小さくてぽっちゃりとした可愛い年上の人。

艶子さん、甘い匂いがするーーー
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そう言ったら、あなた、いちごの香りがするキャンディを「あげる」って口移しで譲ってくれたものだから、僕、ドキドキして少し苦しかったよ。

Hカップの胸をいつも重いと言っていたあなた。薄っぺらい僕の胸では想像もつかない。「でもすごく柔らかいの」って僕の手を取ってブラウスの隙間からその胸に触れさせた。

僕は、艶子さんが大好きだった。
だから、彼女が「今日は調子が良くないの」って言った時、すごく心配になって早退をすすめた。

調子というのは、体ではなく、彼女の場合、心のことで、詳しいことはわからなかったけど、当時、彼女は精神の病で通院を続けていた。

この時、僕はいつも優しい艶子さんにすごく怒られた。あなたには私の苦しさがわからないって強い口調で責め立てられた。「今、早退することがどういうことを意味するかわかる?」

肺の病気を持っている僕を、彼女は羨ましいと言った。恵まれていると。
心の病は、どんなに苦しくても、レントゲンや血液検査では異常なしになる。
だから理解されない。
過呼吸の発作を起こしても、それで命に関わることはないから、いつも親に放置される。

悲鳴にも聞こえた艶子さんの言葉。
僕は、あの時、何も言えなかった。
あなたの苦しみを理解したかった。
代われるなら、代わりたかった。
あなたが望むなら。
あなたがそれで救われるなら。

今どうしているのかなーーー
思い出すたび、胸が苦しくなる。
甘酸っぱい思い出。
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