香り芳し・・シャソルネイ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~
ドメーヌ・シャソルネイ オート・コート・ド・ボーヌ 2004
購入日    2006年4月
開栓日    2010年12月27日
購入先    下里
インポーター コスモ・ジュン
購入価格   3900円

ブルックナーは第9交響曲を書きながら、前に書いた第4の手直しをする、
なんてことを日常的にやっていたようで、出来上がったシンフォニーの多くがあとで手が入っている。
しかも他人が生前や死後に楽譜に手を入れたりしているので、どの版が決定稿なのか
さっぱり分からない、なんてことになってしまっている。

わたしの性格は優柔不断なブルックナーに似ているようだ。
ただし、完成された作品の質は天と地ほどにも違うけれど。

書き上げたはずの10,000字のテキスト原稿を読み直すたびに書き直す、
という不毛なことばかりやっていて、いつまで経っても終わらない。
やっぱりわたしは作家には向かないようで、ポプラ社の文学大賞に応募しなくて本当に良かった。

しかし、ついに先ほど英断して脱稿し、学会に送付した。
昨日届いたワインが当たる教授の原稿もいっしょに送付し、これで一段落付いた。
もう来年はネタがないから勘弁して欲しい。


さて、年末に開けたワインの記録がまだ残っている。
シャソルネイの2004だが、おそらく枯れてはいないと思うものの、どこまで元気か
開栓前にはやや不安があった。

ところがこのボトルは意外にもまだまだ若々しくて、例の梅鰹の香りも健在である。
相変わらずサン・ロマンとの区別なんぞちっとも分からないのだが、
こちらの感性がボケているのか、自然派だからそうなのかは不明である。

しかし、村名格のワインでであることは納得できて、おどろおどろしさとか複雑さは
あまり感じられなくて、含み笑いをしている謎の美女、なんていう趣きはない。
その分素直に楽しめる。

ちょっと事情があって開栓翌日と翌々日には飲めず、4日目になって残りを飲んでみたが、
芳香は健在で、グラスに注ぐとものすごく良い香りが周囲を満たす。
そこでとても幸せな気分になるのだが、それも15分くらいで消え去ってしまう。
肝腎の液体の味わいは、さすがに4日目となるとやせ気味になっていた。

古典的な造りのピノ・ノワールの間に挟んでときどき開栓したくなる、
独特の魅力を持っているワインである。
これなら価格もまあリーゾナブルである。

しかしいつも書いている通り、どことなく不安定感がぬぐい去れないのは、
ビオワインとしての宿痾なのだろうか。
この作り手だけの話ではないことは、十分分かっているつもりなのだが。