樽香と果実味の協奏・・ローラン | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ドミニク・ローラン ブルゴーニュ・ルージュ・ヌメロ・アン (No1) 2002
購入日    2005年4月
開栓日    2007年12月29日
購入先    キタザワ
インポーター 山信商事
購入価格   2340円

すでに新年になり1週間が経過するが、まだまだ昨年のワインの記録が終わっていない。
例年以上に9日間も休みを取ったというのに何をしていたのか、というと
初詣も行かず、家でだらだらすることもなく、老人ホーム巡りをしていた。
町医者は医療だけでなく介護のアドバイスもできなければ勤まらない。
あ、書かねばならぬ論文2編がまだほったらかしになっている・・・

さて、これがおそらく昨年開けた最後の赤ワインである。
3年近く前に購入し、最初の1本を2年以上前に開けたが、その後もう1本開けた
記憶がある。
探してみたら記録があった(2本目)。

これまでは樽香のある薄めのACブルだった、という程度の印象しかないが、
今回の3本目はかなり個性的だった。
やっぱりACブルとはいえ、飲み頃になるにはここまで待たなければならないのだろう。
角が取れてまあるくなった樽香と果実味がうまく解け合っている。

元々あまり果実味が強くて濃いワインではないので、こんなに新樽を使うと
違和感を覚えるのだが、こけおどし的な樽香のかけ方はしていない。
だし味のように、樽の芳香が微妙な味として感じられる。
モンペラのようにわざとらしく、焦げ臭いのとは対照的だ。

不思議なことに、開栓後1~2日で樽香と果実味のバランスが微妙に変化する。
樽香は後退し、果実が複雑さを脱ぎ捨て、単純な甘さとして残ってくる。
絶妙なバランスのワインだったのに、3日経つと凡庸なACブルになってしまう。

面白いワインだった。
薄くて旨いだけではなく、奇妙な、しかし押しつけがましくない味がついている。
それが気になる神経質な飲み手だったら、1口で顔をしかめそうである。
無神経な飲み手なら、このワインが持つある意味強烈な個性に気付かず、
凡庸なピノ・ノワールとしか思えないだろう。

このワインを今飲んでのわたしの感想は・・・
完成度が高く、玄人好みの芸を披露している手練れの技を感じる。
ニヤリと笑って、ちょいとやりすぎやおまへんか、と皮肉りたくなるというのが
正直なところだ。