行政書士試験 平成28年度問21 損失補償の問題 | 行政書士試験 独学チャレンジ!!

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こんにちは。

 

今日は損失補償です。

 

これも判例問題が多いのですが、試験に出るのは有名なものが多いです。

 

過去問にある、参考書に載っているってのは確実に押さえましょう。

 

ってところで、昨日の記事の続きなんですが、寒い寒いで昨日の夜厳密には今日の深夜(日付が変わって直ぐ)です

 

 

震災のあった年は、その日に雪が降ったのが珍しく感じましたが、今では3月でもこんな感じです。

 

今日の過去問は平成28年度問21の問題○×式でやります。

 

それでは、早速。

 

 

 

問題

道路管理者である地方公共団体が行った地下横断歩道の新たな設置によって自己の所有する地下埋設ガソリンタンクが消防法の規定違反となり、事業者が当該ガソリンタンクを移転した場合には、事業者は、移転に必要な費用につき道路法による損失補償を求めることができる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題は難しいですが有名なものです。

 

流れを確認します。

 

地方公共団体が地下横断歩道を新たに設置

結果、地下埋設ガソリンタンクが消防法の規定違反となる

事業者が当該ガソリンタンクを移転

 

書かれているのはこれだけですが、もともとは、何の問題もなくガソリン等の地下貯蔵タンクを埋設して営業をしていた訳です。

 

地下横断歩道を設置したことで、その地下貯蔵タンクの設置状況が消防法一〇条、一二条等に定める技術上の基準に適合しなくなつて警察違反の状態を生じてしまったって内容です。

 

消防法

第十条 

1、2 略。

3 製造所貯蔵所又は取扱所においてする危険物の貯蔵又は取扱は、政令で定める技術上の基準に従つてこれをしなければならない

4 製造所貯蔵所及び取扱所の位置構造及び設備の技術上の基準は、政令でこれを定める

 

第十二条 製造所貯蔵所又は取扱所の所有者管理者又は占有者は、製造所貯蔵所又は取扱所の位置構造及び設備が第十条第四項の技術上の基準に適合するように維持しなければならない

2、3 略。

 

危険物の取扱について、位置、構造及び設備などが消防法で決められている訳です。

 

昭和54(行ツ)155 損失補償裁決取消等 昭和58年2月18日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄自判 高松高等裁判所

 

警察法規一定の危険物の保管場所等につき保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことなどを内容とする技術上の基準を定めている場合において、道路工事の施行の結果警察違反の状態を生じ、危険物保有者が右技術上の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされ、これによつて損失を被つたとしても、それは道路工事の施行によつて警察規制に基づく損失がたまたま現実化するに至つたものにすぎずこのような損失は、道路法七〇条一項の定める補償の対象には属しないものというべきである。

 

道路法

道路の新設又は改築に伴う損失の補償

第七十条 土地収用法第九十三条第一項の規定による場合の道路を新設し、又は改築したことに因り、当該道路に面する土地について通路、みぞ、かき、さくその他の工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は切土若しくは盛土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、道路管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(損失を受けた者の請求によりこれに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。略。

2~4 略。

 

 

 

問題

土地収用による損失補償の額を不服として、土地所有者または関係人が訴えを提起する場合には、補償額を決定した裁決を行った収用委員会の所属する都道府県を被告として、裁決の取消しの訴えを提起する必要がある。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この内容は何度か見ていますね。

 

大丈夫ですか。

 

この土地収用による損失補償の額の増額を求める訴訟は、形式的当事者訴訟の典型でしたね。

 

土地収用法

訴訟

第百三十三条 

1 略。

2 収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から六月以内に提起しなければならない

3 前項の規定による訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない

 

3項にありますね。

 

訴え提起者が起業者土地所有者又は関係人

 

訴え提起者が土地所有者又は関係人起業者を  ってことです。

 

問題は、土地所有者または関係人が訴えを提起する場合ですので、補償額を決定した裁決を行った収用委員会の所属する都道府県を被告ではなく起業者を被告として提起しなければなりません

 

起業者=不動産や権利を収用もしくは使用することを必要とする公共の利益となる事業を行なう者。

 

県や市など、公共事業の工事をする者のことですね。

 

 

 

問題

都市計画法上の用途地域の指定について、土地の利用規制を受けることとなった者は、当該都市計画を定める地方公共団体に対して、通常生ずべき損害の補償を求めることができる旨が同法に規定されているため、利用規制を受けたことによって被った損失の補償を求めることができる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題は常識的に考えられるんではないでしょうか。

 

用途地域の指定です。

 

これ、例えばあんたんとこの土地はってんなら、損失補償もあるかもしれませんが、この辺の地域っていう訳ですから広範じゃないですか。

 

この広範な地域で利用規制を受けたことによって被った損失の補償を求めることができるとしたら大変な額に上るでしょう。

 

都市計画法には、用途地域が指定されたことで、土地の利用が規制され損失を受けた場合に損失補償を請求できるという内容の条文はありません。

 

 

 

問題

火災の際の消防活動において、消防長等は、消火もしくは延焼の防止または人命の救助のために緊急の必要があるときは、消防対象物ないし延焼対象物以外の建築物等を破壊することができるが、当該行為は延焼を防ぐために必要な緊急の措置であるため、損害を受けた者は、消防法による損失補償を請求することができない。

 

 

 

正解は?

×

 

 


この問題の損失補償の対象物は、消防対象物ないし延焼対象物以外の建築物等です。

 

消防対象物はてなマーク

 

消防法

第二条 この法律の用語は左の例による。

3 消防対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物又は物件をいう

 

ようは、メラメラ燃えたら消さなくちゃならないもののことですね。

 

そうすると延焼対象物は、延焼する可能性のあるものってことでしょうね。

 

これらを処分することが出来るんですね。

 

消防法

第二十九条 

1、2 略。

3 消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために緊急の必要があるときは、前二項に規定する消防対象物及び土地以外の消防対象物及び土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる

 

この問題は、建築物等を破壊した場合損失補償についてです。

 

3項後段です。

 

この場合においては、そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があるときは、時価により、その損失を補償するものとする

4、5 略。

 

条文にも規定されています。

 

昭和44(オ)649 損害賠償請求 昭和47年5月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所

 

消防対象物および土地以外の消防対象物および土地について、消防長もしくは消防署長または消防本部を置かない市町村においては消防団の長消火もしくは延焼の防止または人命の救助のために緊急の必要があるときに、これを使用し、処分しまたはその使用を制限した場合(同条三項の場合)には、そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があれば、その損失を補償しなければならないことが明らかである

 

損失補償の要件

処分等が、火災が発生しようとし、もしくは発生し、または延焼のおそれがある消防対象物およびこれらのもののある土地以外消防対象物および立地に対しなされたもの

かつ

処分等が消火もしくは延焼の防止または人命の救助のために緊急の必要があるときになされたもの

 

 

 

問題

都市計画事業のために土地が収用される場合、被収用地に都市計画決定による建築制限が課されていても、被収用者に対して土地収用法によって補償すべき相当な価格とは、被収用地が、建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格をいう。

 

 

 

正解は?

 

 

 

補償すべき価格についてです。

 

行政主体が都市計画事業のために土地を買い取るときに、補償金額は何を基準とするかってところです。

 

普通に考えると都市計画事業によって建築制限がかかり、評価額は低くなるはずです。

 

具体例

土地持ちのOさん、評価額が3,000万円の土地を持っていました。

 

都市計画事業により建築制限がかかり、建てられない建物が出来てしまい評価額は2,000万円になってしまいました。

 

こんな話なんですが、これではOさんも納得がいきませんよね。

 

裁判所もちゃんと考えて判決を出しています。

 

土地の持ち主に対して支払う補償金額は、建築制限がないときの価格が相当である、という判例です。

 

建築制限で建てられない建物があり評価額が2,000万円だとしても、補償金額は元の評価額の3,000万円を払いましょうという内容の判決ということです。

 

昭和46(オ)146 土地収用補償金請求 昭和48年10月18日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 広島高等裁判所 松江支部

 

土地が都市計画事業のために収用される場合であつても、何ら、異なるものではなく、この場合、被収用地については、街路計画等施設の計画決定がなされたときには建築基準法四四条二項に定める建築制限が、また、都市計画事業決定がなされたときには旧都市計画法一一条、同法施行令一一条、一二条等に定める建築制限が課せられているが、前記のような土地収用における損失補償の趣旨からすれば被収用者に対し土地収用法七二条によつて補償すべき相当な価格とは被収用地が、右のような建築制限を受けていないとすれば裁決時において有するであろうと認められる価格をいうと解すべきである

 

 

一肢ずつ検討して、言える、内容を説明出来ること、アウトプットが大切です。

 

 

最後までお読みいただき有難うございました。

 

 

今日のところはここまでです。

 

 

 

んでまずまた。

 

 

 

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