「騙された❗️全くもぉプンプン

今日は憤慨しながら営業所の廊下をカツカツ音を響かせて歩いていた。


それはまるで社内の巨悪に立ち向かう坪井千夏(ショムニ)or花咲舞(が黙っていないわよ)or半沢直樹が憑依したような気持ちだった。

(もちろん実際にはお洒落なオフィスではないので、薄汚くて蒸し暑いだけの廊下を便所サンダルでペタペタ歩いてただけ)



去年、最高にときめいたあの夏の日。


夫カンタロウにはとても申し訳ないのだが、イノウエ巡査に抱かれたあの多幸感は忘れられない。



あれから11か月。今年も再び職場内での防犯研修(不審者対応)が実施された。


「イノウエくんに会えるラブ

それだけを励みに今週仕事を頑張った。



去年の俺はお客様役だったので不審者役のイノウエ巡査の逞しい腕に抱かれて刺された。


そして今年はなんと嬉しいことに、不審者役のすぐ近くに張り付いて、対応する面々の様子を観察する記録係に抜擢されたのだった。



不審者役のイノウエ巡査にびったり寄り添ってバディを組めるなんて…


ご機嫌だわぁ

ルンルンしていた。




ところが今年の不審者役はイノウエくんではなかった。かつて警察官だったというOBだった。


単なるオールドボーイじゃなく

オールド

オールド

オールド

ボーイ、だった。


OOOB=爺さん



こんな屈辱は久しぶりだった。

このOOOBは普段弊社と警備関係の仕事を契約しているのだが、いつも酒臭くてヤニ臭くて、勤務時間に昼寝ばかりしている。

そして昼休みに2~3時間行方不明になるというとんでも爺さん。



職場では常日頃ぐうたらの俺ですら、

「ひどすぎるから担当を替えた方がいい」

と所長に直談判したこともある。



そんなOOOBとバディを組むことになり、せっかく芽生えた訓練へのやる気は宇宙の彼方へ飛び去ってしまった。


そうなると防犯研修なんてまるっきり意欲もなく、今にも雨が降りそうな空をただぼんやり眺めるだけだった。


イノウエくぅん…ショボーン


しょんぼりしていると、いつの間にか訓練も終了していて、みんな通常業務に戻っていた。



不幸中の幸いなのは、カンタロウにはまだ何も言ってなかったこと。

「カンちゃんカンちゃん、今年もイケメン警官に抱かれるの」

「ぴったり寄り添えるから嬉しわ~」

「イノウエくん、大好きぃ」

なんて事前に自慢していたらこの顛末に大笑いされるところだった。



だけど…

帰宅してから思い返した。


そもそもカンちゃんの外見が俺好みの逞しい男ならよかったんじゃないの?

そしたら「イノウエくぅん♥️」なんてならないわけだし、会えなくて失望することもないだろう。


イノウエくんに会えなくて夢やぶれた今日。

もはやカンちゃんに八つ当たりしなきゃ気が済まない❗️笑


と思っていたらカンちゃんは今日の仕事中に何かに身体をぶつけたのか、尾てい骨に激しい痛みが走り、歩いたり動いたりできないとついさっきメールがきた。



わぁんごめん。

八つ当たりなんて邪なことを考えた俺のせいだったらどうしよ…

骨折なんかしてないといいけど。



こらからはイノウエ巡査にうつつを抜かさないのでカンタロウの痛みが早く治まりますように…


やはりカンちゃんを大切にしていかなればいけない運命(さだめ)。