こんばんは。
今日は会社法です。
いつも長くなりますので、今日は、すぐに始めちゃいますね。。。
今日の過去問は、平成26年度問38の問題を○×式でやります。
取締役会設置会社であり、種類株式発行会社でない株式会社(*委員会設置会社を除く。)が行う株式の併合・分割等に関する記述について、会社法の規定に照らして正誤判定をしてみましょう。尚、定款に別段の定めはないものとします。
*委員会等設置会社は、平成26年6月の改正により、指名委員会等設置会社となりました。
それでは、早速。
問題
株式を分割するには、その都度、株式の分割により増加する株式の総数の分割前の発効済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日ならびに株式の分割がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
正解は?
×
今日の1問目は、「株式の分割」です。
株式分割=株式を細分化して従来よりも多数の株式にすること。
例えば、1株を2株にとか、1株を3株にするってことですね。
んじゃ、株価はどうなるのって疑問がわきますよね。
1株5,000円の株式を保有していた場合、「1:2」で分割することにしたとします。
先ほど見たように、株式保有数は、1株が2株になる訳です。
1株5,000円だった株価が2株で10,000円になる訳ではなく、2株で5,000円となる訳です。
つまり、資産上の変化は起こらないと言うことですね。
資産上の変化は起こらない=資本金を変えることなく、1株を細分化させる
単に株式の数だけが増加し、会社の資産や株主の利益には変化が無いと言うことです。
株主からすれば、1株が2株になり、各株主の株式数が2倍に増加するだけのことですね。
それでは、会社として分割することのメリットは何でしょう
一つは、投資はしやすくなりますよね。
それと、二つ目は、株価が高騰している状態の場合には、株価を引き下げたりする効果もあります。
他にもあるんでしょうが、ここまで理解したところで問題ですが、、、(笑)
(株式の分割)
第百八十三条 株式会社は、株式の分割をすることができる。
2 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
二 株式の分割がその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類
問題に書かれているものは、一号と二号です。
株式の分割により増加する株式の総数の分割前の発効済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日
株式の分割がその効力を生ずる日
問題では、「株主総会の決議によって定めなければならない。」と言っていますので○ですね。
これでOKですか
ん~、肢だけ検討するならこれで良いんですが、問題には「前提」がありますよね。
今日の五肢に共通のこと=取締役会設置会社であり、種類株式発行会社でない株式会社(*委員会設置会社を除く。)そして、定款に別段の定めはない。
つまり、この肢は2項のかっこ書きが適用されると言うことです。
「取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議」
これ、先ほど見たんですが、株式を分割をしても、既存の株主に不利益を与えることはないからってことですね。
そのため、株式の分割は、
取締役会設置会社→取締役会決議
取締役会非設置会社→株主総会決議(普通決議) と言うことです。
ですから、この問題は、×と言うことになります。
問題
株式の分割によって定款所定の発行可能株式総数を超過することになる場合は、あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、このような株式の分割をすることはできない。
正解は?
×
この問題は、「発行可能株式総数」に関する問題です。
発行済株式総数は、「発行可能株式総数」を超えることはできません。
これは、基本的なことですね。
どういうことか確認しておきます。
発行可能株式総数を100株と定めた場合、発行する株式の数は、この100株と言う数を超えてはいけないと言うことです。
株式を分割する場合、これが有り得~ると言うことです。(笑)
例えば、
発行可能株式総数100株、発行済株式総数が50株だった場合
1株を3株に分割してしまうと50株を3分割ですので、発行済株式総数が150株になります。
つまり、定めた「発行可能株式総数」を超えてしまう訳ですね。
問題では、こんなケースの場合は、
「あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、このような株式の分割をすることはできない。」と言っています。
これはどうなんでしょうか ってのが、この問題です。
(効力の発生等)
第百八十四条
1 略
2 株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第二項第二号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。
第四百六十六条の規定
第四百六十六条 株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。
この規定によらず、
前条(第百八十三条)第二項第二号の日=株式の分割がその効力を生ずる日
「発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。」
これはどう言うこと
同項(第二項)第一号の割合を乗じて得た数の範囲内=株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合
本来は「発行可能株式総数」を変更するには、株主総会の「特別決議」が必要です。
ここに書かれた内容は、「取締役会決議」で定款の変更を認めるってものです。
例として書いた3分割の場合、「発行可能株式総数×3」の範囲内であることを条件として、取締役会決議で発行可能株式総数を300株に増加する定款の変更を認めるってことですね。
先ほど、単に株式の数だけが増加し、会社の資産や株主の利益には変化がない、つまり、既存の株主に不利益を与えることはないからってのを確認しています。
分割をした前後で比較しても、「発行可能株式総数」と「発行済株式総数」の関係は変わりませんよね。
例
発行可能株式総数100株、発行済株式総数が50株→発行可能株式総数300株、発行済株式総数が150株
と言うことは、「あらかじめ株主総会の決議により発行可能株式総数を変更するのでなければ、株式の分割をすることはできない。」ってのは×と言うことになりますよね。
問題
株式を併合するには、その都度、併合の割合および株式の併合がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
正解は?
○
この問題は、「株式の併合」です。
株式併合=数個の株式を合わせてそれよりも少数の株式とすること。
例えば、2株を1株にとか、3株を1株にするってことですね。
分割の反対です。
んじゃ、株価はどうなるのかって疑問がこれもわきますよね。
1株5,000円の株式を2株保有していた場合、「2:1」で併合することにしたとします。
株式保有数は、2株が1株になる訳です。
1株減ってしまいますね。
株価はどうか
1株5,000円だった株2株が、1株で10,000円になる訳です。
つまり、資産上の変化は起こらないと言うことですね。
変わるのは、株価と保有株式の数と言うことです。
それでは、会社として併合することのメリットは何でしょう
株主の管理コスト削減、経費の削減が考えられそうです。
他にもあるんでしょうが、ここまで理解したところで問題に、、、(笑)
(株式の併合)
第百八十条 株式会社は、株式の併合をすることができる。
2 株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 併合の割合
二 株式の併合がその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
四 効力発生日における発行可能株式総数
3、4 略。
問題に書かれたところは、一号と二号ですね。
株主総会決議で定めると規定されています。
この株主総会決議は
(株主総会の決議)
第三百九条
1 普通決議。
2 特別決議。
一~三 略
四 第百八十条第二項の株主総会
五~十二 略
3~5 特殊決議等。
株式の併合は、株主総会の「特別決議」です。
併合することによって、
・議決権を失うことがある
・1株に満たない端数を生じることがある
・その他(笑)
つまり、株主の地位や利益に重要な影響を及ぼすことがあるため、株式の併合は、株主総会の「特別決議」と言うことです。
分割とは大きな違いですね。
問題
株券発行会社が株式の併合または分割をしようとするときは、いずれの場合であっても、併合または分割の効力が生ずる日までに、当該会社に対し当該株式に係る株券を提出しなければならない旨の公告を行い、併合または分割した株式に係る株券を新たに発行しなければならない。
正解は?
×
この問題は、株券発行会社が株式の併合又は分割をするときの「株券」の扱いについてです。
問題では、「いずれの場合であっても、」って書き方ですから、どっちも同じって言ってる訳ですね。
んでは、確認してみるすぺ。。。(笑)
最初に確認しておきましょう。
分割=1株を2株や3株にすること
併合=2株や3株を1株にすること
株券が、「片や増える」、「片や減る」ってことです。
ってことは、同じってことはないような気がしますね。
(株券の提出に関する公告等)
第二百十九条 株券発行会社は、次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を株券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、略。
一 略
二 株式の併合 全部の株式
三~八 略
2~4 略。
株式の併合の場合、併合によって株式の数が減るので、株券を一度回収する必要があるってことです。
そして、第二百十九条1項の規定には、「株式の分割」は含まれていません。
さっき見た、「増える」、「減る」ってのが原因ですね。
減るから回収して新しいのを発行する。
増える場合は、回収せず追加で増えた分を発行するって形です。
(株券の発行)
第二百十五条 株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
2 株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。
3 株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。
4 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。
2項と3項ですね。
2項は、会社に「株券を提出する」って前提の上で、「併合した株式に係る株券を発行しなければならない。」=新しい株券
3項は、「分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。」=追加で新しい株券
問題としては、「併合」も「分割」も同じとしている点で間違いと言うことになります。
問題
株式の無償割当てをするには、その都度、割り当てる株式の数およびその効力の生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
正解は?
×
この問題は、「株式の無償割当て」に関するものです。
(株式無償割当て)
第百八十五条 株式会社は、株主に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当て(株式無償割当て)をすることができる。
新たに払込みをさせないで=無償
「無償」、う~ん、良い響きですね。
早速、条文を確認してみます。
(株式無償割当てに関する事項の決定)
第百八十六条 株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主に割り当てる株式の数又はその数の算定方法
二 当該株式無償割当てがその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類
2 略。
3 第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
問題で聞いているところは、1項の一号(前段)と二号です。
そして、それを定めるのは3項にある「株主総会の決議」です。
と言うことで○ですね。
って、これでOKですか(パートⅡ)
前提は、取締役会設置会社、そして、「定款に別段の定めはないものとします。」ですからね、この問題、かっこ書き規定があてはまると言うことです。
株式の無償割当て
取締役会設置会社→取締役会決議
取締役会非設置会社→株主総会決議(普通決議)
定款に定めあり→定款のルール
このブログの悪いところは、肢だけを検討することに没頭しちゃうってことですね。
試験では、前提の「取締役会設置会社」、「定款に別段の定めはない」などを忘れることがないように、大きく○で囲むなど対策は必要です。
その辺も含めて、ときどきワザと間違っちゃうフリをするんですけどね。。。
効果的でしょ。
「あっ。」って思うでしょ。。。
まぁ、これも経験から来るものです。
今日も最後まで有難うございました。
何か一つでも気付きがありましたか
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
無償には騙されないぞ。。。
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