人間の境界

ポーランドとベラルーシの国境を舞台に、

難民家族の運命を描くヒューマンドラマです。

 

2021年9月、ポーランド政府がベラルーシとの国境付近に

非常事態宣言を発令し、ジャーナリストや医師、

人道支援団体らの立ち入りまで禁止される中で、

入国を拒否された難民たちが生命の危機にさらされる。



まるでリアルなドキュメンタリー映画を見ているようでした。

それくらい、リアリティーと緊迫感が半端なかったです。

 

キャストの皆さんが演技しているようには見えません。

本当の難民のような切実さがひしひしと伝わってきました。

 

子供や赤ちゃんも含めた老若男女が皆、そう見えるというのが、

凄かったです。

 

しかも、凍えるような外気の下で、寒さと飢えと暗闇に怯えながら、

必死にポーランドへ渡ろうとする姿は、迫真の演技どころか、

それ以上の超ド迫真のそれでしたね。

 

第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を

受賞するなど、世界の映画祭で賞賛されているのも納得です。
 

本作は、見ないと分かりません。

「百聞は一見にしかず」タイプの映画です。

 

もし見たいリストに入ってない人は、騙されたと思って見てみてください。

あなたの知らない世界がそこにあります。


 

「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、

安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じ、

幼い子どもを連れて祖国シリアを脱出した家族。

 

やっとのことで国境の森にたどり着いたものの、武装した国境警備隊から

非人道的な扱いを受けた末にベラルーシへ送り返され、

さらにそこから再びポーランドへ強制移送されることに。

 

一家は暴力と迫害に満ちた過酷な状況のなか、

地獄のような日々を強いられる・・・。
こんなお話です。


出演は、ジャラル・アルタウィル、マヤ・オスタシェフスカ、

ベヒ・ジャナティ・アタイ、モハマド・アル・ラシ、

ダリア・ナウス、トマシュ・ヴウォソク等。


難民役の方、国境警備隊役の方、

そしてポーランド側で何とか難民を救おうと奔走する役の方、

それぞれの役どころをキャスト全員がしっかりと認識して、

心の叫びさえも大きく発しながら、全力で演じていらっしゃいました。

 

過酷な条件下の撮影でもありました。

大変お疲れ様でした!


MY評価: ☆4 (☆5で満点)