ここ数か月のコロナウイルスの感染流行により「インバウンドに頼っていた業種が一気に苦しくなり、実際に倒産(民事再生など)している会社も出ている」というニュースを見聞きする。

 

インバウンドは1か国のみを指している訳ではないのだが、肌感触として、実際には中国人観光客からの売上に頼っていた会社やお店が多かったことは否めないだろう。

例えば、あるドラッグストアでは、店内のほとんどを中国表記にしており「ここはどこ?」と思ってしまうようなところもあったりと。

 

そもそも論、国内の需要では潰れそうであった旅館などが背水の陣でインバウンドに賭けてうまくいっていた、即ち、インバウンドが無ければすでに店仕舞いしていた、というようなミクロな視点はさておき、会社経営においては、余程の好条件でもなければ、インバウンドに限らず顧客を1社や1国に絞るのはスコブル危険である。

 

これは経営において基本であり、それほどポートフォリオは重要なのである。

 

しかし、一旦足を突っ込み、これが順調に進んでしまうと、この先もうまくいくという錯覚に陥り、後戻りできなくなってしまう。

一種の麻薬である。

 

投資の世界の言葉を借りると「卵を同じ籠に盛るな!」ということである。

ちなみにこの卵は生卵だな(笑

 

これは、インバウンドに限らず国内の顧客を相手にしても同じことが言える。

未来永劫、発注をしてくれる顧客がいるのであれば話は別なのだが、そんな旨い話は夢の中でしかありえない。

 

自分も以前2社の顧客に大きく依存した売上構成の時期があった。

2社なので片方がコケてもまだ救いようがあるかと思っていたのだが、なんとこの2社からの仕事がほぼ同時期に無くなってしまうということが起こってしまった。この2社には依存関係はなく、マクロな影響があるという時期でもなかった。

 

神様は非情である。

その時は「This is the end...」と観念しかかったものの、現在もまだ会社を続けていけるのは何とも悪運の強さか?

卵を別々の籠に入れてもダメだったのである。

もしかすると、ゆで卵だったのかもしれない。