昨日2月10日(土)、月組宝塚大劇場公演『カンパニー/BADDY』を観て参りました。

予想を超えて、面白かった…!

笑える面白さもあるけれど、それ以上に心に沁み入る感覚。

1時間35分の芝居も、55分のショーもあっという間。

良いものを観たなぁ…という感慨が広がりました。

もちろん、好き嫌いはあると思います。
そして、私はとても好きです。

昨秋から、とある心配事がくすぶっており、胸中はずっとドンヨリしています。

…が、公演を観ている間は舞台に惹きつけられ、のめり込めました。

宝塚って、こういう時に本当に効きます。

異世界に夢中になっている間に、漠然とエナジーがチャージされる感じ。

首筋に噛みつかなくても、目から耳から、エナジーを吸い取る事ができます。
(どこかの一族なんかい?)

『カンパニー』と『BADDY』は双方とも、珠城りょうが持つ魅力・個性・持ち味を活かした快作。

『カンパニー  ー努力、情熱、そして仲間たちー』は珠城りょうのパブリック・イメージを凝縮したような人物像が描かれています。

すなわち、温厚篤実で朴訥で頼れる面が、前面に押し出されています。

一方『BADDY ー悪党(ヤツ)は月からやって来るー』 では、若いながら、どっしり構えたボスとして君臨。

珠城りょう演じる主人公が、芝居とショーで見事な好対照となっています。

もしや、石田先生と上田先生、事前に相談したんですか?!

今回の月組公演は、二本立てミュージカルを観た気持ちになりました。

『カンパニー』はストレートプレイ寄りの、『BADDY』 はショー寄りのミュージカル。
そんな気がしました。

両方ともストーリー仕立てだし、全編通して、統一したキャラクター設定があって。

二つのタイプが違う物語を観た気分。
二本立てミュージカル。
お得感がハンパない。

作品について、ざっくり感想です。
一部ネタバレもありますので、まだ知りたくない方はご注意ください。


『カンパニー  ー努力、情熱、そして仲間たちー』は伊吹有喜・原作、石田昌也・脚本演出。

宝塚向けに少々改変されてますが、原作の魅力をキャスト陣が体現しています。

特に主役の青柳誠二は、珠城りょうが演じることで、リアリティ溢れる会社員であり、魅力的な大人の男性を描出。

不器用で親切な青柳さん。
その不器用さが、また魅力なんですよね。

左遷されて、内心凹みながら、その場その場で、己がすべき事に取り組む青柳さん。

全くの畑違いに戸惑いながら、知らない事を調べたり、教わったりしながら、地道に学ぶ姿勢。

アクシデントや誤解が重なり、プロジェクトが頓挫しそうになっても、諦めず、クソ真面目ともいえる正攻法で事に当たっていく。

素朴で嘘のない誠実さが、人の心を打ちます。

クリス・ヨハンソン(明日海りお/植田景子『ハンナのお花屋さん』)に続き、「結婚したい」と思えるリアリティ溢れる男性像です。

クリス同様、己は大切な人を喪い、心に傷を負いつつ、自分にできる事をする。
他者に優しく、寛大。

もう本当に、どうしたら、そんな人間になれるのかな?
私も、そんな人間になりたい。

結婚したいというか、「近くにいて影響を受けたい」が、より正確かもしれません。

原作では、嫁のエツコに逃げられた、ヤモメの青柳さん(40代)

宝塚版では、2年前に妻のトモミを癌で喪い、独身という設定。
年齢設定も多分、アラサーでしょうね。

余談ですが、エツコもトモミも、身近に同じ名前の方がいます。

宝塚版で、青柳さんの心の支えとして登場するトモミ。
青柳さんが「トモミ」と呼びかけるたび、なんとも羨ましい…(^◇^;)


本作は、珠城りょう&愛希れいかコンビ最後の新作オリジナル芝居。
原作付きですが、まるで当て書きのような作品です。

愛希れいか演じる高崎美波は、若きバレリーナ。
才能はあるけれど、本番に弱く、己の能力を発揮できずにいます。
 
コンビニでバイトしながら、バレエ団に所属し、レッスンを積む美波。
電車でスリに遭い、青柳に助けられます。

ですが、それが出会いではないんですよね。

青柳は、美波のバイト先のコンビニを以前から利用していました。
「お弁当は温めない」と、定番オーダーまで把握されていました。

ちゃぴ演じる美波は、バレエが大好き。
踊ることが大好き。
青柳さんの事も大好き。

己の気持ちに素直で、懸命に今を生きる女の子です。

彼女はチャンスを掴み、地道な努力が実を結ぶことに。

ただ、そうなると、青柳さんとは遠く離れる事になります。

チャンスを目前にしながら、自信を持てずに尻込みした時。

チャンスが実を結び、さらなる飛躍の機会を前に、ふたたび迷った時。

そのたびに、美波の背を押したのが青柳さん。

「君なら出来る」

青柳誠二もまた、美波に惹かれています。

ですが、彼は『高崎美波』の生きる道・可能性に照準を当て、励ますんですね。

「僕の好きな女の子」である前に、一人の人間であり、バレエダンサーである『高崎美波』の生き方を考え、応援する姿勢。

青柳さんは亡き妻・トモミについて、こう語っていました。

「生きてる時は空気みたいに、いて当たり前と思っていた」と。

特にラブラブという訳でもなかったようで、むしろ喪ってから存在感を増したように感じられる台詞でした。

美波に好意を感じるからこそ、彼女を縛らず、羽ばたく道を勧める青柳さん。

人の命の儚さと、元気で生きていられる時間の短さを知ればこそ…でしょうか。

カッコつけではなく、美波を送り出そうとするんですよね。

そんな青柳さんに、周囲は

「溜まった有給休暇をまとめて取って来い」

長期休暇をとり、美波と共に渡航し、過ごして来いと暗に勧めます。

いやはや、なんとも温かいカンパニー(仲間たち)

それは取りも直さず、青柳さんが実直に人と向き合ってきた成果なんですよね。

青柳さんと、珠城りょう。
美波と、愛希れいか。

なんだか、退団を控えたちゃぴに、たま様が背中を押しているようにも見えてくるような…。

本当は、そばにいてほしいのにね。

そう思うと、より、ジンと来ました。


さて、『BADDY ー悪党(ヤツ)は月からやって来るー』 ですが。

「レビューを創りたくて宝塚に入った」という上田久美子作・演出。

「芝居の人」というイメージが強烈な上田久美子先生。

デビュー作『月雲の皇子』は、新公学年の若手と共に創り上げたバウ公演。
大好評を博し、異例の再演…しかも、東上公演付き。

ベテランの演出家でもそうそう成し得ない、場外ホームランをかっ飛ばした鮮烈なデビューを飾りました。

その折、タッグを組んだ主演が珠城りょう。

芝居・ショー共に、デビュー作で組むとは、運命の相手なのでしょうか。

『月雲の皇子』では、一幕と二幕で、珠城りょう演じる木梨軽皇子を「180度逆転した人物」として描いた、上田久美子先生。

人間が持つ、陰陽・善悪・白黒といった二面性をあぶり出しました。

『BADDY ー悪党(ヤツ)は月からやって来るー』 では、珠城りょうのオフィシャル・イメージを逆転。

ワルくて黒い人物イメージを、わかりやすくコミカルに。
コミカルだけど、カッコ良く。

面白さと、格好良さ。

この両立はハードルが高いのですが、大真面目にバッディに成り切る事で、成立させていたと思います。

愛希れいかのグッディ捜査官は、チャーミング!

ちゃぴは今回、ロケットでセンターを務めますが、これがカッコイイ!

しかも、ロケット途中で抜けるんですが、よくある男役群舞でトップさんが抜ける演出そのまんま。

舞台に残る娘役たちへどうぞ、と言わんばかりに手を差し伸べ、去っていくの。
オットコマエ〜〜〜!

美弥るりかのスイートハートは、性別不詳めいた妖しい魅力が。
宝塚ならでは、かも。

月城かなと、暁千星などもキャラクターになり切り、好演。

個人的に、千海華蘭が売ってるホットドッグが食べてみたくて。

華蘭ちゃん、さりげなく食べ物屋さんに扮してる率が高くて、イケメンな上、なんとも美味しそうなんですよね。


それでは続いて、主要キャスト別に感想を述べていきたいと思います。

まだ開始したばかりですが、キャスト別感想では、がっつりネタバレもすると思います。


最後になりましたが、2月10日は縣千くんの誕生日でした。
縣くん、誕生日おめでとうございます。

春が来れば、研4になる縣くん。
焦らず、じっくり男役と人間性を磨いて下さいね。


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