こんにちは。
今日は民法です。
今日は共有に関する問題なんですが、「別荘」良いですね。。。
共有でもいいから欲しいと思いません
んでも、嫌な使い方されたりすると逆にストレスになるかも知れませんね。
やはり、単独購入でしょう。
購入する余裕はありませんけど。
今日の過去問は、平成26年度問29の問題を○×式でやりたいと思います。
A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に築造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。
この場合に関する各肢を民法の規定及び判例に照らして検討してみましょう。
それでは、早速。
問題
甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。
正解は?
○
最初に内容を確認しておきますね。
甲土地及び乙建物を購入
↗↑↖
A B C
持分割合は均等
共有名義で所有権移転登記
こんな感じですね。
この問題は、その土地と建物の「管理費用」についてです。
AさんとBさんはそれぞれの負担部分を支払ったようですが、Cさんは、資産状況の悪化から支払いに応じることができないと言う状況になった訳です。
「しょうがない。」ってことで、AさんとBさんで折半してCさんの負担部分を支払ったってことですね。
これ、購入当初は問題なくても、人それぞれ時間の経過とともに生活環境が変わることはありますから、Cさんのような状況はあり得る話ですよね。
この場合に、問題では、「Cさんが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、Aさん及びBさんは、相当の償金を支払ってCさんの持分を取得することができる。」と言っています、、、
こんな条文を見たような気がしますね。
(共有物に関する負担)
第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
1項は、「持分に応じ」管理費用等を負担するって内容です。
この問題の場合で、90万円の何らかの費用を負担したら、「持分割合は均等」なので、それぞれ30万円ずつ負担するってことですね。
そして、2項です。
ここで言う、「前項の義務」は、「管理の費用」、「共有物に関する負担」のことです。
共有者が一年以内に「それらの負担」義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができると規定しています。
つまり、額は別として、、、Cさんが、1年以上30万円を支払わなかったとします。
この場合に、自己の負担部分についての費用を支払ったAさんとBさんは、Cさんに「相当の償金」を支払うことによってCさんの持分自体を取得することができるって内容です。
この問題は条文通りですね。。。
問題
甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を築造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。
正解は?
×
地役権
地役権=ある土地の利用価値を高めるため、他人の土地を利用する物権。例)通行地役権、眺望地役権など。
この問題では、「丙土地」に地役権が設定されていた訳です。
ですので、「利用価値を高める土地=甲土地」で、「利用される土地=丙土地」です。
この場合の「甲土地」を要役地、「丙土地」を承役地と言います。
要役地=他人の土地を利用することにより、利用価値が高まる土地
承役地=他の土地の利用価値を高めるために、地役権により利用される土地
例えば、甲土地から富士山が見えたとします。
丙土地にリゾートホテルなんか出来たら、富士山は見えなくなってしまいますよね。
そんなときに設定される訳です。
問題では、
「Aさんは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。」と言っています。
これをどう考えますか
これ、問題通りだとAさんの持分に関しては地役権を消滅させることが出来る訳ですから、丙土地に「リゾートホテル」を3分の1建てることができるって内容です。
これはどう考えても「不可分性」がありませんか
つまり、「共有者の一人がその持分について、その土地のための地役権を消滅させることはできない」ってことです。
(地役権の不可分性)
第二百八十二条 土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。
2 略。
地役権は、不可分性を有するので、「地役権」に関し、「持分」というものはありません。
そのため、「自己の持分については、単独で地役権を消滅させることができる」と言う訳ではありません。
問題
Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。
正解は?
○
問題の前提では、甲土地と乙建物は3人の共有名義です。
この問題は、Cさんの債務を担保するために、3人が、それぞれ甲土地にかかる持分について、Cさんの債権者Fさんのために共同抵当権を設定したって内容です。
そして、抵当権の実行。。。
Gさんが甲土地の持分を競落したって内容です。
問題では、
「この場合には、乙建物のために法定地上権が成立する。」と言っています。
なんか「法定地上権」は、久しぶりのような気がしますね。
(法定地上権)
第三百八十八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
この問題は、「法定地上権の成立要件」を聞いているってことですね。
条文を分割してみます。
1.土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合
2.その土地又は建物につき抵当権が設定され、
3.その実行により所有者を異にするに至った
これらの要件を満たすことで、「その建物について、地上権が設定されたものとみなす。」です。
この3つの内容から、抵当権設定当時に4つの条件を満たすと「法定地上権」は成立するのがわかります。
①土地の上に建物が存在していた(これは、1.土地及びその上に存する建物がからわかることです。)
②土地と建物が同一の所有者に帰属していた(これも1.からです。)
③土地と建物の一方又は双方に抵当権が設定された(これは、2.です。)
④抵当権の実行により、それぞれ別々の所有者に帰属することになる(これは、3.ですね。)
①については、抵当権を設定する前に「別荘地である甲土地及び甲土地上に築造された乙建物を購入」してますので問題はありません。
次に②ですが、3人で費用を出し合って持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行っていますので、これも問題なしです。
そして、③ですが、甲土地に抵当権が設定されましたので、ここも問題はありません。
最後に④ですが、抵当権が実行された結果、甲土地はGさんの所有に、そして乙建物は、Aさん、Bさん、Cさんの共有になっています。
つまり、抵当権の実行により、それぞれ別々の所有者に帰属していますので、ここも問題にはなりません。
と言うことは、問題の通り、「乙建物のために法定地上権が成立する。」と言うことになります。
それと
このケースは、条文の後段があてはまります。
「この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。」
もちろん、当事者間で定めることが出来れば問題はないんですけどね。。。
問題
Cには相続人となるべき者はなく、内縁の妻Eと共に生活していたところ、Cが死亡した。この場合、甲土地および乙建物にかかるCの持分は、特別縁故者に当たるEに分与されないことが確定した後でなければ、他の共有者であるAおよびBに帰属しない。
正解は?
○
この問題は、「相続財産の帰属の優先関係に関する判例」からの出題です。
甲土地と乙建物は、「Aさん、Bさん、Cさんの共有ですから共有者へ」って考えと「内縁の妻Eさん、つまり特別縁故者へ」って考えのどちらに帰属するのかって問題です。
それぞれの条文を確認してみます。
最初に、「共有」から、、、
(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
共有の場合、「持分の放棄」、「死亡して相続人がないとき」は、その持分は、他の共有者に帰属すると規定していますので、AさんとBさんに帰属することになります。
内縁の妻Eさんは、特別縁故者であり、「相続人」ではありませんから共有の規定だと権利を得ることは出来ません。
次に、「特別縁故者」です。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三 前条の場合(権利を主張する者がない場合)において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
特別縁故者=法定相続人がいない場合に、特別に相続を受ける権利が発生した人のこと
条文にも書かれていますが、「被相続人と生計を同じくしていた、被相続人の療養看護に努めた、その他特別の縁故関係があった者」のことを言います。
第九百五十八条の三の前条の場合において、
(権利を主張する者がない場合)
第九百五十八条の二 前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
こちらの規定だと内縁の妻Eさんは、特別縁故者として権利を得ることができそうです。
ただ、相続人がいない場合の共有者の規定と特別縁故者の規定、どちらの規定を優先して適用するかの条文の定めはありません。
判例では、その辺をきちんと判断しています。。
昭和63(行ツ)40 不動産登記申請却下決定取消 平成元年11月24日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 大阪高等裁判所
共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法九五八条の三の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法二五五条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。
つまり、特別縁故者のEさんに財産分与されないことが「確定した後」で、共有持分が承継すべき者のないまま残存することが確定したときでなければ、他の共有者であるAさんとBさんには帰属しない訳です。
なるほどですね~、AさんとBさんは共有者とはいえ、所詮他人です。
であれば、他人に分与するよりは、内縁の妻にって思うのは当然のような気がしますよね。
以下の通りの順番です。
共有者の死亡 1.相続人 2.特別縁故者 3.他の共有者
問題
Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により無効であった。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。
正解は?
×
甲土地及び乙建物を購入
↗↑↖
A B C→D
持分割合は均等
共有名義で所有権移転登記
この問題は、「共有者の一人が持分を譲渡した」って内容です。
ただ、それが、「錯誤により無効」だったようです。
問題では、「AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできない。」と言っていますが、どうなんでしょうかね
これ、判例では、
無効な譲渡契約による移転登記は、実体に合致しない登記のため、共有不動産に対する妨害状態が生じていると判断しています。
そのため、「妨害排除請求はできる」と言っています。
そして、この妨害排除請求は、「保存行為」です。
保存行為=共有物の現状を維持する行為(共有物の修理、不法占拠者への明け渡し請求、移転登記の抹消手続など)
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
前条の場合=共有物の変更(各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。)
保存行為は、各共有者がすることができるとありますね。。。
と言うことは、各共有者ですから、「単独で」です。
平成13(受)320 持分全部移転登記抹消登記手続等請求事件 平成15年7月11日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所
不動産の共有者の1人は、その持分権に基づき、共有不動産に対して加えられた妨害を排除することができるところ、不実の持分移転登記がされている場合には、その登記によって共有不動産に対する妨害状態が生じているということができるから、共有不動産について全く実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対し、単独でその持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
この問題は、「保存行為として、単独で移転登記の抹消を求めることができる。」ですね。
今日のところはここまでです。
最後までありがとうございました。
んでまずまた。
継続は力です。日々の積み重ねが大切。。。
来たよって方はこちらをポチッと。