エゾナキウサギを求めて・・然別湖から東雲湖へ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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然別湖畔温泉「風水」の部屋から天望山(唇山・・湖面に映ると唇に見える)を望む  

2018年8月14日 午前6:28 撮影

 

3年ぶりに盆休みに家内と旅行に行った。

昨年と一昨年は住宅建築と引っ越しのため盆休みは潰れてしまったので、

久しぶりの旅行である。

 

思い立ったのが6月末で、6月中に無効になるANAのマイルが残っていたので、

それを消費しようと思ったのだ。

 

そもそも鉄道好きなので、年に10回くらい東京を往復しているが、

よほどの事情がない限り新幹線を使っている。

だからマイルはほとんど貯まらないのだが、それでも30,000マイルを捨てるのは惜しい。

ということで、6月末でANAの予約が取れる行き先を選んだのだが、結果北海道になった。

 

わたしには、死ぬまでにもう一度見てみたい風景というのがいくつかある。

その筆頭に挙げられるのが、上の写真の天望山の向こう側にある「東雲湖」だ。

読み方は「しののめこ」、別名東小沼とも言うらしい。

44年前に訪れ、これほど美しい風景があるのか、と息を呑んだ瞬間が忘れられない。

 

東雲湖は、「北海道3大秘湖」の1つに数えられている。

その「北海道3大秘湖」とは、東雲湖、オンネトー、オコタンペ湖のことを言う。

 

昭和49年の夏休みの北海道旅行でその「北海道3大秘湖」をまとめて訪れた。

「北海道3大秘湖」という言葉は今ではよく耳にするが、

44年前はブームになりかけた時期で、一般の人はそんな湖は知らないのが普通だった。

 

オンネトーは阿寒湖の近くあって、当時から車道が通じており、

光景の美しさは記憶にあるものの今も昔も行きやすいため、秘境のイメージがない。

そのせいか、何となく印象に乏しい。

 

一方支笏湖の近くにあるオコタンペ湖は、現在湖畔に至る道がなく、

車道の展望台から眺めるだけの状況になっており、隔靴掻痒の感がある中途半端な湖である。

ここには2012年9月にタクシーで訪れて記事にした

 

昔に行った際に「湖畔まで降りた」と書いた上記の記事の記載は間違っており、

実は降りたのではなく車道から湖畔まで登る道があったようだ。

現在ではその道が封鎖されているため、一般人には行く手段がない。

 

昨年まで台風などの影響で展望台に至る道路が閉鎖されていたらしいから、

ある意味秘境かも知れないが、クルマで行って遠くから眺めるだけなので

所詮札幌や千歳から片道1時間で行けるドライブのデートスポットの域を出ない。

従ってオコタンペ湖は遠望は美しいものの、秘湖と言うのはちょっと引っかかる。

 

だが東雲湖だけは違う。

深閑とした山奥にひっそりと在る。

周囲1kmなので、湖というよりほとんど池なのだが、周囲環境からみても孤高の存在である。

然別湖畔から2時間くらい熊笹の茂る道を歩いて行くしかない。

それが結構悪路で、ちょっとした山歩きくらいの装備は必要だ。

 

ここだけは、絶対にもう一度行きたい。

数十年間、ずっとそう思ってきた。

北海道には学会などで開業後の17年で7回も訪れているけれども、

時間と決意がないと行けない場所にあるから余計にそう思う。

 

30,000マイル=30,000円がそれを後押しした。

決意の割に動機が貧乏くさいが、この機会を逃すと一生行けないかも知れない。

幸いぎりぎり切符と宿は取れた。

宿泊先は、然別湖畔に1軒しかない然別湖畔温泉「風水」である。

 

このホテルが実に親切で、JR新得駅まで送迎までして頂いた。

やや高齢のドライバーがこれまた親切な人で、往復のルート上にある施設など

観光案内までして頂いて、標高800m(道内最高標高の自然湖)の然別湖の立地条件などが

よく理解できた。

 

 

新得から然別湖に登るルート上にある扇が原展望台から東に十勝平野を望む

 

44年前には、然別湖畔にあったユースホステルに連泊して

白雲山と天望山に登ったあとに東雲湖に降りるルートを行った。

 

その当時のユースホステルは現在では建物ごと取り壊されていおり、

ホテルマンに聞いても、現在のネイチャーセンターの場所にあったと聞いている

という答えしか帰ってこない。

やはり半世紀近い時間はとても長いのだ。

 

送迎のドライバーだけが、当時から若くはなかった亡きペアレントの男性を

知っておられた。

「とても親切な人でした」と言ったところ、

「話の面白い人でした」と返ってきたが、今のホテルのメンバーにもその心意気は

受け継がれていると思った。

 

もう年なので、昔のようにこの季節に白雲山に登るだけの元気はない。

尻込みする家内を何とか説得して、然別湖畔から東雲湖に往復することにした。
 

 

然別湖畔から東雲湖へのルート

ホテルから登山口(南のくびれの部分)まで車道を20分

湖畔の岩と木の根の道を70分(実際にゆっくり歩いて90分)

湖畔から東雲湖まで軽い登りを20分

 

この日に出会ったのは、男性1人が2組、家族連れが2組とカヤックで来ていた2人であった。

然別湖畔からガイドさんとカヤックで対岸まで行くのが、最も歩くのが少なくて楽である。

冬期にはスノーシューズで凍結した然別を横断して行くことも可能らしい。

 

 

霧で湖面が見えないが、この標識から10mくらい下に湖面がある。

熊笹が茂っており、ダニも多いらしく道もないので、湖面にいくのは覚悟がいるので行かず。

 

標識の手前から東雲湖を望む 2018年8月13日 10:50撮影

 

2013年に行かれた方のブログの写真では、木々に妨げられてほとんど湖面が見えないが、

2017年の強風で手前の木々が軒並み倒れて、展望が開けたそうだ。

東雲湖から然別湖までは細い流れがある谷になっており、霧の通り道になっているため、

小一時間の滞在中にも刻一刻と湖は表情を変える。

 

これこそわたしが44年前からずっと脳にメモリー保存してある映像の具現である。

自分の脳にある映像と完全に一致した。

 

昨年の強風で手前の木々があらかた倒れてしまい、湖面への眺望が開けたのは僥倖である。

この日(8月13日)が曇りながら天気に恵まれたのも幸いであった。

翌日を予備日にしていたのだが朝から雨で、1日ずれたらこの映像を脳に上書きすることは

叶わなかった。

 

だが、今回の旅行の目的はもう1つあった。

鳴き声は聞こえるものの、臆病なので滅多に目にすることがないエゾナキウサギに

出会うことである。

東雲湖の西岸は、全国でも珍しい「生きた化石」ナキウサギの生息地なのである。

 

うちでもうさぎを飼っていたので、基本的にうさぎは鳴かないのは知っている。

しかしナキウサギは「チッチッ」という甲高い声で鳴く。

山に入ってわかったが、事前にその鳴き声を知っていないと鳥の声と区別がつかない。

 

ナキウサギの糞 小さくて丸い糞の塊は明らかにウサギのものだ

 

東雲湖に至る道の右側はがれ場になっており、岩の隙間にナキウサギが住んでいる。

観察力に優れた家内が、湖の手前の岩場で塊になった糞を見つけた。

鳥の声に混じって、確かに鳴き声がするようだ

・・この時点ではどれがナキウサギの声か定かではなかったのだが。

 

東雲湖畔のエゾナキウサギ

 

小一時間の湖畔滞在の最後に、ハムスターくらいの大きさで耳が短い小動物が現れた。

確かに目の前で「チッチッ」と鳴きながら跛ねている。

数分間すばしこく動き回ったあと、木々の中に姿を消した。

 

東雲湖の水深は1m程度らしく、流入する流れも無いので、

数年で消滅するのではないかと10年くらい前から言われている。

ロプノールとはだいぶスケールが違うが、自然とはそういうものだろう。

 

この湖(もはや池)が完全消滅したら、この場所を訪れる人はもっと少なくなり、

天望山への登山者くらいになるであろう。

まさに秘湖の名にふさわしいではないか。

 

 

 

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