義家族皆アイルランドに住んでいる。
義父の姉である叔母はかなり礼儀正しく、
綺麗好きで、出会った当初には初対面の時から
何故か神々しいオーラが見えた様な女性だ。
別にスピリチュアルな方面に傾倒しているわけではないのでうまく説明出来ないが、
本当に、そんな柔らかな雰囲気のある人だ。
エレガント且つ常識的で、こんな人がアイルランドにいるとはと、かなり偏見気味だが
驚いた事を覚えいる。

残念ながら去年から痴呆が酷くなってしまい、
今年の春からは老人ホームに入居している。
もう多分私のことは忘れてしまっている。

義兄は義実家と私たちの住まいの間に住んでいる。当初気づかなかったが、特に義兄嫁はなかなか個性的だ。
料理はあまりせず、掃除能力は極め低い。
真冬で寒い室内の暖房をつける事は少なく、
何度生前義母が訴えても、また、現在義父が
寒いと言っても何故かつけない。
寒けりゃ着込むのが彼女流とみた。
ただし娘たちは比較的年中薄着なので、
もしかしたらある種の健康法なのかとも
少し思ったりもする。

その義兄嫁に凝った料理を出された事は過去2回ある。
自家製アップルパイ(生地、クラム、カスタードは既製品)と、カレーライスだ。
こちらでのカレーはインド料理系の本格的なもの(ただし大分甘めで辛くはないものが大半)か、
うまく言えないが、アイルランド人好みと思われるスパイスが配合されたカレーパウダーがスーパーで売っている。
辛いものを選べば辛いのだが、でも同時に甘みが強めなカレー味で、個人的には激辛が好きなので
自作するかインド料理屋に行くしかない。
彼女の真ん中の娘の誕生日会ででたカレーは、
大半のゲストの事を考え、辛くないものであった。
決して美味しいとは言い難かったが、
初めて米が出てきた事、そして薄味且つパサパサな鳥肉だったが、
彼女が材料を切り、鍋で作った事に感動した。

基本家に食事に誘われ出向いても、
肉屋で購入のハム数種とパン類、
袋から出して乗せただけサラダに
既製ドレッシング、
またはオーブンにぶち込んだ、
スーパーの既製のラザニアしか
出された事がなかった。
肉屋購入の肉で作ったローストビーフは美味だが、
毎度義兄の調理によるものだ。

クッキーを焼くところ、というのに遭遇した
事はあるが、未だにおすそ分けされた事はないので、味の良し悪しは不明だ。

義兄はフレンドリーで話しやすい。
合間を見ては特に用事がなくても訪問してくれ、
コーヒーを飲みに我が家にきたりする。
基本的には好印象だが、去年の義母の大病が発覚後や叔母がホームに入居するまでは
色々あったので、やはり住み始めてじっくり
付き合いだすと、義兄に限らず人となりが
より見えてくるようになった。

そもそも大人になると人付き合いが、 
なんというか政治的になってくる。
義家族とはうまくやらねば、
子供の為にも父兄とはうまく付き合わねば、
小さな町なのでフレンドリーにしなければ、
等々、どうしても自分や家族が不利益を被らない様に自然に立ち回りがちだ。当たり前だが。
義家族とは凄く親密になるまではいかなくとも、そこそこうまくやっていかねばならない。

表面上にこやかでも実際は絶対になにかあるものだ。自身がそうだからかまずは疑ってかかってしまう。
まぁ嘘でもそうするのが大人ってものだろう。