終わりました。
朝夏まなと様の男役姿、見納めてまいりました。
ライブビューイングで。

本日、2017年11月19日(日)宙組『神々の土地/クラシカル・ビジュー』東京千秋楽が無事終演。

本日をもって退団する朝夏まなと様、瀬音リサ様、彩花まり様、涼華まや様、伶美うらら様、ご卒業おめでとうございます。

…今、心にも無い事を書きました。
おめでたいなんて思えません。
辞めるの、やめてほしかった…!

もぬけの殻状態ではありますが、記憶をかき集め、思い出しメモです。
日本語がおかしいかもしれませんが、お許し下さい。


★神々の土地

宝塚バージョンに比べ、ドミトリー(朝夏)も、イリナ(伶美)も、感情や身体状態をより分かりやすく表現していました。

イリナにダンスを申し込み、なかば強引に踊り始めるところ。

イリナが野戦病院へ行くと聞き、湧き上がる焦燥と苛立ち。(己が近くで守れないから、余計)

マリア皇太后主催の舞踏会での再会は、逆に感情を抑えようと努める様子が、相手への特別な感情を匂わせます。

ラスト付近で、イリナの屋敷に現れたドミトリーは満身創痍。
ペルシャへ向かう列車から飛び降りた、との説明を体現していました。

イリナとの今生の別れ際、「イレーネ」と呼びかけます。
「ずっと呼んでみたかった」という、結婚前のイリナの名前…ドイツ語読みの「イレーネ」
想いの丈を込めた、熱い熱い「イレーネ!」

革命勃発をペルシャで迎えた事で、皮肉にも命が助かったドミトリー。
歌いながら、銀橋を上手から下手へと渡るドミトリー。
歌い切った瞬間、爽やかながら満面の笑みを浮かべ、下手花道へと消えていかれました。

近衛兵の閲兵式も、大きな見どころ。
宙組生は高身長揃いなので、軍服の見栄えの良さは群を抜いています。

今日のまぁ様は、なんだか花組の香りがしました。
思い切り、(役としての)感情を溢れさせた演技。

朝夏さんは大らかに見えて、とても繊細で配慮される方。
おそらく、宙組のやり方やカラーに合わせてらしたのでしょう。

宙組で身につけて来られたものも、もちろん朝夏さんを形成しています。
ただ、今日はなんだか、ちょこちょこ花男に戻られてる刹那を感じました。


★クラシカル・ビジュー

思いっきりガン!と行きました、と感じた芝居に比べ、丁寧に踊り、歌われている印象を受けました。
不思議なんですけどね。
ショーでは、花男の息吹を感じつつも、『宙組みんなで、創る舞台』を、より強く感じました。

ショーこそ、花男っぽさをガンガン出して来られるかと思いきや。
もちろん、花男ならではの『俺を見ろよ』的な魅せ方は、呼吸レベルなんですけどね。

同時に、スタイリッシュで、その場の空気感やストーリー性を重視される姿勢を、より感じました。
まぁ様は宙男になられたんだなぁ…と、しみじみ…。

黒燕尾姿で一人、舞台に姿を現わす『ジュピター』
一人で踊りだすと、やがて同時退団の娘役4名が加わります。
さらに多くの娘役たちが、花びらのように集まり、また去って行きます。

そして、男役群舞へと移行。
黒燕尾に大階段の男役群舞は、宝塚の華ですね。
スタンダードな黒燕尾にして下さった事に感謝します。
正統派男役を追求し、極められた朝夏さんにふさわしい、最後の男役群舞でした。


★サヨナラショー

溶暗から現れる、ラダメス。
金髪に、博多座版の鎧姿。
大劇場のお披露目公演は、ほんの2年前だったのに。
銀橋で流していた、朝夏ラダメスの綺麗な涙が忘れられません。

当時、新聞のインタビューで、極限の集中状態で舞台に立っておられる旨、お話しされてました。
研ぎ澄まされた集中状態は、いわば無の状態。
アスリートが『ゾーンに入る』と表現する、あの状態なのでしょうね。

ジェリー(TOP HAT)
ヨハネス(翼ある人びと)
ダニエル(メランコリック・ジゴロ)
北白川右京(王妃の館)
トート(エリザベート)
ウィル(シェイクスピア〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜)

次々と変幻自在に、今まで演じた役になりきり、歌い継ぐまぁ様。
どの役も、ご自分のものにされてたんだな…と、改めて感じました。
衣装は同じ黒燕尾なのに、表情・口調・歌い方などでガラリと変身。

ソーラン節では、真風さんに託す折、倒れこむように抱きついた朝夏さん。
力を振り絞り、すべてを預けていくお気持ちなのでしょうね。

瀬音リサ・彩花まり・涼華まやと絡みながら、『cheek to cheek』を歌う、黒燕尾姿のジェリー朝夏。

ブラームス(朝夏)とクララ・シューマン(伶美)のしっとりしたデュエットダンス。
見つめ合って、暗転……したら、目の前にスタン(真風涼帆)が。
朝夏さんも、一瞬にしてダニエルに。

スタンとダニエルが歌いながら銀橋を渡ると、早見リツ子(純矢ちとせ)が水を持って待ち受けてます。
珍しくカミカミの純矢さんに、北白川右京(朝夏)が「落ち着いて、最初から」と。 

純矢 「先生の『細雪国』や『△△』はフランスでも大人気ですわ」

今度は、ちゃんと言えた早見さん。 

真風 「余の小説ではないではないか!」

おかんむりで立ち去る、スタンならぬルイ14世(真風)
皆さん、本職とはいえ、鮮やかです。

エキセントリックな右京さんから、黄泉の帝王トート閣下へ変わる落差は、特に凄かった。

最後は、戯曲(舞台脚本)を書き、舞台を創り上げる要となったウィリアム・シェイクスピアで締め。
とても朝夏さんらしい選択ですね。


★退団者あいさつ

朝夏さんは、宝塚大劇場でのご卒業に続き、黒燕尾でした。

男役にしか着れない黒燕尾。
手足が長く、肩幅もある朝夏さんは、黒燕尾が泣けてくるほど似合います。
最後の最後まで、男役姿を見せて下さった事に、感謝いたします。

花束は白薔薇。
リボンではなく、シルバーの簾みたいな物で…って、簾でバラを巻くわけないやろ?
でも、あれは、なんて言えばいいのでしょうか?

この語彙力、89期生の初舞台ロケット衣装のヘッドドレスの飾りを、「カイワレ大根みたいなヤツ」と仰った誰かを思い出します…。
いえ、あの方は言葉の魔術師なんですが。

お花渡し役として駆けつけた同期は、花組トップ娘役だった桜乃彩音さん。
まぁ様が初主演された新人公演の相手役は、桜乃さんでしたね。

まぁ様のご挨拶は爽やかで、一貫して感謝と満足で満たされていました。

朝夏「外から見た宝塚も素敵ですが、中から見た宝塚は、さらに素敵でした」

朝夏 「感謝しかありません」

朝夏 「すべて、やり切った」

退団者だけのご挨拶でも、娘役さん達一人一人に笑顔で振ってた朝夏さん。
まやちゃんの流暢な英語に、出たー!とばかりに破顔したり。 
楽しすぎて、幸せすぎて、笑顔が止まらないありさちゃん(瀬音)、「誰か、笑顔を止めてくださ〜い」との訴えも良かったなぁ。


★カーテンコール・まぁまかまど

お一人で舞台に現れたまぁ様。
言葉にならない…と、胸いっぱいの感慨と、感謝の念を伝えて下さいました。
そして、おもむろに、

朝夏 「ゆりか、おいで」

上手袖に声をかけ、真風さんを呼ぶまぁ様。
なぜか、及び腰気味の真風くん。
まぁ様がさらに呼びかけ、ようやく舞台中央へ。

朝夏 「今まで支えてくれて、ありがとう」

真風 「こちらこそ…いえ、私がありがとうです…」

真風くん、涙目&涙声。
朝夏さんが手を差し出し、かたく握手する二人。

朝夏 「真風涼帆 率いる宙組も、どうぞよろしくお願い致します」

朝夏さんと真風くん、揃って深々とお辞儀。
落ち着き払ったまぁ様に対し、真風くんはウルウル、手がウニャウニャ。

朝夏 「まどか、おいで」

星風まどかを呼ぶ朝夏さんを、瞠目して見つめる真風くん。
上手袖から現れる、まどかちゃん。
真風くんの隣に、そっと立ちます。

朝夏 「このふたりが率いる宙組も愛して下さい」

3人で深々とお辞儀。

朝夏 「なによ、その目は?」

まぁ様を見つめる、ウルウルMAXの真風&星風。

朝夏 「それじゃ、仲間を呼びます。みんなー!」

その声に、まぁ様の背後に退がる真風くん、端へと移動していくまどかちゃん。
この二人が、明日からは真ん中に立つんですね。

新生宙組も応援しますよ。
まぁ様に頼まれちゃ断れませんや。

朝夏 「これからは、皆さんと同じ、客席から宙組を応援していきます」

『皆さんと同じ』という時、声をやや低め、目線も併せ、こそっと囁くように仰ったまぁ様。
「これからはそっちだから、よろしくね」と。
まぁ様らしいフレンドリーさ。
嬉しいような、そちら側にいて頂きたいような…。


★さすが、宝塚一のチャラ男

最後に、お一人で幕前に現れたまぁ様。
上手側から出て来られ、真ん中へ。

朝夏 「言葉になりません」

そして、最後に客席全方位へ投げキッス!
唇から離した手を、上手から下手へぐるーんと180度まわして。

朝夏 「戻ります!」

もう一度、投げキッス。
今度は、下手から上手へ向けて、ぐるーん。

「そして、ライブビューイングをご覧の皆様に」

カメラ目線で、カメラに向かい、投げキッス!

トップになられてから、公にチャラ男キャラを封印されてたからか、ちょっと照れてらして。
照れ隠しに、笑ってらして。
それがまた、とっても素敵でした。

お芝居やショーでは、瞳が潤む場も見えたまぁ様でしたが、退団者挨拶とカーテンコールでは、終始笑顔でいらした朝夏さんでした。

朝夏さん、素晴らしい夢をみせて下さって、ありがとうございました。 

今は抜け殻ですが、がんばります…。


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