2019年9月10日(火)は花組『A Fairy Tale-青い薔薇の精ー』新人公演が上演されました。

昼の本公演では、ショーのアドリブで明日海さんが新公主演の聖乃あすか君にエールを送ったそうですね。

又聞きなので、曖昧ですが…

明日海「なんか今日、新人公演ってモノがあるらしいね」

舞台上のカタフィル聖乃、客席に向かい、しきりにお辞儀しまくる。

明日海「まぁ、それは『シャルム!』とは全然関係ないけど、せいぜい頑張って下さい♡」

そして、再び歌い出す。
…という感じだったそうです。

ご覧になられた方、教えて下さり、ありがとうございます。

さて、新人公演。
咲奈LoveのNちゃんが貴重な友会当選券を譲っててくれまして…ありがとうございます(*´꒳`*)


★熊倉飛鳥(新公演出担当)

ニューフェイスの演出家・熊倉飛鳥先生。
そして新公主演は、聖乃あすか君。
Wアスカですね。

植田景子先生の演出を綺麗にトレースし、本公演を忠実に再現。
奇をてらわず、オーソドックスに仕上げていました。

熊倉先生は正統派の宝塚作品を踏襲されるタイプのように感じられました。

真正面から本公演を目指した、迷いのなさ。 

本公演を忠実に再現することが、実は最も難しく、厳しい事かもしれません。

どの組を観る時も、本公演と比べないようにしよう…と心掛けて臨むものの、今回ばかりは比べまくってしまいました。
スケートのコンパルソリのようでしたもの。

コンパルソリは、氷上に描いた円を如何にブレずに滑れるか…という規定演技。

昔のフィギュアスケートでは、技術の確かさを測る目安として審査されていました。

今回の新公は、まるでコンパルソリのようでした。

同時に「新人公演の原点に立ち返った」ようにも感じました。

新人公演用のアレンジをほぼ一切加えず、本公演の再現を目指せば目指すほど、本役との微細な違いがより判りやすくなります。

それは力量の差が明らかになる、とも言えます。

演じている本人にとっても、観客にしても。

もちろん、必ずしも新人公演の方が劣っているとは限りません。

そういう意味では、本役にとっても緊張が走ることでしょう。

熊倉先生は、そこまで意図されたのでしょうか?

何にせよ、いずれオリジナル作品で演出家デビューされる日がとても楽しみな方です。
重厚な物語を紡がれる予感がします。

Wあすかが率いる下級生カンパニーの覚悟がみなぎる、パワフルで真摯な舞台でした。

正直なところ、どのキャストも本役には届かなかったと思います。

でも、未熟さや初々しさ、挑戦する勇気こそが新人公演の魅力なのだ、と改めて実感。

新公の魅力って、技術の巧拙じゃないんだな……姿勢や意気込みなんだ、と。

思えば、明日海りおはまさに『姿勢・意気込み・努力』を積み重ねてきた人。

花組新人公演は、主演こそ聖乃あすかだったかもしれません。

でも全員が、明日海りおが伝えたかった事をキャッチしている。

それがビンビン伝わって来ました。

熊倉先生の素材(本公演)を活かす演出が、その事実をより一層わかりやすく伝えて下さいました。


★聖乃あすか(100期・研6)

薔薇の精霊・エリュ
本役:明日海りお(89期・研17)

まず、座席に置いてある新人公演プログラムが目に飛び込んできた瞬間、

「明日海さん?!」

手に取ると、聖乃さん。
化粧の仕方やシャドーの色味など、明日海さんから伝授されたのでしょう。

舞台メイクも明日海エリュに寄せていました。

優しい目元が特徴の聖乃さん。
優美さに、鋭さが加わった聖乃エリュのビジュアルを構築。

明日海エリュを研究したことが、佇まいからも伝わってきます。

明日海さん同様、音もなく現れ、去っていく。
動きや所作を踏襲していました。

各種インタビューで「明日海さんから学びたい」と言っていた通り、様々な角度から明日海エリュを観察・研究した跡が伺えます。

その最たるものが演技でした。

エリュは主役でありながら、傍観者のスタンスをとる事も多い役どころ。

ハーヴィー(柚香光/帆純まひろ)やシャーロット(華優希/都姫ここ)がぶつかる局面を眺めている立ち位置。

ハーヴィーには助言する事もありますが、それとて受け取った側が動かなければ、それまで。
直接、物語を動かしたり、ダイナミックな冒険や挑戦をする訳ではありません。

主人公なのに、動けない・動かせない。
相手(人間達)の決断・変化・感情などを受け、反応を返す芝居が多いんですね。

みずから働きかけ、動き回る人物像に比べ、存在の仕方がとても難しいエリュ。

しかも、主役としての存在感は出さねばなりません。

いくら美しくとも、パッと登場した瞬間のインパクトがずっと続く訳ではないから。

その後、(物語に絡まず、傍観する以上)存在感を消しつつ、存在感を醸し出し続ける。

ほとんどミラクルです、そんな在り方。

どうしているのか謎ですが、少なくとも明日海エリュは成立しています。

そして、聖乃エリュも成立していたと思います。

黙って立っているだけでも、備わっているノーブルな気品が漂ってくる為でしょうか。

それは明日海りおと聖乃あすかの共通点でもあります。

能動的に動き回れない役だから、黙って立っている事が多いからこそ、幼少期からの育ち方や、普段の心掛けなどが滲み出てくるのかもしれません。

明日海エリュと聖乃エリュの演技面での決定的な差異は、ラストシーン間際。

老年期のシャーロットとの再会です。

その場を主導するのは、シャーロット。
感情の盛り上げも、シャーロットにかかっています。

明日海エリュは、華シャーロットの演技を静かに受けとめ、包み込んでいます。 
 
すべてを華シャーロットに委ねている明日海エリュ。
その姿勢に、まなざしに、明日海りおが対等な舞台俳優として華優希を信頼し、リスペクトしている事が窺えました。

対して、新人公演ではエリュが主導する場になっていました。
少なくとも、私はそう感じた…という事ですが。

都姫ここ演じるシャーロットの心理表現はまだまだ拙い。
それは致し方ないこと。

聖乃エリュは感情表現にも積極的に関与し、都姫シャーロットをサポートしていました。

シャーロットを受けとめ、包み込む演技には変わりないのですが、幼いヒナを守るような聖乃エリュの気持ちが伝わってきました。

終演後の主演あいさつ(以下の科白はニュアンス)では開口一番、

聖乃「明日海さんの退団公演で、明日海さんのお役をさせて頂ける事がとても嬉しいです」

挨拶の中で、何度も「明日海さん」と繰り返していました。

聖乃「今まで『ポーの一族』『MESSIAH』と(新人公演で)明日海さんのお役をさせて頂いていましたが、明日海さんがお辞めになる前に、もう一度おそば近くで直接教えを乞いたいと願っていました」

と、新公主演を熱望していた胸中を明かしていました。
思えば、2014年に入団した100期生にとって「入団して組配属されて初めてのトップさん」なんですよね。
2014年5月11日までは蘭寿とむさんが花組トップでしたが、その頃は組廻りをしていたから。

聖乃「この舞台から見ているこの景色を、魔法の粉で止められたら…と思います」

聖乃「観て下さった方々の記憶に残る舞台を創っていきたい」

聖乃「今日は課題がたくさん見つかりました。その気づきを、明日からの本公演や東京の新人公演でも生かしたいと思います」

瞳を潤ませながらも、99期・若草萌香さんが長の期の挨拶をしている間は、ぐっと唇を引き結んでいた聖乃さん。

己の挨拶の間も、何度か感極まりながらも、泣き崩れることなく、魂のこもった挨拶を述べました。

立派な研6さん(新公お兄ちゃん学年)に成長されましたね。
技術的には課題もあろうと思いますが、人を惹き込むシャルム(魅力)が備わった舞台俳優さんだと思います。

最後になりましたが、三度目の…そして、明日海りお主演作最後の新公主演、おめでとうございます。


▽期待のWアスカですね(*´꒳`*)
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