◎The Sign
▼ザ・サイン
☆Ace Of Base
★エイス・オブ・ベイス
今回の1曲はエイス・オブ・ベイス。
今から20年前、The SignがビルボードでNo.1に輝いたという記事を、数日前にFacebookで見ました。
何の偶然か、その2日前に突然この曲が頭に浮かんできて、散歩しながら口ずさんでいました。
さらには昨日、地元のAMラジオ局の夜の洋楽リクエスト番組でもこの曲がかかりました。
そういう偶然は楽しいので記事にしました。
エイス・オブ・ベイスは1990年代に出てきたスウェーデンのポップグループ。
ジョーカー、リン、ジェニーの3兄妹と友人のブッダの4人組。
スウェーデンで女性2人男性2人ということから、「アバの再来」と言われました。
本人たちはそう呼ばれてうれしくなかったかもしれないけれど、ダンサブルなポップソングを作るという点では遠からずだとは思います。
この曲が入った1作目が大ヒット、次作もヒットしたのですが、その次からはあまり話題になることもなく2000年には話を聞かなくなっていました。
The Signは、ポピュラーソングとしてのいい歌の要素が詰まっています。
いつものように大げさにいえば(笑)、ポップスの歴史は当時およそ50年、その間星の数には負けるけどたくさんの歌が作られ世に出たわけですが、これは究極のポップソングかもしれない。
しかもそれが3分ちょっとに凝縮されている。
そのような曲がアメリカや英国ではなくスウェーデンから出てくるというのが面白い。
やはり、少し離れたところで見ているのがいいのでしょうかね。
この前のヒット曲All That She Wantsは、ダンスビートでありつつも割とオーソドックスな曲を聴かせることで新しい感覚を出すことに成功していました。
僕は当時はMTVを見ていてそれもよく知っていましたが、そこではまだCDを買おうとは思わなかった。
次に出たこの曲は、まさに「満を持した」といった感じでシングルが切られ、僕は一発で気に入り、MTVで観て聴くのが楽しみになりました。
MTVでは、大ヒット曲はだいたい数時間に1回はビデオクリップが流れていて、特に押しているものは時間も決まっていて、そこで見て聴けるのですが、さすがにこれだけ素晴らしい曲となるとCDを買わずにはいられなかった。
◇
曲は、イントロの最初はドラムス(リズムボックス)だけで8小節も引っ張る。
続いてマイナー調の不安げなベースラインが8小節入る。
歌に入るとメジャー調に転じて明るくなり、ヴァースが8小節。
リフレイン、サビはコードは同じだけど歌メロが違う8小節+つなぎ1小節。
このセットが2回繰り返され、間奏は何かの楽器のソロが入るわけでもなく進み、ヴォーカルがフェイクしたサビが入り、そこまで出てこなかったコーラスが入った8小節来た後、ヴォーカルだけが残って急に終わる。
という流れで、まあ言葉で書いてもよくわからないけれど、聴いていただければ、短い中でアレンジ、特に流れが凝っていることが感じられると思います。
ヴァースの2番だけジェニーが歌うのもヴォーカルに幅があっていい、んだけど、さすがは姉妹だけあって声は似てますね。
曲でいえば、ヴァースの7小節目、このYou-Tube映像のタイミングだと0'57"のところ、歌詞がなくなって「うう~う~う~う~」とハミングになる、このアイディアが絶妙。
僕は、そうなんです、歌が入るところで抜けるのが妙に好きなんです。
◇
ビデオクリップは、先ずモノクロームで4人がひとりずつ集まってきて4人揃ったところでグループショット。
続いてドラムス(リズムボックス)だけが刻まれる部分でメンバーを中心とした短いショットが次々と重ねられてゆく。
もちろん、踊りながら歌うシーンが多いけれど、男女がなにかを語ろうとしたり、キスをしたりというイメージ的なシーンも挿入される。
そして謎のサインが何度も映し出される。
0'17"でジョーカーが何かを指さす仕草をするとリズムが止まり、次にジェニーが両手を頭の上から殴るように下に落としたところでマイナー調のベースのリフが始まる。
0'43"のところ、リンが"recognize me"と歌うところでピストルを撃つような仕草をする。
2'33"のところ、「パンッ」と打楽器の音が入るところでリンが左手で打つ仕草をする。
といった具合に、このビデオクリップは音と動作がぴったり合っているのが気持ちいい。
このビデオクリップが素晴らしいのは、映像があまり頭に残らないことでしょう。
いや、これだけ印象的なシーンがあるのだからそれは言い方が違うな。
映像だけが一人歩きして印象に残るということはない、あくまでも歌とのセットで印象付けられること。
僕もこれは15年ぶりくらいに見たのですが、覚えていないシーンがかなりありました。
当時はあんなに見たのに、と思うのだけど、歌とは関係ないストーリーものではなくあくまでも聴き手に歌詞や曲からイメージさせることに徹しているのがいいのだと気づきました。
そして、僕がこのビデオクリップが大好きなもうひとつの理由が。
ごめんなさい!
て、なぜいきなり謝るか自分でも分からないけれど(笑)、ヴォーカルのリンさんが好みの女性のタイプのど真ん中なのです。
背が高くて、目がややつり目で多少きつい目つき、そして知的な顔立ち。
おまけに髪を左右に分けて留めている、何というのか調べてみたところツインテール(和製英語)というそうで、それがまたかわいらしい。
2'39"の辺りで"without you"と歌うところで声が引っくり返るのが、なんともいえずなんともいい。
仕事が終わって帰るとだいたいかかっていたので、いつしか帰宅してこれを観るのが、そして曲を聴くのが楽しみになっていました。
でも、リンさんは後に失語症になったり、カメラを避けるようになったりして、結局はカメラで写されるのが嫌だったそうで。
失語症は当時MTVで言われていて、他は今ウィキペディアで知ったのですが、そう考えると僕は能天気なことを言っているけれど、本人はあまり見られたくなかったのかな。
ううん、今更ながら反省しなければならないか。
この曲でもうひとつ思い出というか、僕は女性の歌を高い声を出して歌うのが好きなんだ、とこれを歌って気づきました。
そこまでいくと鼻歌ではないのですが(笑)、これは車の中でよく歌っていました。
車なら大きな声を出してもあまり迷惑じゃないから。
ともあれこの曲はほんとうに大好きで、1990年代のヒット曲を10曲選べといわれれば絶対に入れます。
ところで僕は、20年が経って、いまだにこのThe Signが何を表すものかが分かりません・・・
もしかして、永遠に分からないかもしれないですね。
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