブスブスとくすぶる燃えカスが再び燃え上がるまでに、長い時間は要しませんでした。翌1966年、不屈の精神(というか性懲りもなく)で立ち上がったギブソンは、大胆なモデルチェンジを施した新・火の鳥で、再度ミュージックシーンに殴り込みを掛けます。それがコレ↓ノン・リーバス・ファイヤーバード3です。

$ギターよ、熱く語れ!-ファイヤーバード3


「売れないギターをひっくり返しただけ」という、空前絶後且つ大胆不敵なモデル・チェンジ。古今東西・現在・過去・未来を通じて、これほど斬新(いい加減)なモデルチェンジは存在しないでしょう。

しかも、見た目は、より一層フェンダーっぽくなっています。ボディ裏面のコンター加工程度で「あーだこーだ」大騒ぎしていたフェンダーが、果たしてこのルックスに納得したんでしょうかね?

この、ボディをひっくり返したことが一部の間で誤解を生み、こちらをリバース・タイプだと思い込んでいる人が結構いるみたいです。リバースと呼ばれる由縁は、ペグの配列が通常とは逆(リバース)からきているので、ノーマルな配列に戻った新型をノン・リバースと呼ぶのが正解なのです。

最初からリバース:ノーマルと分けていれば、こんな間違いは起こらないと思うのですが、そもそもファイヤーバード自体、ヒジョーにアブノーマルなギターなので、このミョーな言い回しで合っているのかも知れません。

ノン・リバ・ファイヤーバードにも1・3・5・7の4タイプが存在しています。ただ、リバース・タイプのように1ピックアップ・バージョンは存在していません。1がP-90X2発で、3が写真のようにP-90X3発。5はミニ・ハムバッキングX2発、7はミニ・ハムバッキングX3発でハードウェアがゴールドとなっています。

こいつは私と同じ1967年生まれです。このギターを見て真っ先に思い浮かぶ曲は、なんといってもローリング・ストーンズの「It's Only Rock'n Roll」ですね。水夫の格好で泡にまみれながらキースが弾いていたのが、これと同じタイプのファイヤーバードです。実際にキースがステージで使用したかどうかは定かではありませんが、ミック・テイラーが使っているのは見たことがあります。



ジョニー・ウインターの登場以降、幾度となく再生産されたリバースに比べ、ゲイトマウス・ブラウンやキース・リチャーズといった、変わり種ミュージシャンに愛用されていたノン・リバの人気が再燃(と言っても、一度も火は点いていません)することはなく、20世紀中に再生産されることはありませんでした。

はっきり言って、センター・ピックアップは必要ありません。なんの戦力にもなりませんから。P-90は2つで十分、3個もいりません。ひとつでもいいくらいです。ノンリバを狙っている人には、1を買うことをお薦めします。

英国発・3大ロック・ギターリスト(エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ)らの活躍による、空前のレスポール・ブームが、すぐそこまで迫っていたことなど露知らず、ギブソンは日夜、ファイヤーバードのようなわけのわからんギターを、せっせと作り続けていたのでした。