AERA記者はいぼ痔理論を学習すべし | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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医学部の大学院生だった頃、恩師の教授から科学論文の書き方につき教え込まれたことがある。

 

それは、以下のようなものである。

・論文の冒頭に絶対に反論されない客観的事実を提示すること

・その事実の次に、自分が考える仮説を提示すること

・その仮説を立証するための実験系を明確に示し、結果を提示すること

 

抽象的な話では分かりにくいので、具体例を述べる。

・前立腺がんは、現在わが国男性における罹患率最多のがんであるが、

 死亡率最多のがんではない(統計的事実)

・これには、前立腺がんの生物的特性や人種的な要因が関与していると思われる(推測)

・本論文では、前立腺がんの予後因子を解明すべく、以下の研究を行った(立証)

という論法である。

 

最初に提示する一文が立証されていないものであると、それに続く論旨が無意味になる。

その例を提示してみる。

・いぼ痔は現在わが国男性を悩ませる最大の疾患である

・いぼ痔は働く男性の勤労意欲を損ね、わが国の経済発展の大きな足かせになっている

・わが国の男性をいぼ痔の苦しみから救えば、わが国経済の発展が期待できる

・いぼ痔の治療開発に研究費を惜しむべきではなく、いぼ痔治療の専門医を増やし

 いぼ痔の医療費を無料にすべきである

・これが実現できれば、わが国は早急にデフレから脱却できるであろう

 

女性だっていぼ痔になるなどとわざわざ解説するまでもない。

最初の一文のエビデンスが示されていおらず、執筆者が勝手に断定しているものである。

だから2行目以下が意味をなさないことはおわかりだろう。

 

しかし、いぼ痔になったことがあるが、病気のことには詳しくない情報弱者がこれを読んだら、

「いぼ痔の医療費を無料に」というプラカードを持って、国会前でデモをするかも知れない。

 

科学論文に限った話ではない。経済論文でも政治的な論説でも同じである。

先ほどネットの記事を見ていたら、以下のような文章が目に入った。

AERA.dot.という朝日新聞が運営するサイトの記事である。

https://dot.asahi.com/dot/2018051700087.html?page=1

 

冒頭を引用する。

 北朝鮮が韓国、米国、中国など各国の首脳と次々に直接交渉を開始しているなか、

 日本の安倍晋三首相は「蚊帳の外」に置かれている。

 「外交の安倍」を自認していたにもかかわらず、激動するアジア情勢で主導権を

 まったく発揮できていない。

 なぜこんな状態になっているのか。

 

と記載されており、以下に次のように続く。

 政治学者・白井聡氏によると、そこにも「戦後の国体」に支配された

 日本人の呪縛があるという。

 

筆者は「日本の安倍晋三首相は「蚊帳の外」に置かれている」と勝手に断定して

それ以降の論説を述べているが、まず、安倍晋三首相は「蚊帳の外」に置かれていることを

実証することから始めるのが論説の基本というものだ。

 

これでは先ほどのいぼ痔理論と同じではないか。

もしこの記事の筆者がいぼ痔になったら、

「いぼ痔の新薬開発にわが国の医療界の叡智を結集すべきだ」

などという記事を書くのだろうか。

 

このAERA記者は、論説文の書き方をABCから学び直すべきである。

 

 

 

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