スポーツのビジネス感覚の相違 | がいちのぶろぐ

がいちのぶろぐ

環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

アメリカのプロ・バスケットボール・リーグのドラフトで、日本人初となる指名を受けた八村塁選手が、現在行われているサマーリーグで大活躍して話題になている。

 

サマーリーグはオープン戦のようなものだが、若手選手にとってはロースター入りを賭けた戦いでもある。ロースターというのは、いわば1軍メンバー入りということだ。

 

スポーツには「本場」というものがある。バスケットボールや野球ならアメリカが本場だし、サッカーならスペインやイングランド、イタリア、ドイツなど、ヨーロッパの強豪国や南米になるのだろう。

 

こうした「本場」で活躍をすることが、スポーツ選手にとっては最高の栄誉ということになる。だから、バスケットボールの最高峰となるNBAのメンバー入りをすることは、八村選手にとって最高の栄誉ということだ。

 

すごい選手が現れたものだと思う。これから、世界選手権や来年のオリンピックでも、日本代表チームの大黒柱として、大活躍を期待したいと思う。

 

それにしても、海を渡って活躍しているスポーツ選手が随分と多くなった。野球のメジャーリーグでは大谷翔平選手や、ダルビッシュ有投手、マー君田中将大投手、マエケン前田健太投手、さらに大谷選手の高校の先輩の菊池雄星投手などがいる。

 

そんな中で、練習拠点として「本場」を選ぶ選手も増えている。まずは、陸上競技で大活躍をしているサニブラウン選手は、アメリカのフロリダ大学に在学して急速に力を着けてきた。

 

スピードスケートの小平奈緒選手は、「本場」オランダのチームに所属して練習をしている。また、フィギュアスケートの羽生結弦選手は、カナダを練習拠点にしている。

 

先年のリオ・オリンピックで、カヌー競技の急流を漕ぎ下るスラロームの銅メダルを獲得して、日本人初のメダリストとなった羽根田卓也選手は、高校卒業後に単身で「本場」のスロバキアに渡り、この国の大学・大学院に進んで練習を行ってきた。

 

それぞれの競技の「本場」では、そのスポーツが人気もあり、練習施設やコーチなどの指導者も数多くいる、恵まれた環境だということができる。だからそこで練習すれば、他の選手から刺激も受けるし、学べることも多くなる。

 

9月から世界選手権が始まるラグビーも、ヨーロッパの6か国対抗戦や、南半球の4か国対抗戦(ザ・ラグビーチャンピオンシップ)など、世界のトップレベルの国々の対抗戦や、スーパーリーグなどというクラブのトップ・リーグもある。

 

前回のワールドカップでは、日本代表がこの南半球4か国対抗に参加している南アフリカから、劇的な逆転勝利という大金星を挙げたから一気に盛り上がった。

 

今回こそ、予選リーグを勝ち抜いてほしいが、今回、日本が入っている予選プールAには、ヨーロッパの6か国対抗に参加している、スコットランドとアイルランドが入っているから、今回もまた大変だ。

 

卓球はかつて日本のお家芸だったが、その地位は長らく中国に奪われてしまっている。その中国のスーパー・リーグに、一時期は福原愛選手が参加して話題になった。

 

しかし現在は、日本選手の実力が上がってきたため、このスーパー・リーグには日本選手の参加が認められていない。そこまで脅威を与えるようになったということで、これはこれである意味凄いことだと思う。

 

ところでサッカーである。この間、18歳の久保建英選手がスペイン・リーグの、世界でもトップ・クラブのレアル・マドリードへの移籍が決まり、大ニュースになっていた。

 

と思ったら今度は、Jリーグ鹿島アントラーズの20歳の安部裕葵選手が、レアル・マドリードの最大のライバルチームのバルセロナへの移籍が発表になった。

 

サッカーは、本田圭祐選手や長友佑都選手、香川真司選手など、日本を代表する選手たちが、続々と海を渡って世界でプレーしている。だから日本代表チームも、日本国内でプレーする選手の方が圧倒的に少数派になっている。

 

サッカーというスポーツは、世界で最も人気のあるスポーツの一つだと思うけれど、こうして日本の有力選手が数多く「本場」ヨーロッパで活躍しているのと同時に、本当に数多くの選手が、世界各国のクラブチームに在籍している。

 

最近、長友選手がトルコのチームに移籍し、本田選手はオーストラリアのチームに所属しているように、案外と知られていないことかも知れないが、東南アジアや中東諸国、さらにはアフリカの国々まで、多くのクラブチームに大勢の日本人選手が所属している。

 

かつてJリーグで活躍していた選手もいれば、Jリーグには所属できなかった選手など、それぞれの経歴も様々だが、数百人の単位でサッカー選手が海外でプレーをしている。

 

日本代表チームの監督に、海外から何人もの監督が招聘されたり、逆にタイのサッカー代表チームの監督に西野朗氏が就任したりするように、サッカーというスポーツは、世界中を人とお金が動き回る、世界ビジネスだということが言える。

 

スポーツ選手が「本場」で頑張って成功を収める、という栄光物語の部分もあれば、サッカーのように、その国やチームの状況に合わせて、そのレベルで要求される選手を世界中から集めるというプロ・スポーツもある。

 

だから、サッカー選手はヨーロッパ、北米、南米、中東、アフリカ、東南アジア・オセアニア、東アジアと、世界中の国々でプロ契約を結びながら、転々と移動をしている。

 

これを支えているのが、選手の代理人として、マーケットで移籍の交渉に当たるマネジメント担当者の存在である。こちらもプロの交渉担当者がいるから、選手もそれに任せて移籍が可能になる。

 

日本のプロ野球のように、代理人を立てての交渉はダメとか、海外移籍にはこんなルールで縛ろう、などという話は、サッカー界では有り得ない話なのである。

 

昨日までヨーロッパでプレーしていた選手が、来週は南米のグラウンドにいても何の不思議もないことなのだ。

 

そう考えれば、日本のプロ野球って、日本の中だけで完結してしまっているから、日本人の野球ファンには面白くても、海外ではきっと何の話題にも上らないのだろうと思う。

 

日本のプロ野球というシステムは、ビジネス感覚ではなく、いまだに主人と丁稚・小僧のような関係のままのような気がして仕方がない。それほどに、恐ろしく遅れたシステムのプロ・スポーツだと思う。

 

この先、高校球児も徐々に減って行くようだし、テレビの地上波でも野球の中継が本当に少なくなった。プロ野球の経営者は、この状況をどうする気なんだろうと、他人事ながら思わずにはいられない。