2018年9月11日(火)は月組『エリザベート』新人公演(宝塚大劇場)を観て参りました。
2015年から、新人公演を観る機会が増えましたが、エリザベートは初めて。
キャスティングを改めて見てみると、バウ公演『Arcadia』の再来トリデンテ。
たいへんツボなキャスティングに、開演前からワクワクが止まらず。
とりあえず、ざっくり感想を走り書きで。
★新人公演演出担当:樫畑亜依子
樫畑先生は、2時間半の大作をすっきり1時間半にスリム化。
小池修一郎先生の作品力は落とさず、肝になる箇所はきちんと残し、コンパクトにまとめ上げる手法は見事。
また、樫畑先生はすっきり見せながら、萌を潜ませるという技あり演出家。
ちょっとした立ち方、待機の仕方、動き方など、絵になります。
分けても、暁千星の色気を引き出す達人かもしれません。
★黄泉の帝王トート:暁千星(98期・研7)
ありトートは、ウェーブの長い銀髪。
前髪が少し短めで、お顔がよく見えます。
アイメイクの効果で、目まで銀色に光って見える事がありました。
絶賛上演中の月組『エリザベート』……私、かなり大好きです。
珠城りょうは、今までにない寄り添い型トートで、新鮮でありながら、オーソドックスでもあって。
…で、新人公演です。
本公演とはまた違う、新しい『エリザベート』でした。
同時に、宝塚歌劇の原点に回帰した『エリザベート』でもありました。
暁千星のトートは、切なさや胸の痛みを感じさせるトート。
身体の深奥が疼くトート。
守ってあげたくなるトート。
だって、わかるんだもの。
伝わってくるんだもの。
例えば、シシィに拒絶されて傷ついた気持ちが。
一瞬しかめる眉や、震える空気から。
幻想的で儚い、真夜中の桜のようなトート。
幻影といわれれば、確かにそうかもしれません。
幻想的で、哀しくなるような美しさ。
胸が痛むような切なさ、トキメキ。
苦しさと紙一重の萌え。
これらは、宝塚歌劇の原点にある要素だと思います。
それらを備えたトートでした。
歌唱は、一段と向上。
張りと伸びのある声で、艶やかに歌い上げました。
歌姫・美園さくらとのデュエットも好相性。
ダンスは得意中の得意だけあって、見惚れます。
すらりと長い手足が映える。
『最後のダンス』では激しく踊るも、声量は落ちず。
聴き応えある歌と、見応えあるダンスを両立させました。
ダンスのみならず、あらゆる動きが美しいですね、ありちゃんは。
一本一本の木指先まで、しなやかで美しい。
例えば、少年ルドルフに近寄っていく所の「静と動」
一瞬を切り取る「画」を繋ぎ合わせ、印象的な「映像」を構築しています。
画像化してるトートが、いちいちカッコイイ。
写真集を見ているようでした。
密やかに、秘めやかに、音もなく忍び寄るトート。
それでいて姿を現わすや、闇夜に浮かぶ満開の桜のような華やかな儚さ。
幻想的な煌びやかさを、強烈に打ち立てた暁千星のトートでした。
長の期で、月組98期首席なので、ご挨拶は最初から、ありちゃん。
言葉に詰まっても、何度でも言い直し、少し早口でしたが、明瞭に聴き取れました。
短くまとまった、丁寧な挨拶。
瞳を潤ませながらも、幕が閉じる最後まで、涙はこぼさず。
胸に溢れる想いが溢れてきて、しっかり伝わりました。
新しくて懐かしい、そして暁千星オリジナルの、宝塚の男役像を魅せてくれました。
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