反省&分析を試みる | 思考と体系の館~行政書士・司法書士 合格応援ブログ~

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伊藤塾行政書士試験科で講師をしている平林勉のブログ。合格後資格を通してどのような生き方があるのかを日々模索中!
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本試験の合格発表から、しばらく経ちました。

令和2年度本試験に向けて、再び動き出す方も増える時期でもあります。

 

勉強を再開する際に、欠かせないのが去年度の学習の反省です。

一番の素材は、本試験問題や模擬試験(去年受験したもの)です。

特に正答率が50%以上の問題について、自分が間違えたものがある場合、そこを徹底的に洗っていきます。

 

この洗い方が重要です。

問題数は少なくても構わないので、自分の思考過程を生のまま書きだしていきます。

すると、自分がどこで引っかかっているのかを明確にすることができるのです。

 

問題を間違える原因は、大きく次のように分けることができます。

 

① 問われている条文・判例(論点)が何なのかを把握できていない

② 把握はできているか、上手く整理できていない(もしくはきちんと覚えていない)

③ あてはめる段階で何らかのミスをした(読み間違い等のケアレスミスも含む)

 

正確に自分の思考過程を再現して、何がダメなのかを正確に把握すること。

これを徹底的に行うことが何よりも重要です。

 

今回は、一つ例を出して、具体的な方法をお伝えいたします。

 

甲建物(以下「甲」という。)を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。(R1-33)

 

1 BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がない限り、Bは、Aに対して報酬を請求することができない。

2 BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bは、Aに対して窓ガラスを取り換えるために支出した費用を請求することができる。

3 BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bが自己の名において窓ガラスの取換えを業者Cに発注したときは、Bは、Aに対して自己に代わって代金をCに支払うことを請求することができる。

4 BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合においては、BがAの名において窓ガラスの取換えを業者Dに発注したとしても、Aの追認がない限り、Dは、Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできない。

5 BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がなければ、窓ガラスを取り換えるに当たって、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできない。

 

この問題は、実際に自分も解答速報の時に、大急ぎで解いたものです。

(毎年、民法の解説作成を担当するので、民法を一番に解く。)

 

恥ずかしながら、自分は、最初の解答を「3」にしてしまいました。

(後から見れば…とかそういう言い訳はやめにします。完全に修行不足です。)

実際に、間違えてしまったわけですから、その時の思考過程を丁寧に書いていきます。

(思考過程を生の形で再現をするため、言葉が汚いところがあることをご了承ください。)

 

甲建物(以下「甲」という。)を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。(R1-33)

 

あ、Aが不在の間に、Bが窓ガラスを取り換えたって話か。

これは、頼まれていないで勝手にやったって話だから、事務管理に関する問題ということだね。

きたー、出題予想的中。(これは、講師目線過ぎる。)

 

1 BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がない限り、Bは、Aに対して報酬を請求することができない。

 

ん?頼まれていた?ということは、委任か。

あぁ、この問題は、委任と事務管理を比較させる問題ということかな。過去問にもそういうのあったもんね。

報酬を請求…委任は、原則として無報酬だから…、「特約のない限り」だと…、「できない」でいいよね。

これは、○だ。

 

2 BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bは、Aに対して窓ガラスを取り換えるために支出した費用を請求することができる。

 

今度は、頼まれていなかった場合か。事務管理だね。

事務管理は、細かいことは覚えていないけど、要は、「事務管理しても良いことなし。実費くらいしか取れない。」ということを視点に解けばいいんだよね。

今回は、「支出した費用」か。これは、実費だから、このくらいだったら取れたはずだ。これは○だね。

 

3 BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bが自己の名において窓ガラスの取換えを業者Cに発注したときは、Bは、Aに対して自己に代わって代金をCに支払うことを請求することができる。

 

今度も頼まれていない場合か。事務管理。

さっきと同じ視点でいけば…、自己に代わって代金請求?いや、事務管理しても良いことないんだから、そこまでの権利はないでしょ。これは、×。

こういう視点が大事なんだよって分析会で話そうっと。(あぁ…本当に恥ずかしい…当時の自分…アホ過ぎる)

 

4 BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合においては、BがAの名において窓ガラスの取換えを業者Dに発注したとしても、Aの追認がない限り、Dは、Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできない。

 

また、事務管理。委任との比較じゃないのかなー?

さっきと同じ視点だよ。事務管理しても良いことないんだから、BにAを代理する権限なんかない。

だから、Dが、Aに請求するなんてこともできるわけがない。

これは、○だ。さっき「3」で×がついているし、まあ「3」なんだろうな。

 

5 BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がなければ、窓ガラスを取り換えるに当たって、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできない。

 

ふー、またこれか。だ・か・ら。事務管理はやっても良いことないんだってば。前払い請求なんておこがましいことできるわけないでしょ。これは、○だ。

 

いかがでしょうか。

これが、自分が初見でこの問題を解いた時の生の思考過程です。

ほぼ100%そのまま再現しています。

(ちなみに、思考過程を再現できないという場合、それは何の根拠もなくもしくは何も考えないで適当に解いている可能性があるため、相当まずいです。きちんと思考過程を再現できるくらい考えて解くようにしないといけません。)

 

まず、反省すべきは。「5」の選択肢における問題の読み落としです。

2・3・4と、事務管理の事例である問題が続いたので、「5」の検討において、「甲の管理を頼まれていた」という部分を完全に読み落としています。つまり、事務管理の問題であると完全に誤信しているわけです。「3」で答えが出ているので、その安心感もあったものと思われます。

 

すると、問題を解く際、何かと比較させたい問題なのかな?と思った瞬間に、委任と事務管理のどちらを聞いているのかを先に確認すべきであったということになります。

 

また、「3」の決めつけも良くありません。よく読むと、3の請求内容は、「実費」です。

「実費」の請求は当然できるはずです。

「2」の選択肢で、きちんと視点を出して解いているのに、「3」ではちゃんと使っていません。

こういう部分をしっかりとあてはめないで、慌てて解いているのが原因です。

 

以上より、この問題を間違えた原因は、③ということになります。

つまり、問われている条文・判例は、「事務管理・委任」であることは分かっており、それを解くための知識(視点)もちゃんと思い出せているにもかかわらず、あてはめる段階で問題を読み落としたり、適当にあてはめてしまっていることが原因であるということです。

 

次回からは、どっちの制度なのかをきちんと確定させること。また、視点はちゃんと全部あてはめること。

ここに気を付ける必要があるわけです。

 

こうやって、自分のダメなところを丁寧に洗い出してみましょう。

こういう地味な作業の一つ一つが合格への一歩になります。