リトル・レッド・ルースター | ギターよ、熱く語れ!

リトル・レッド・ルースター

ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズのメイン・ギターといえば、以前、紹介したVOXのティアドロップと、コレ↓ギブソン・ファイヤーバード7(写真のモデルは1964年製)ですね。

$ギターよ、熱く語れ!-ファイヤーバード7


ジョニー・ウインターを筆頭に、このギターをプレイするブルースマンが多く存在するため、

「ミニ・ハムバッカーの生み出すトレブリーなサウンドが、ブルースにマッチする」

と評されることの多いファイヤーバードですが、それは恐らくは大きな誤解(大間違い)です。

彼らがコイツを選んだ理由は、見た目ですって。音ではなくて、完全に見た目です。トレブリーなサウンドが欲しいんだったら、テレキャスターかストラトキャスターを選びますって。実際、ファイヤーバード7は、かなりストラトに近い音がしますから。普通なら、こんなゴテゴテしたギターよりもストラトを選ぶでしょう。

同じ黒人音楽だからなのか、ブルースをジャズと混同している人が多々いらっしゃいますが、両者はまったく「似て非なるもの」なのです。ブルースの基本精神は、

「俺は野球なんてやったことがないが、エースで4番だ」

コレ↑ですから。中身よりも、見た目が肝心。←コレがブルース。ジャズが黒人の鎮魂歌(ちんこんか)とするならば、ブルースはチ○コ歌です。

登場と同時に真っ先に目をつけたのは、ブルース界の巨人・ハウリン・ウルフと彼の右腕である、ヒューバート・サムリンでした。2人の影響をモロに受けていたブライアンがコイツを選んだことは、当然の成り行きと言えますね。

ファイヤーバードには1・3・5・7の4機種が存在していて、最上位機種にあたる7は、またしても3ピックアップ仕様となっています。

以前、紹介したレスポールやSGのカスタム・バージョンは、トグル・スイッチでセンターを選択した際にセンター+リアのフェイズ・サウンドが得られるという、何が良いのかイマイチよく分からない特徴を持っていましたが、このモデルでは単にセンター+リアをミックスしたものと、フェイズ・サウンドになるものの2種類が存在しています。その違いは音を聞き比べれば一目(一耳?)瞭然でして、後者の方がよりトレブリーなサウンドとなっています。

ファイヤーバードに関する資料を見てみると、やたらと「トレブリー」という言葉が出てきます。最初からそれを意図して開発されたわけですし、実際トレブリーなので弁解の余地はどこにもありません。

こんなトレブリーなギターで、ギブソンは一体なにをさせたかったのか?というと、サーフ・ミュージックです。しかし、ターゲットであるサーフ・ミュージックの使い手には完全に無視されてしまい、カラッカラに乾いた空気と青い空に包まれた、カリフォルニアの街を飛び回るはずだった火の鳥は、ジメジメした空気と湿地帯に囲まれた、灰色の空のシカゴの町を徘徊する閑古鳥となってしまいました。

で、当のサーフ・ミュージシャンは、なにに飛びついていたのか?というと、ターゲットであるジャズの使い手には完全に無視されてしまっていた、フェンダー・ジャズマスターでありました。2大ギターメーカーの思惑は、ものの見事に外れてしまったワケですね。

「メーカーの思惑」と「ユーザーのニーズ」のズレは、50年以上の時間が経過した現在も続いているように感じるのは、私だけでしょうか?