行政法の出題傾向を分析しておこう | 思考と体系の館~行政書士・司法書士 合格応援ブログ~
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去年の今頃、何を思ったのか以下のようなふざけた記事を書いていた模様です。

 

行政法の問題演習のススメ①

行政法の問題演習のススメ②

行政法の問題演習のススメ③

 

対話式で、近年の行政法の出題傾向を分析しています。

これらの傾向は、令和元年度本試験でもあったのでしょうか。

 

まずは、「架空」の出題。

 

行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該処分の根拠法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、当該申請者以外の者に対し、不利益処分を行う場合に準じた聴聞を行わなければならない。(R1-12)

 

行政手続法に上記のような規定はありません。したがって、誤りです。

適当に勉強をしていると、「確かに、利害関係人の利害を考慮すべきだから、聴聞手続とかやらないといけなそうだよなー。」と思ってしまうところです。こういうところに引っかからないような勉強をすべきです。

 

申請により求められた許認可等を拒否する場合において、申請者に対する理由の提示が必要とされるのは、申請を全部拒否するときに限られ、一部拒否のときはその限りでない。(R1-13)

 

理由の提示の要否は、全部拒否と一部拒否の場合で分けて規定されていません。したがって、誤りです。

 

審査請求人は、処分についての審査請求をした日(審査請求書につき不備の補正を命じられた場合は、当該不備を補正した日)から、行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないときは、当該審査請求が審査庁により棄却されたものとみなすことができる。(R1-14)

 

なんとなくそんな規定もありそうですが、行政不服審査法に、上記のような規定はありません。

 

執行停止の決定は、償うことができない損害を避けるための緊急の必要がある場合でなければ、することができない。(R1-17)

 

これは、仮の差止め・仮の義務付けの要件である「償うことのできない損害を避けるための緊急の必要」というのを、執行停止の要件にすり替えて出題されています。すり替え手法です。

 

行政事件訴訟法が定める行政庁の訴訟上の地位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

審査請求の裁決をした行政庁は、それが国または公共団体に所属する場合であっても、当該裁決の取消訴訟において被告となる。(R1-18)

 

これは、問題の柱書で「訴訟上の地位」という聞きなれない用語を出し、論点を隠しています。

その上で、「審査請求の裁決」をした行政庁というように、行政不服審査法のステージに問題をもってくることで、「行政事件訴訟法上の被告適格」を問う問題であることを完全に隠しています。

これが、論点隠し手法の出題です。

 

長くなるのでこのくらいにしておきますが、令和元年度本試験でも、やはり「架空」、「すり替え」、「論点隠し」という手法がかなり使われていることが分かります。

 

行政法の勉強は、細かい知識を追いかける勉強ではありません。

過去問を常に横に置きながら、基本事項を徹底させ、上記の架空・すり替え・論点隠しに騙されないようにする勉強です。ここを押さえることができれば、行政法は比較的短期に得点を伸ばすことができます。

 

なお、去年度の本試験では、次のような新しい傾向の問題が出題されました。

 

次の文章は、公有水面埋立てに関する最高裁判所判決の一節である。次の下線を引いた(ア)~(オ)の用語のうち、誤っているものの組合せはどれか。(R1-10抜粋)

 

公有水面埋立法・・・に定める上記原状回復義務は、海の公共性を回復するために埋立てをした者に課せられた義務である。そうすると、長年にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され、(イ)公共用財産としての形態、機能を完全に喪失し、その上に他人の平穏かつ公然の(ウ)占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、これを(イ)公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、もはや同項に定める原状回復義務の対象とならないと解すべきである。したがって、竣功未認可埋立地であっても、上記の場合には、当該埋立地は、もはや公有水面に復元されることなく私法上所有権の客体となる土地として存続することが確定し、同時に、(エ)明示的に公用が廃止されたものとして、(オ)消滅時効の対象となるというべきである。

 

公用の廃止が主な争点となったのは、公用物の「取得時効」です。したがって、(オ)は誤りです。

この問題では、普段の学習の中で、「どのようなことが問題となったのか。」という争点を把握しているかどうかが試されています。

当然のことですが、普段の学習では、「何が問題となっているのか。」「なぜ、問題となっているのか。」ということを丁寧に押さえていく必要があるといえるでしょう。

 

上記のようなことを参考にして、行政法の勉強をしてみてください。