こんにちは。
今日は行政事件訴訟法です。
前回、手持ちは最後なんて「嘘」を吐いてしまいましたね。
狼「おんつぁん」ですね。
すみません。。。m(__)m 確認漏れでした。
「これ、やってませんけど。。。」ってのがあったら教えて下さいね。。。
今日の過去問は、平成29年度問18の問題を○×式でやりたいと思います。
行政事件訴訟法3条3項による「裁決の取消しの訴え」に関する問題です。
それでは、早速。
問題
「裁決の取消しの訴え」は、審査請求の対象とされた原処分に対する「処分の取消しの訴え」の提起が許されない場合に限り、提起が認められる。
正解は?
×
今日は、「裁決の取消しの訴え」です。
「裁決の取消しの訴え」は、取消訴訟の一つですね。
早速、条文を確認してみます。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 略。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しを求める訴訟をいう。
4~7 略。
この「裁決の取消しの訴え」で思い出すワードは何でしょうか
問題にも書かれている原処分についての「原処分主義」ですね。
(取消しの理由の制限)
第十条
1 略。
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
1.「処分の取消しの訴え」
2.その処分についての審査請求を棄却した「裁決の取消しの訴え」 とを提起することができる場合とありますね。
そして、その2.の「裁決の取消しの訴え」で、「処分の違法を理由として取消しを求めることができない。」と規定しています。
この内容が原処分主義です。
つまり、「裁決の取消しの訴え」では、処分云々は言うことができず、裁決の手続きに違法があったなどの裁決固有の違法のみを主張できると言うことです。
「処分の取消しの訴え」と「裁決の取消しの訴え」では、訴える内容が違うと言うことですね。
そして、問題には、「審査請求の対象とされた原処分に対する「処分の取消しの訴え」の提起が許されない場合に限り、提起が認められる。」となっています。
とすると、これはどうでしょうか
条文をよく確認すると正解が書かれていますけど。。。
「とを」ですね。
「処分の取消しの訴え」と「裁決の取消しの訴え」とを提起することができる場合には、となっていますよね。
つまり、元の処分に違法があり、かつ、裁決にも違法がある場合には、「処分の取消しの訴え」と「裁決の取消しの訴え」のどちらかを提起することも、両方併合提起することもできると言うことです。
問題
「裁決の取消しの訴え」について、原告適格が認められるのは、裁決の相手方である審査請求人に限られ、それ以外の者には、原告適格は認められない。
正解は?
×
この問題はいかがでしょうか
「裁決の取消しの訴え」の原告適格ですから、取消訴訟の原告適格と言うことができますね。
と言うことは、重要な言い回しがありましたよね。
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(取消訴訟)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
1項に書かれた「法律上の利益を有する者」です。
そして何度か見ているんですが、判例では、「法律上の利益を有する者」を、
「当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう」としています。
と言うことは、原告適格が認められるのは、裁決の相手方である審査請求人に限られないと言うことですね。
それ以外の者でも、「法律上の利益を有する者」であれば、原告適格は認められることになります。
そして、2項には、裁判所がその判断をするについて勘案すべきことが書かれています。
勘案=あれこれを考え合わせること。
問題
「裁決の取消しの訴え」については、「処分の取消しの訴え」における執行停止の規定は準用されていないから、裁決について、執行停止を求めることはできない。
正解は?
×
「裁決の取消しの訴え」における執行停止についての問題ですね。
(執行停止)
第二十五条 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
3 略。
4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
5~8 略。
この内容ですね。
そして、注意すべきは、「することができる」であって、「しなければならない」ではない点ですね。
1項は、訴えがあっても「処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。」と執行不停止であると規定しています。
そして2項。
処分の取消しの訴えの提起があつた場合で、
処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき、
裁判所は、申立てにより、決定をもつて、
処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができると規定しています。
この内容が執行停止です。
つまり、処分が継続されることにより、「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」訳です。
それと、ただし書きの規定と4項の規定も重要ですよね。
そして問題なんですが、
「裁決の取消しの訴え」では、この執行停止の規定は準用されていないと言っていますが。。。
(執行停止に関する規定の準用)
第二十九条 前四条の規定は、裁決の取消しの訴えの提起があつた場合における執行停止に関する事項について準用する。
前四条を「裁決の取消しの訴え」における執行停止に関する事項について準用すると規定しています。
前四条
第二十五条(執行停止)
第二十六条(事情変更による執行停止の取消し)
第二十七条(内閣総理大臣の異議)
第二十八条(執行停止等の管轄裁判所)
執行停止を求めることができると言うことになります。
問題
「裁決の取消しの訴え」については、審査請求に対する裁決のみが対象とされており、再調査の請求に対する決定は、「処分の取消しの訴え」の対象とされている。
正解は?
×
こ、これは。。。
「再調査」と言う用語で迷いが出るところですね。
これ、実は1問目で見てるんですが、、、
「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しを求める訴訟をいう。
これは、行政不服審査法における審査請求に対する裁決に限られないと言うことですね。
もちろん、問題にある「再調査の請求に対する決定」も含まれます。
これ実は、条文を少し省略しています。
( )書き部分ですね。
「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)⊃再調査の請求
行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)⊃再調査に対する決定
⊃は、含まれると言う記号です。
問題
「裁決の取消しの訴え」の対象とされている裁決は、「義務付けの訴え」や「差止めの訴え」の対象ともされている。
正解は?
○
この問題は大丈夫ですね。
「義務付けの訴え」や「差止めの訴え」がどういったものかを理解していればわかる内容です。
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2~5 略。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
「義務付けの訴え」「差止めの訴え」ともに、「処分又は裁決」が対象です。
「義務付けの訴え」は、「処分又は裁決」をすべき旨を命ずることを求める訴訟で、「差止めの訴え」は、「処分又は裁決」をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟です。
ちなみに、
義務付けの訴えの要件等なんですが、
第三十七条の二に、「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、」提起することができると規定しています。
また、差止めの訴えの要件は、
第三十七条の四に、「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、」提起することができるとこちらも規定されています。
ただ、こちらは、ただし書きの規定があり、「その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。」と、他に方法があるときは否定されています。
そして、どちらも原告適格は、「法律上の利益を有する者」に限られています。
今日のところはここまでです。
今日も最後まで有難うございました。
んでまずまた。
継続は力なり
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