こんにちは。
今日の問題は、判決文を読んで矛盾するものを見つける問題です。
ですので、矛盾しないは○、矛盾するは×でやります。
と言うことは、どういうことか
文章自体が長文ではありますが、判決文を読まなくても「国家賠償法二条一項の営造物の設置又は管理の瑕疵」に関する内容を知っていれば解ける可能性はありますよね。
まぁ、試験問題を見た時に受験生としては、「えっ。」って思うほど長い問題ですから、心理的なところをついている問題ってとこでしょうか。
時間が~~~、ってところですね。(笑)
まぁ~、長いので、判決文は二分割にしました。
今日の過去問は平成24年度問19の問題を○×式でやります。
国家賠償法2条1項に言及した最高裁判所判決の一節
国家賠償法二条一項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうのであるが、そこにいう安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、ひとり当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によつて一般的に右のような危害を生ぜしめる危険性がある場合のみならず、その営造物が供用目的に沿つて利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解すべきである。
すなわち、当該営造物の利用の態様及び程度が一定の限度にとどまる限りにおいてはその施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、これを超える利用によつて危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて右営造物の設置、管理には瑕疵があるというを妨げず、したがつて、右営造物の設置・管理者において、かかる危険性があるにもかかわらず、これにつき特段の措置を講ずることなく、また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、それが右設置・管理者の予測しえない事由によるものでない限り、国家賠償法二条一項の規定による責任を免れることができないと解されるのである。
(最大判昭和56年12月16日民集35巻10号1369頁)
この判決の内容と明らかに矛盾するものはどれかって問題です。
それでは、早速。
問題
国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵には、営造物を構成する物的施設自体に物理的・外形的な欠陥がある場合も含まれる。
正解は?
○(矛盾しない)
今日の問題は矛盾するものを探す訳ですから、ある意味文章理解です。
意味を取り違えなければ問題はないと思います。
問題 営造物を構成する物的施設自体に物理的・外形的な欠陥がある場合も含まれる。
↓
判例 営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によつて一般的に右のような危害を~~~
同じ内容ですね。
矛盾はしません。
問題
営造物の利用により危害を生ぜしめる危険性があり、営造物の設置・管理者が特段の措置を講ずることなくこれを利用に供した場合であっても、利用者又は第三者への損害の発生がなければ国家賠償法2条1項の責任は認められない。
正解は?
○(矛盾しない)
この問題も同じような感じですね。
問題 利用者又は第三者への損害の発生がなければ
↓
判例 その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、
生ぜしめた=生じさせる
同じ内容です。
矛盾はしません。
国家賠償法って言うくらいですから、賠償するためには、損害が発生していなければなりませんもんね。
問題
営造物の利用により危害を生ぜしめる危険性があり、営造物がそのような利用に供されている場合には、営造物を構成する物的施設自体に物理的な瑕疵がなくても、国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵があるということができる。
正解は?
○(矛盾しない)
営造物の設置又は管理の瑕疵=営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいう。
ここでいう安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは
判例 物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によつて一般的に危害を生ぜしめる危険性がある場合のみならず、
又は
その営造物が供用目的に沿つて利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、
判例をそのまま抜いてみました。
~~~のみならず、~~~含み、ですから、どちらかの状況になっていれば、安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態、営造物の設置又は管理の瑕疵があると言うことです。
問題 営造物の利用により危害を生ぜしめる危険性があり、営造物がそのような利用に供されている場合には、
又は
営造物を構成する物的施設自体に物理的な瑕疵がなくても、
どちらかの状況になっていれば、営造物の設置又は管理に瑕疵がある訳ですから、「物理的な瑕疵がなくても、危害を生ぜしめる危険性がある場合」は、営造物の設置又は管理に瑕疵があると言える訳です。
矛盾はしませんね。
問題
営造物の供用によって利用者に対して危害が生じた場合には国家賠償法2条1項の責任が認められる余地があるが、第三者に対して危害が生じた場合には同項の責任が生じる余地はない。
正解は?
×(矛盾する)
この肢を読んで感じたことはなんでしょう
危害が生じた場合ですね。
利用者に対してと第三者に対してですね。
差別区別されるのか。
判例 その結果利用者又は第三者に対して現実に危害を生ぜしめたときは、~国家賠償法二条一項の責任を免れることができない
≠
問題 第三者に対して危害が生じた場合には同項の責任が生じる余地はない
判例は、第三者も含んでいますので、この肢の内容は明らかに矛盾していますね。
問題
営造物の利用により利用者に損害が発生したとしても、それが営造物の設置・管理者の予測しえない事由による場合には、国家賠償法2条1項の責任が認められないことがある。
正解は?
○(矛盾しない)
言葉って難しいですね。
こんがらがることがあります。
考えれば考えるほどって変な感じになることが、私はあります。
判例 それが右設置・管理者の予測しえない事由によるものでない限り、国家賠償法二条一項の規定による責任を免れることができない
↓
問題 それが営造物の設置・管理者の予測しえない事由による場合には、国家賠償法2条1項の責任が認められないことがある。
書き方違えど同じ内容ですね。
矛盾はしません。
最後に、この予測し得ない事由の判例を。
昭和53(オ)76 損害賠償 昭和53年7月4日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
国家賠償法二条一項にいう営造物の設置又は管理に瑕疵があつたとみられるかどうかは、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的に判断すべきものであるところ、前記事実関係に照らすと、本件防護柵は、本件道路を通行する人や車が誤つて転落するのを防止するために被上告人によつて設置されたものであり、その材質、高さその他その構造に徴し、通行時における転落防止の目的からみればその安全性に欠けるところがないものというべく、上告人の転落事故は、同人が当時危険性の判断能力に乏しい六歳の幼児であつたとしても、本件道路及び防護柵の設置管理者である被上告人において通常予測することのできない行動に起因するものであつたということができる。したがつて、右営造物につき本来それが具有すべき安全性に欠けるところがあつたとはいえず、上告人のしたような通常の用法に即しない行動の結果生じた事故につき、被上告人はその設置管理者としての責任を負うべき理由はないものというべきである。
最後までお読みいただき有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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