花組・雪組の怒濤の外箱配役発表や、宙組イケメン軍団の地上波登場で、うっかり押し流されましたが。
12月3日(日)月組バウ公演『Arkadiaーアルカディアー』を観てまいりました。

暁千星(98期・研6)主演、ヒロインは美園さくら(99期・研5)

前回、朝美絢(95期・研9)とバウ・ダブル主演だった『A-EN(エイエン)』が好評だった ありちゃん。
前知識を入れず、期待のハードルも上げず、フラットな気持ちで臨みました。

一言でいえば、ときめきました…!
…という訳で、観劇感想です。


★樫畑亜依子(脚本・演出)

『Arkadia』の魅力は、きわめて王道少女マンガちっく。
改めて、少女マンガのツボと、宝塚のツボの親和性の高さを感じました。

とはいえ、少女マンガ原作ではなく、樫畑亜依子先生のオリジナル脚本。
少女漫画テイストは踏襲していても、実は大人仕様。
エロティシズムを1滴、2滴…さりげなく落として。
ちょっとした仕草や台詞に忍ばせる、ほのかな色香。
絶妙なバランス感覚で、上品に仕上げています。

また、友情や恋愛といった感情のグラデーションが秀逸。
ニュアンスを含ませるのが、お上手なんですね。
んもう~~、やってくれます、樫畑先生!

樫畑先生は、新進気鋭の演出家。
今夏、『邪馬台国の風』の新人公演を担当された事は、記憶に新しいところ。
本公演(中村暁先生)の流れはそのままに、登場人物の動きを整理し、話をわかりやすく再編成。

例えば、祭へ向かう人物がはける方向を統一したり。
(はける方向がバラバラだと、祭会場どっちやねん?…と気にする人は気にする)←私とか。

花道を利用し、片思い組がヤケ酒を煽る様子を見せたり。
(本公演では説明台詞のみだった箇所を、三次元で再現)
ちょっとした工夫で、登場人物の心情を、より浮き彫りに。

中村暁先生を立てつつ、観客ニーズを汲み取り、より判りやすい舞台へと改変させた樫畑先生。
『Arkadia』では、主演コンビの持ち味を引き出し、より魅力的に見せて下さいました。

新公学年の若手中心のメンバー達も、板の上で生き生きと、それぞれの人物になりきっていました。
期待をはるかに上回る作品に仕上がっていました。
出来るものなら、リピートしたい位です。


★暁千星 (ミネット:98期・研6)

『ミネット』は『子猫』という意味だそう。
ナイトクラブの華・ダリア(美園さくら)に拾われ、部屋に転がり込み、『ミネット』と名付けられた宿無しありちゃん。
濡れねずみが、部屋飼いの子猫に昇格。
つまり、ヒモって事ですか…?

暁ミネット 「猫?…タイプ的に(俺は)犬だと思うんだけど」

何をおっしゃる、子猫ちゃん。
犬は勤勉なイメージがあります。
文無しで、美女に拾われ、同じベッドで眠り、目覚めても慌てず騒がず。
どう見ても、気まぐれな子猫ちゃんでしょう。

でも、憎めないんです。
するっと懐に入っちゃう可愛げがある。
それでいて、決して媚びたりはしない。
何とも言えぬ魅力に溢れています。

普通なら、雨に濡れて道端で倒れてる男子を拾わないだろ?…と思います。
ですが、観ている内にどんどん、

「…え? ダリア、大丈夫?」
「…う~ぬぬぬ、これは拾っちゃうかも…」
「…うんにゃ、ちょっとこれは…」
「拾い得だよ、この子猫ちゃん」
「むしろ、神様からのギフト」

…と、印象が目まぐるしく変化していきます。
設定としては苦しすぎる『偶然の出会い』を、力技でねじ伏せた暁千星の『放っておけない男の可愛げ』
すごい武器もってるな、ありちゃん。

根は真面目なんだな…と思わせる演出がさりげなく施されてると思えば、女慣れした様子も垣間見せたり。

8歳で家出して以来、独りで生きてきたミネット。
あくまでも『宿主の役に立つこと』をして、雨露を凌いできました。
(これまたヘビーな設定ですね)

生き抜くために、女性のニーズに応える事もしてきたミネット。
でも、男娼やジゴロではありません。

あくまでも、生きる手段の一つとして、求められれば応じるスタンス。

だからでしょうか、ミネットは淡白で欲がありません。
それゆえ、女性に警戒心を抱かせず、むしろ手を差し伸べたくなるのかもしれません。
ダリアとも、恋愛感情のない同居生活を続けますが、さもありなんという感じ。

ミネットという摩訶不思議ともいえる人物像を、魅力的に演じている暁千星。
若いのに、どこか諦めたような、愁いを帯びた佇まい。
少年と大人の狭間にいる、微妙で不安定な男の色香。
言葉で表現するのは難しい、独特の空気を醸し出していました。

そして、声が良いですね。
澄んでいて、伸びやかな男役声。

歌も上手で、驚きました。
ありちゃん、いつのまに?
いつのまに、こんなに上手に?
耳に心地よい歌声は、音も正確で、声質は澄み渡り、安定していました。

そして、ダンス。
ミネットは、ナイトクラブでダンサーとして働き、スターダムにのし上がります。

男らしく見せようとして、振りが大きくなりがちな男役さんもいますし、それはそれで意気込みの現れともいえます。

ですが、ダンスが得意な男役さんほど、無駄な動きがなく、コンパクト。
軸がぶれず、安定感があります。
また、指先まで神経が行き届き、美しいんですよね。

そして、静か。
ハードに踊っていても、高くジャンプしても、静かというか、すうっと涼やかな着地。
ありちゃんのダンスは、ずっと見ていたくなる、極上のダンスでした。 

そして、フィナーレで登場した時の THE STAR 感。
『BANDITE』のフィナーレ、あるいは『アパショナード』のオープニングで珠城りょうが登場した時を思い出しました。
 まだ若手の学年ながら、登場した瞬間のゆるぎない真ん中感。
珠城りょうに感じた「真ん中に立つ人」という独特のオーラ。
それを、ありちゃんからも感じました。

ところで、『Arkadia』は、ナイトクラブの屋号なんですね。
牧歌的なニュアンスでの『理想郷』を指す『アルカディア』とは対照的な場所です。

ですが、観終わった後、不思議な納まり感がありました。
ミネットの形容しがたい不可思議な魅力と通じる、独特の満足感を覚える作品でした。

ありちゃんは勿論、脇を支えた出演者たち、そして樫畑亜依子先生に大きな拍手を送りたい気持ち。

カーテンコールの挨拶で、「皆さんも帰り道で、猫を見つけたら、拾ってみて下さい。いい事が起こるかも」みたいな事を言ってたありちゃん。
ありちゃんなら、拾いますよ!(ちゃう、ちゃう)

美園さくら(ダリア)や、輝生かなで(フェリクス)についても触れたい〜〜〜!
…ので、少しだけ。


★美園さくら(ダリア:99期・研5)

ナイトクラブの華・ダリア。
ミネットより5歳ほどお姉さん。
登場時は 23歳の設定かな。
ありちゃんより一期下ながら、『しっかり者で、綺麗なお姉さん』感を出していました。
華やかさと姐御感が同居した さくらちゃん、ダリアはハマリ役です。


★輝生かなで(フェリクス:99期・研5)

ダリアの幼馴染で、Arkadiaのダンサー。
カッコよさと、ヤンチャな可愛さが混在したフェリクス。
大好きなダリアが、どこの馬の骨とも知れぬ男と暮らし始め、気が気ではありません。

でも、本音はミネットに絡みたくて、ダリアにかこつけて難癖つけてたんじゃ?…と思わせる言動がちらり、ほらり。

初対面のミネットに「フェリでいいよ」と歩み寄るも、名前を呼んでもらえなかったフェリクス。
エンディング近くで、「フェリでいい」と念押し。
ようやく、ミネットが「フェリ」と呼び、顔をほころばせるフェリ。
可愛いんだから、二人とも♡


最後になりましたが、お声掛け下さったH様、ありがとうございました。
ええもん観せて頂きました。


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