こんばんは。
今日は多肢選択式です。
有名な判例ですね。
ただ、文章にはヒントが書かれていないので、判例を読んだことがなければちょっと厳しかった問題かも知れません。
ですので、今日は選択肢有りでやりたいと思います。
今日の過去問は、平成26年度問41の問題をやりたいと思います。
最高裁判所判決の一節からの問題です。
それでは、早速。
問題
右安全保障条約*は、その内容において、主権国としてのわが国の平和と安全、ひいてはわが国[ ア ]に極めて重大な関係を有するものというべきであるが、また、その成立に当っては、時の[ イ ]は憲法の条章に基き、米国と数次に亘る交渉の末、わが国の重大政策として適式に締結し、その後、それが憲法に適合するか否かの討議をも含めて衆参両院において慎重に審議せられた上、適法妥当なものとして国会の承認を経たものであることも公知の事実である。
ところで、本件安全保障条約は、前述のごとく、主権国としてのわが国の[ ア ]に極めて重大な関係をもつ[ ウ ]性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した[ イ ]およびこれを承認した国会の[ ウ ]的ないし[ エ ]的判断と表裏をなす点がすくなくない。
(昭和34年12月16日刑集13巻13号3225頁)
(注)*日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約
1 存立の基礎 2 国権 3 建国の理念 4 幸福追求 5 自由裁量 6 憲法体制 7 衆議院 8 天皇 9 内閣総理大臣 10 内閣 11 国家 12 権力分立 13 合目的 14 合法 15 高度の政治 16 要件裁量 17 民主 18 自由主義 19 大所高所 20 明白な違憲
いつものごとくサラッと目を通しましょうね。
この判例は、「砂川事件」と呼ばれるものです。
判例に名前がついてるんですね、それだけ有名な判例と言うことです。
砂川事件=1957年、東京都砂川町(現在の立川市)にあった米軍基地の拡張に反対する7人が基地に入り、旧日米安保条約に基づく刑事特別法違反に問われた事件。
どうですか
ザッと読んで100%自信を持って答えられそうなところは一箇所ですね。
今日は、そこから見ていきましょう。。。
[ イ ]は?
10 内閣
それは、この[ イ ]ですね。
[ イ ]は二箇所あるんですが、ここはヒントが書かれています。
「その条約を締結した[ イ ]およびこれを承認した国会」とありますね。
条約の締結って憲法にありましたよね。
日本国憲法
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一、二 略。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四~七 略。
条約を締結するのは、「内閣」の事務です。
ですので、[ イ ]は、「内閣」です。
ここは、迷うところではありません。。。
[ ウ ]は?
15 高度の政治
次に、[ ウ ]を見てみます。
[ ウ ]は二箇所あるんですが、ハッキリとしたヒントらしいものはありません。
ただ、この判例自体、「日米の安全保障条約」について書かれたものです。
国家間のかかわり、端的に言うと国と国の政治的なかかわりを持ったものと言うことができます。
そして、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、
その条約を締結した[イ:内閣]およびこれを承認した国会の[ ウ ]的ないし[ エ ]的判断と表裏をなす点がすくなくない。
つまり、安全保障条約が違憲かどうかの法的判断は、政治的な話なので条約を締結した[イ:内閣]およびこれを承認した国会によるもので裁判所が判断するのは適さないと言うことです。
この内容に副って選択肢を探すと「15 高度の政治」がありますね。
[ ウ ]は、「高度の政治」が入ります。
この部分を判例から補足。
それ故、右違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、従つて、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものであつて、それは第一次的には、右条約の締結権を有する内閣およびこれに対して承認権を有する国会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民の政治的批判に委ねらるべきものであると解するを相当とする。
統治行為論=国家統治に関わる高度な政治性を有するものの国の行為について、司法審査権が及ばないとする考え方。
[ ア ]は?
1 存立の基礎
次に、[ ア ]です。
[ ア ]も二箇所ですね。
右安全保障条約は、
1.主権国としてのわが国の平和と安全、ひいてはわが国[ ア ]に極めて重大な関係を有するものというべきである
2.主権国としてのわが国の[ ア ]に極めて重大な関係をもつ[ウ:高度の政治]性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した[イ:内閣]およびこれを承認した国会の[ウ:高度の政治]的ないし[ エ ]的判断と表裏をなす点がすくなくない。
選択肢は、1 存立の基礎 2 国権 3 建国の理念 こんな感じでしょうか
「主権国としてのわが国の平和と安全」
これがヒントですかね。。。
つづく文章で、「ひいては」とあります。
ひいては=それがもとになり、さらに進んで。さらには。
[ ア ]は、「安全保障条約は、わが国の○○に極めて重大な関係を有するもの」と言っている訳です。
この条約があることによって、「わが国の平和と安全」そして、国のこれからに重大な関係があると言うことになります。
とすると、[ ア ]は、「存立の基礎」ですね。
存立=存在し、成り立っていくこと。
[ エ ]は?
5 自由裁量
最後は、[ エ ]です。
[ エ ]は、一箇所です。
本件安全保障条約は、主権国としてのわが国の[ア:存立の基礎]に極めて重大な関係をもつ[ウ:高度の政治]性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した[イ:内閣]およびこれを承認した国会の[ウ:高度の政治]的ないし[ エ ]的判断と表裏をなす点がすくなくない。
これは、ヒントはありません。
ただ、「違憲なりや否やの法的判断」は、条約を締結した[イ:内閣]及び承認した国会の[ウ:高度の政治]的ないし(又は)[ エ ]的判断と表裏をなす点がすくなくない。」です。
表裏=外面と内実とで違いがあること。人前での言動と内心とが相違すること。
「違憲なりや否やの法的判断」と[ エ ]的判断=表裏をなす点がすくなくない。
ここは、「5 自由裁量」がしっくりきそうです。
選択肢が他にも考えられるので難しいところですね。
参照
右安全保障条約*は、その内容において、主権国としてのわが国の平和と安全、ひいてはわが国[ア:存立の基礎]に極めて重大な関係を有するものというべきであるが、また、その成立に当っては、時の[イ:内閣]は憲法の条章に基き、米国と数次に亘る交渉の末、わが国の重大政策として適式に締結し、その後、それが憲法に適合するか否かの討議をも含めて衆参両院において慎重に審議せられた上、適法妥当なものとして国会の承認を経たものであることも公知の事実である。
ところで、本件安全保障条約は、前述のごとく、主権国としてのわが国の[ア:存立の基礎]に極めて重大な関係をもつ[ウ:高度の政治]性を有するものというべきであって、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した[イ:内閣]およびこれを承認した国会の[ウ:高度の政治]的ないし[エ:自由裁量]的判断と表裏をなす点がすくなくない。
(昭和34年12月16日刑集13巻13号3225頁)
(注)*日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約
今日はヒントがなく難しかったですね。
ただ、「内閣」と「高度の政治」性って言葉は、過去問とかでも頭に入っているはずですので、最低でも二つは正解しないといけませんね。
重要判例って考えれば、全問正解したいところではありますが。。。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
いつもありがとう。。。
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