洋の「アキュイール」と並び、わたしが最もリピートしたくなる和の店が「直心」である。
約半年ばかりご無沙汰してしまったが、一昨日に久しぶりに訪問した。
先々週から、新築された自宅を兼ねた新店舗に移っており、ピカピカのお店に訪問することとなった。
場所は前の店の最寄り駅であるさくら夙川駅から、真っ直ぐに北に上がったところで、
阪急線より少し北西の場所になった。
阪急夙川駅から、東側の建石通りを信号2つ北に行き、南郷町の交差点を西側(川の土手側)に
少し入った静かな住宅街の中にある。
西宮市大井手町7-17
0798-71-5858
今回は東京から2人の客人が来られるとのことで、どこかお勧めの店を、ということになって、
迷わず直心をご指名した。
東京の2人とは、最近注目されている、ある薬剤の発見者である薬学博士と、
その部下である、都会的で魅力的な女性である。
今回分かったのだが、この極めてアクティブな女性はこのブログのコアな読者であった。
うちのウサギが超後期高齢ウサギで、人間に当てはめると90才くらいである、
と言ったら驚かれていた。
通りから少し奥まったところに玄関がある
なぜか店名が内向きになっている照明具
店の名前を出す意図ではなく、店名を書いておかないと盗まれるから、書いてあるのだそうだ。
右手が入り口
なつかしい旧店舗の看板が、左壁に
店内に入ると、檜の一枚板のカウンターがでーんと設えられており、
新しい木の香りが出迎えてくれる。
ここでシャルドネを開けると、樽香など必要ないと思えるかも?
わたしは日本酒も好きだが、直心の繊細な料理に合わせるには甘すぎる、と思っているので、
今回も手近にあったシャンパーニュとワインを持参した。
シャンパーニュ ペルソン NV
実は自宅で前日にも飲んでいたシャンパーニュである。
奥行きも深みもミネラルもないが、新鮮でストレートなのが取り柄である。
直心に七面倒くさいシャンパーニュやワインを持ち込むのはヤボというものだ。
一口飲むと、前日飲んでいたボトルより明らかに甘い。
かつては洋なし系の香味があったが、このボトルはもっと単純な甘さである。
さすがRM、微妙なボトル差があるな、と感心するが、件の薬学博士も甘いと評価される。
初めて一緒に酒を飲む相手には、わざと甘めのシャンパーニュを提示した方が受ける、
と思って持参したが、初っぱなから甘いとおっしゃる。
「このシャンパーニュを甘いと言う人は危ない飲み手である」
と言ったが、その通りであった。
ドメーヌ・ルフレーヴ マコン・ヴェルゼ 2009
フィリップ・ブシャール オート・コート・ド・ニュイ 2007
言うまでもなくマコンはルフレーヴの最低ランクのワインで、本来のルフレーヴの姿を
感じさせるレベルのものではない、という評価もある。
しかし、こだわらなければ単純に美味しく、料理に合わせるには過不足がない。
温度が上がると香ってくるが、2009はボディがしっかりしていて、
ふくよかなヴィンテージであることを予感させる。
となりの薬学博士も、チャームな女性もお気に入りであったようであった。
次に開けたオート・コート・ド・ニュイは、たまたま仕事場の冷蔵庫に冷えていたもので、
ドライなだけが取り柄の、香りもコクも乏しいワインだった。
普段飲んでいるものとの差を歴然と感じる。
オート・コート・ド・ニュイという地域名を冠したワインにも、
こんなレベルの低いワインがあるのだ、とちょっと感心。
誰だこんなくだらないワインを引いてきたのは(インポーターは徳岡)。
毎度お馴染み、北海道の紫海胆
富山産白海老と淡路産紫海胆
満願寺唐辛子
稚鮎の南蛮漬け
椀もの ヒラメとじゅんさい じゅんさいが新鮮
ボタン海老 海老味噌が濃厚である
刺身 スズキとよこわ
甘鯛 うろこは取ってある
いちぢくとゴマクリームの相性が絶妙
蛸
湯葉の中には鮑が 食感も楽しい
相変わらず料理の流れが楽しい。
ワインのあとで日本酒を頼んだが、やっぱり甘い。
ドライなものは無いの?と所望したら、最後に大西さんが「仁左衛門」を出してこられた。
1合だけ頂いたが、これがこの日最高の酒であったことは疑いがない。
しかしまあそれはよい。
白木のカウンターを前に、久々に直心で盛り上がった夜であった。
店が新しく広くなって、ちょっと豪華な雰囲気になったが、となりの人と肩が触れあう
前の店の狭さもちょっと懐かしい。
しかし、料理の素晴らしさは相変わらずである。
きっと東京からやって来られた2人も満足されたと思う。
お願いだから、店のグレードアップで☆が増えたりしないで欲しい。