Jerry Barnes発Chic経由Sadowsky Outboard Preamp行き | 楠木建オフィシャルブログ「ケン日記」Powered by Ameba

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Jerry Barnesというベーシスト、ま、ご存じない方が多いとは思うのですが、Funk/R&B系のベースでは僕はこの人に私淑しております。

 

この方がその方。

James JemersomやJerry JemmottやDDD (Donald Duck Dunn)も、もちろん素晴らしすぎるぐらい素晴らしいのですが、あまりに独自・天才系なので、コピーするのはイイにしても、自分でフレーズを組み立てるのにはあまり参考にならないというか、手が届かないというか、そういう存在。

で、もう10年ほど前になりましょうか、Jerry Barnes先生の教則ビデオを観たときに「これだ!」と思い、以来このビデオを繰り返し観てはファンク・ベースの修練の参考にしてきたという成り行き。ビデオでのコメントも理知的で、穏やかな人格者であることがうかがえます。

Barns先生は若いころから妹のKatreese Barnsという人と音楽活動をしていまして、Juicyという濃いめのR&Bバンドでレコードをリリースしたこともあります。僕も弟と長年バンドをやっているので、この辺も根拠なき親近感を感じます。


 

Juicy時代のBarnes兄妹


Jerry先生もそうなのですが、妹のKatreeseさんも完璧にロープーの凄腕ミュージシャンでありまして、SNLその他の音楽のコンポーザー&キーボーディストとしてエミー賞にも輝いているそうです。教則ビデオにもKatreeseを含むファミリーバンドでナイス極まりないスタジオライブの実演が収録されています。これがまたイイんですね、ええ。

 
Katreese Barns


で、その後のJerry Barnes先生はBernard Edwars亡き後のChicで活躍していらっしゃいますね。

 

話は飛びますが、オリジナルChicのBernard Edwars、この人も実にかっこイイベーシストでした。ディスコ全盛期のシャープでソリッドなベースライン、タイトで太い音色はもちろん、ミュージックマン・スティングレイを抱えてスーツにネクタイでステージに立つ姿が、カノちゃん風に言うと「めっちゃクール!」でした。ノリがヒジョーに静かであまり動かないところにかえって凄味がございました。


 
オリジナルのChic。ステージングが文字通りシックでかっこイイ!


僕がChicの音楽を知ったのは中学生のとき。当時、ハシガミくんというちょいワルで気のイイ友達がいまして、彼は田園調布の豪邸に住むお金持ちのご子息だったのですが、ハシガミくんのお姉さまが当時R&Bがおスキだったらしく、彼のおうちによく遊びに行ってレコードを聴かせてもらったのですが、その中にあったのがChicのGood Times。ずっと同じフレーズの繰り返しで、当時の僕にしてみれば初めはヒジョーに違和感があったのですが、聴いているうちに体が動き、「これが最新のダンス・ミュージックか・・・」と得心がいったという次第。

Good Timesはいま聴いても最高にファンキー。このベースラインは間違いなく20世紀を代表するものですね。ベースでファンクのノリを楽しみたいときは、いまだにこの曲を頻々と弾いております。

で、話を戻すと、Jerry先生のChicでの演奏がこれまた「めっちゃイイ!」んですよ。Nile Rogersは実に不思議な人というか、若いころから芸風が頭のてっぺんからつま先まで確立しまくりやがった人で、どんな曲をつくって誰をプロデュースしても(Dianna Ross、Madonna、David Bowieなどなど)必ず同じようなモノになります。「芸風はただ一つ」のテーゼを身をもって示していただいているわけですが、彼に絡むJerry先生のベースが超絶にファンキー!ぜひ、以下のモントルーでのライブ動画をご覧ください。


教則ビデオの中でも先生は「ファンクでいちばん大切なのは間(space)である」ということを繰り返し強調されているわけですが、このソロの途中、0:20あたりで大胆な間をとるところがあります。これぞファンク。そのときの先生のイイ顔がまたたまりません…。

ChicはドラムスにOmar Hakimを登用していましたが、Rogers (g) - Barnes (b) - Hakim (d)はファンク音楽の最強のスリーリズムのひとつではなかろうか。

で、こういうこともあるもんだとシビれたのが、6、7年前のとある日。例によって「テラス・レストラン」で食事をしておりました折、ふと横をみると、隣のテーブルにJerry Barns先生がいるではありませんか。ちょいと失礼かとも思いましたが千載一遇のチャンスなので、「Barnes先生でいらっしゃいますね…失礼とは存じますが僕は先生に私淑しているものでございまして、教則ヴィデオを繰り返し観ては演奏の参考にしております…お目にかかれて光栄に存じます」とご挨拶したら、大人(たいじん)の趣溢れる物腰で

「そうかそうか、キミもベースを弾くのか…Chicのブルーノートのライブで日本に来て、いまこうしてバンドの連中と朝メシを食っているわけだが、お主はChicはスキかね?」
「ええ、そりゃあもちろん…」
「じゃあ今夜のブルーノートのライブに来たまえよ…」
「そりゃあもう伺いたいのですが、今夜は仕事でどうしても伺えません…」
「あ、そう。それは残念。じゃあ私の最近のソロのCDをキミにあげましょう」

といって先生は一度自分の部屋に戻って(「テラス・レストラン」はオークラにある)、わざわざMr. Barnsというリリースされたばかりの音源をもってきて、サインまでしてくださいました。さらにはNile Rogers氏もご紹介いただきまして、握手をさせてくださいました。なんとまあ親切な方でしょうか。Jerry先生に(脳内で)師事してよかった!と思ったことは言うまでもありません。

で、話を戻しますが、一昨日いつものように教則ビデオを観ていたときに思いついたのですが、上掲のソロにあるようなファンクのスラッピングはプリアンプの入っているアクティブのベースのほうがなんだかんだいってグッとくるものであります。現在の僕はパッシブ&プレベ主義なので、こういう音は出せません。

で、思い出したのが、25年ほど前に購入したSadowsky Outboard Preampの存在。さがしてみますと、道具箱の奥底にまだありました!

 
これがそれ。

25年当時、その頃よくライブに行っていたバンド「三寒将軍」のベーシストの木村氏に影響されて、僕はDuncanのパッシブのジャズベースを使っていました。で、例によってMarcus Millerに心の底からやられていまして、こういう濡れたNY系の音を出したいものだと念願していたのですが、Marcusで有名になったSadowsky NYCのベースなどは高価すぎてとても買えませんでした。

で、Sadowskyのベースのプリアンプ部分だけを取り出したOutboard Bass Preampという製品があることを聞き及び、当時としては相当に無理をして購入、スラップをするときにライブで使っておりました。

で、パッシブ&プレベ主義に転じて以来すっかり忘れてしまい15年ほど目にすることもなかったのですが、このたび電池を入れ替えてプレベにつないで音を出してみました。はじめはツマミの接触不良でガリガリとヘンな音がするだけで、きちんと音が出なかったのですが、さすがはド・アナログの手作り製品、しばしツマミをぐりぐりと動かしていると、そのうちに昔懐かしい濡れたドンシャリの音が鳴りましたことをここにご報告いたします。現在の基準で聴くと、わりと上品というか控えめの効きかた。機会があればこれからのライブで改めて使ってみようと思います。

それにしてもChicのJerry先生はeeなあ!さ、ライブDVD観よ…。