今日はなぜだかパーマのかかり具合がすごくちょうどいい。

朝起きて、顔洗って、早朝エゴサーチをかました時点で、
セットもしてないのにここ数年で一番オシャレな髪型ができあがっていた。
きっと今、斎藤工が僕とすれ違ったら鏡と間違えて、前髪を直しだすんじゃないだろうか。
そして顔面の劣化に驚いて失神するんじゃないだろうか。
そのくらい今日の僕の頭は壁ドンなのだ。

しかしながら今日は誰とも会う予定がなく、
この頭を誰にも見せびらかすことができず、
部屋のCDラックの一番手前から、
「カレーライスの女」のジャケットのソニンだけが僕の頭を見つめている状態だ。

どうにかして頭を見せびらかしたい僕は
自己愛が漏れないよう、さりげなく自撮り写真をSNSにアップする口実を考えた。

新しいカメラアプリのデカ目機能の凄さを紹介するフリして
自撮り写真をアップしてみようか。

興味のないアロエ系ヨーグルトの新商品を無理やり購入して
「やっぱり森永乳業さんはわかってらっしゃる☆」
みたいな文章とともに透明なスプーンを咥えた自撮り写真をアップしてみようか。

ずいぶん会ってもいない中学の友達に「赤ちゃん生まれたらしいじゃん♪」と連絡をとり、
東京ばな奈の一番安い詰め合わせでも買って家に上がり込み、
強引に赤ちゃんを抱っこして、写真を撮りまくり、
その中からたとえ赤ちゃんが鼻水まみれだろうが、自分の写りが一番いいものを採用してやろうか。

どれもだめだ。
僕みたいなやつに見つかってしまう。

僕みたいな
自己愛は人一倍強いくせに、
それが表に出てくるのを必死に抑えていて、
それを抵抗なくできてしまう人を、
軽蔑と同族嫌悪が七三分けで入り混じった感情で睨みつける
やつに見つかって裏でチクチク言われてしまう。

ということで僕はブログでも書いて
誰にも見てもらえない頭頂部の斎藤工を成仏させようと考えたわけだ。

そもそもなぜ31歳のおじさんがパーマネントをあてることになったかというと人見知りだからだ。
当然のように美容院は苦手で、理由はいうまでもなく、美容師さんとのコミュニケーション。
中でも苦手なのは、美容師さんの指名だ。
そんなのもう好きっていってるようなもんじゃん!恥ずかしいよ!
と僕の中の多部未華子似の女子中学生が叫びだす。
ましてや、異性の美容師ならもう告白だ。
まあ、この告白の場合ふられることはないわけだけども
それがまた面倒だ。
向こうは僕の髪なんて切りたくないけども指名されたから嫌々ハサミを入れ、
会話なんてしたくないのに指名されたから嫌々「花火大会とかいくんすか?」と聞いている。
のかもしれないという懸念が生まれてきてしまう。

なので僕は指名もせず、毎回店を変え、ヘアサロンジプシーとして
ホットペッパービューティーでカット3000円以内の店を探し、転々としていた。
そうなってくると近所の美容院は行き尽くすこととなり、
かといって遠くの美容院まで行こうものなら「この人すげー遠くから来てんじゃん!めっちゃうちの店好きじゃん!」と思われ、またしても僕の中の多部ちゃんがのたうち回る。

そんなこんなで行く美容院がなくなってきた頃、
カットモデル募集アプリなるものの存在を知ったのだ。
なんでもプロフィールを登録すればカットモデルを探している美容師さんの方から連絡がくることがあるとのこと。
まさかの逆指名。
つまりは◯◯◯年に当時高校3年の◯◯選手が◯◯球団を蹴って◯◯に入団した
ときのようなしびれる展開が待っているということだ。
◯◯はそれぞれの思い出の野球関係のあれを思い浮かべてほしい。
僕は野球が全くわからないが、母校が初めて甲子園に出場したことにより、
野球で例えてみたい気分なのだ。

アプリにプロフィールを登録すると
すぐに3人の美容師さんから「切らせてください」と連絡が来た。
なんだこれは。モテモテじゃないか。
僕はそんなに切りたくなる顔なのか。
そんなに素材を生かせてないのか。
この髪型で街を歩くなんて恥ずかしいことなのか。

喜びから一瞬にして暗い気分になりかけたが気持ちを立て直し
その3件の中で家から一番近い美容院に行くことにした。

そして「カットモデルなんでパーマ掛けても1000円ですよ」というので
大盛り無料の場合は必ず大盛りにして帰り道に軽くえづくタイプの僕は
「じゃあパーマも!」という感じでパーマもお願いしたのだ。

長文に疲れてきたのでこのへんで
カットモデルアプリの紹介ブログだった事にして終わろう。
みんなも使ってみてね☆