学会を控えた先週の日曜日、娘の大学院合格祝いを兼ねてアキュイールを家族で訪れた。
今回は新しく企画されたメニューで、これまでの9000円台ではなくて
12,000円という超豪華スペシャルコースでお願いした。
父親というのは、食いしん坊の娘の要求には弱いのである。
品数が増えたがそれぞれのポーションがやや小さくなっていて、
量としてはそんなに増えているわけではない。
デザートまで含めて料理に流れがあり、その分色んな料理が楽しめて、
満足度が上がったと言えるだろう。
パースニップのグジェール
ヴィシソワーズのそのグラス
最初は一口サイズのタマネギ味のシュークリームみたいなもの。
2皿目(実質最初の品)は定番で、ヴィシソワーズとはジャガイモのポタージュスープで、
シャーベットが入っていて冷たい口当たりである。
上に乗っているサクサクしたのは、要するにイモのチップである。
オマール海老のブランマンジェとガスパチョ・ヴェール
このシェフがおそらく最も神経を使って仕上げてくるのが、スープ料理だと思う。
今回で4回目の訪問になるが、これまで2度と同じものが出てきたことはないし、
一度もハズレがない。
今回は海老の香りがするムース風のブランマンジェで、緑色のスープはパプリカなどの香りが
して、上に乗っかっている海老と食すと、幾重にも味が重なり飽きさせない。
どこまでが計算ずくなのか分からないが、これは芸術的な1品である。
鮑、帆立、シロミル貝と色々なキノコのリゾット トュリフ添え
一転してねとりと濃いリゾットであるが、これも色々な貝とキノコの風味が楽しめる。
家内と娘が、鮑の肝が美味しいとか言っていたが、わたしは知らずに食べていて気付かず。
サプライズはないが、これも味覚の豊かさを試される1品である。
フォアグラのミルフィーユ仕立て イチジクのヴィンコット
これは定番ですでに3回目になるが、飽きは来ない。
前回前々回と異なるのは、添えられているフルーツとそのソースは、マンゴーからイチジクになった。
このイチジクはとても美味しくて、デザートにアイスクリーム添えで出されてもいいのではないか。
富山県産キジハタのポワレ
本日の魚料理だが、キジハタの下にはイモが敷かれ、上にはそのチップが添えられる。
サクサクした食感が快適である。
イモの名前は・・忘れた。
レモンとジュニエーヴルのグラニテ
フランス・ランド産 仔鳩のロティ コニャックのソース
メインはまた鳩だが、これも3回目である(2回目はブログ未記載)。
わたしを含むうちの家族はすごい鳩好きなのだ。
これまでの2回はシャラン産で、1回目は新鮮だったが2回目はちょっと熟していて
同じ料理でもかなり味わいは異なっていた。
どちらかと言うとわたしはフレッシュな方が好きである。
今回はシャラン産の鳩ではなくて、ランド産の仔鳩となり、少々小ぶりになった。
このコースの中ではこの量でも十分で、1回目のようにフレッシュである。
胸肉もももも心臓も肝も少しずつあり、食感の変化が楽しめる。
鳩をここまで美味しく食べさせるシェフが、わが家では人気が高いのである。
フロマージュ オッソ・イラティとピオーネ
デセール1
オリーブオイルのアイスクリーム
20世紀梨のコンポートと洋梨のジュレ
1品目の小さなデザート。
このオリーブオイルのアイスクリームはとても美味しい。
温かいショコラのスフレとパッションフルーツのソルベ
今回娘がチョイスしたものだが、これは前回わたしが選んで経験済み。
茨城県産メロンとココナッツのスムージー ミントのジュレ
また選んでしまった。これまた定番で、今回で3回目になる。
3回とも大満足だったが、次回来た際にはさすがに別のデザートにすることになるだろう。
フランソワ・ラマルシュ ラ・グラン・リュ 2000
購入日 2007年2月
開栓日 2009年9月5日
購入先 かわばた
インポーター アルカン
購入価格 14200円
持ち込ませて頂いたワインは、特級畑が並ぶヴォーヌ・ロマネの銀座にあって
なぜか評価がよそより格段に低い、ラ・グラン・リュである。
評価が低いというのは正しくなくて、ロマネ・コンティを含む周りの価格的評価は
高すぎるのである。
今回が初めてだったかと思ったがそうではなくて、80年代のものを飲んだことがあった。
同じ年の1級畑、ラ・クロワ・ラモーを開けたことがあるが、それと似たような印象だ。
乏しいタンニンにひ弱なボディ。
一見してどこがグラン・クルなのかおそらく素人には分からないだろうが、
どっこい香りにはヴォーヌ・ロマネらしく、果実とスパイスが複雑に入り交じって漂う。
時間限定の上、とても弱々しいのだけれど。
その香りはグラスに注いでから30~60分くらいの間にしか現れず、
うっかりスワリングでもしたらすぐに消え去り、優しく扱っても1時間以上は持たない。
この日振らないように持って行ったのだが、それでも細かい澱が舞っていたようで、
開栓直後は軽いブショネかと思ったくらい、澱香が漂っていた。
あやしいなあ、と口にしたら、ソムリエの中多さん(シェフの若い奥様)がキッパリと
「いいえ、これはブショネではありません。もう少ししたら落ち着いて果実が香ってきます」
とおっしゃったのには感心した。
若い女性ソムリエだが、さすがはプロである。
こぢんまりしたグラン・クルだったがそれなりに楽しめて、まあ満足ではあったが、
これは翌日まで持ち越しても力を持ち続けるワインではなく、
開栓後2時間以上たった宴の終わりには、酸味ばかりの酸化した状態になっていた。
まあ危なっかしいワインを持って行ったものである。
グロかグロフィエかルソーあたりの大御所の定番にすべきだったかとも思うが、
家を出る直前に、ふと目についた1本を選んでしまったのである。
どういうわけかこのワイン、2002から2006まで揃っているが、2000でこの調子なら
もうあとのヴィンテージも遠慮無く開けていって良さそうだ。
この価格なら決して大きな不満がある、というわけでもないのだが、
まだブドウの樹が若いのか、畑の状態が万全でないのか。
ヴォーヌ・ロマネの銀座にあってこの微妙な値付けが、このワインの置かれた
釈然としない位置づけを物語っているようだ。