おみごとなリースリング・・ザウアーのシュペートレーゼ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

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ホルスト・ザウアー エシェルンドルファー・ルンプ・シュペートレーゼ・トロッケン 2009
開栓日    2011年12月22日
インポーター 緑家

年末に開栓していて、アップが遅れていたフランケンである。
この時期のリーエスリングは、刻々と変化すると緑家さんから聞いているので、
半年くらい家で寝ている間に変化があったかも知れない。

緑家ご本尊はもちろん、ラブワインさんスカルさんもすでに開栓されていて、記事にされている。
結論から書くと、記事から想像するよりずっと底力のあるワインであった。

今や白ワイン品種の王座を占めているのは、シャルドネであると誰もが認めざるを得ない。
最高人気のシャルドネとなると、市場価格からはコート・ド・ボーヌ産に疑いないが、
例によって不安定である上に、価格は非現実的なほど高い。

今回のワインを開ける直前に、ルフレーヴのシャサーニュ・モンラッシェ村名2009を
開けてみたのだが、価格に見合うものとは到底思えなかった。

ドイツのリースリングというと、未だに多くの人は甘いワインを想像するようだが、
当然そんな時代は過ぎ去っている。

開栓してすぐの香りは、慣れ親しんだリースリングのそれである。
リースリング特有の、アプリコットや洋梨の香りがする。
家内が「アウスレーゼの香り」と言うが、絶妙に正解を突いている。

シャルドネより香り自体が甘く、そして重い。
飲んでみると液体自体がわずかにトロリとして、比重高く感じる。
土壌が石灰質であるイメージ通り、ミネラルに関しては言わずもがなである。

わずかな残糖感があり、酸が少し足りない。
これはきっと開栓時期が緑家さんが開栓された時期から、半年以上が経過しているからだろう。

しかしこのボディの強さはどうだろう。
2日目にもまったく落ちることはなく、3日目になっても落ちない。
わざと数日置いておいたが、いつまでも落ちて惨めな姿を晒すことがない。

緑家さんが、日によって違う果実の香りがすると書いておられる通り、
2日目には桃の香りを感じたりする。
シャープな酸は、スリムなボディとセットになっていて、
このワインのような遅積みの果実にそれを求めるのは無理ではないか、と思う。

同じ2009のルフレーヴの村名と比較して、ブドウの出来が違うと言わざるを得ない。
ブドウ産地として、シャサーニュ・モンラッシェが洗練された都会なら、
フランケンはど田舎かも知れない。

しかしブドウの質は偽れない。
見る人が見たら、すぐに分かってしまう。
こんなものが、広く世界に受け入れられ、広がらないことを、祈る。