副業がウーバー・イーツはもの悲し | がいちのぶろぐ

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蒸し暑い日が続いている。それでも梅雨前線は南の海上に居座ったままで、中々北上して来ないから、西日本は梅雨入りすることもなく蒸し暑さだけがある。

 

こんな日曜日は、私も何を考えるでもなく、ぼんやりと過ごしている。やるべきことを書き出してあるTo Doリストを見ても、今日やらなければならないことは特にない。

 

そう言えば、いつだったかテレビ番組で、サラリーマンの副業の実態を探るような企画があり、インタビューで多くの人が、「ウーバー・イーツ」を副業にしていると答えていた。

 

ン? ウーバー・イーツ? 気付くまで少し時間がかかった。早い話が「臨時雇いの出前持ち」じゃないか、と少し経ってから気付いた。

 

 

 

ウーバー・イーツねえ。横文字にするとそれらしく思えるけれど、どこまで行っても「出前持ち」は出前持ち。ただ、それを上手くシステム化しただけなのだが、考え出した人間は偉い。

 

手の空いている人間が近くにいたら、その人間に小遣い銭を渡してひとっ走り〝出前″をさせる、という仕組みだよなあ。それが副業とは、“何だかなあ″と思う部分もある。

 

何よりもそれが成立するのは、東京という“特別″な大都会だから。この仕組みは、その他の場所ではあまりうまく機能したり、成立したりしないだろうと、その時にも思った。

 

企業に対して、政府から〝従業員の副業を認めなさい″と命じたって、本当にガンガン副業を行えるわけはないだろう。

 

もしその気になれば、それまで本業で培ってきたノウハウや技術を使って、副業を行うことだって起こり得る。

 

 

 

そうなれば、本業の大事なノウハウなどが、あっさりと他社に渡ってしまうかも知れない。だから、本業とは縁遠い「出前持ち」などという小遣い稼ぎを、副業だと認識してしまう。

 

しかもそれは、東京という場所だから行える小遣い稼ぎ、ということである。なんだか、しみっ垂れた話だったけれど、まあ考えられる副業なんてそんなものだろうと思う。

 

これで政府は、一億層活躍社会が来たと言うのだろうか。しかも、働き方改革のおかげで庶民の収入増加が図れている、ということも合わせて。

 

山口百恵さんの、♪馬鹿言ってんじゃないよ~、という歌詞を思い出した。本当にテレビ番組の企画も企画だが、何とも締まらない話だった。

 

働き方改革そのものは良いことだ。本当に働き方が「改革」されるのなら、それはとても良いことだ。むやみに残業などしなくて済む。

 

それでも、業務の量はこれまでと変わらないだろうから、結果として新たな雇用を生むはずだ。

 

それならいっそのこと、サラリーマンは定時退社後に他の企業に直行し、そこで副業として、これまでは残業でこなしていた仕事を、代わって働くのも副業か、ということになる。

 

雇う方も残業手当と比較すれば、臨時雇用はきっと安く上がるだろう。つまり、雇う方も人が変わるだけでコストカットになる。

 

働き方改革のせいで、残業手当として受け取っていた分が減るのを、これでカバーするのだとすれば、これは悲しい話だ。悲喜劇だし、ブラックジョークでしかない。

 

そんなことを、このときテレビ番組を見ながら考えていた。それを、メモに走り書きして書き留めていた。さっき、それを偶然に読み返して、そう言えばそうだったと思った。

 

働き方改革という言葉の陰で起こり得るこの矛盾を、どうして誰も不条理だと思わないのだろうかと。

 

ボンヤリとしている、日曜の昼下がりの戯れ言だろうと、自分でも思う。それでも、メモを読み返してやはり気になった。