滋味ある薄口・・ロック | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ドメーヌ・プリューレ・ロック ニュイ・サン・ジョルジュ 1er 2004
購入日    2007年3月
開栓日    2008年10月5日
購入先    Alcoholic Armadillo
インポーター 野村ユニゾン
購入価格   4200円

世界大恐慌と言わんばかりの、ものすごい株価の暴落が続いている。
わたしの資産も、この数日で数千万円が飛んでいった(ウソ)。
これからどうなるのか、また、自分はどうすべきか、考える気にもならないが、不安はある。

昨日の経済ニュースを見ていると、30代前半の金融系企業の社員の年収が3千万とか4千万とか
言っていて、インタビューに応じていた人も、200万円の時計を持っている、と言っていた。
もちろん日本人の話である。

素晴らしい技術を持って、こつこつと製造業に携わっている人が低収入にあえいでいるし、
労力のいる介護関係の仕事に就いている人は、あまりの定収入のために定着しない、と聞く。

バクチみたいなマネーゲームに関わる人々が楽してもうけている、とは言わないが、
製造業の人と比べて法外なまでの高収入を得て、高いワインを開ける、というのはどこかおかしい。

経済ニュースを見ていて、愉快になることは最近あまりないが、
スポーツニュースに至っては、もっともっと不愉快だ。
飲み友達の女医0先生は、はらわたが煮えくりかえっていることとお察しする。
腹いせまぎれに高いワインを開けたくなったら、呼んで下さい。


さて、先日コサールのサン・ロマン2004を開栓し、濃さと深さを伴った果実味に感心し、
これなら2004でももう飲める、と思って同じ年のビオワインを開栓してみた。

わたしのように、細かいことをあんまり気にしない人間にとっては、ロックとコサールの個性の
違いなんて、考えたこともない。
今回日を置かず、同じヴィンテージのワインを開けて、ちょっとは違いが分かっただろうか。

いや、1本1本の違いは当然分かるのだが、それが畑の違いなのか、造り手の違いなのか、
保管状況などによるボトル差の問題なのか、までは当然分からない。
2本の最大の差違は、コサールが濃くて、ロックはあっさり、ということだった。
濃密と軽妙とも言える。

コサールが気に入る飲み手には、このロックは軽すぎて物足りないだろう。
若すぎるから、余韻や複雑さに乏しい、という印象もある。
そう思ったのは、酸化したせいか、2日目の方が柔らかく、滋味を背後に感じるようになったからだ。

そして、いつも同じ感想を抱くのだが、どうしてこれらのビオワインはテロワールが
分かりにくい、いや分からないのだろう。

例えがあまりよくないが、セザール・フランクの交響曲ニ短調を、同じ指揮者が振っても、
オケがベルリンフィルととパリ管弦楽団では、相当印象が異なった違ったものになるに違いない。
手練れの聴き手というものは、そこに偶発的に醸し出される、一期一会の
時間芸術の醍醐味を感じ取るのである。

ロックやコサールのワインを完璧な保管状態で、長期に保管したとすれば、
土地の持つ個性やその年の天候が反映された、人智を越えたワインとして楽しめるように
熟成するのだろうか。

わたしは、この質問に対する答えが知りたい。