後藤仁 台湾写生旅行 その9 | 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

後藤仁ブログ2~絵師(日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙)後藤仁の日本画・絵本・展覧会便り。東京藝大日本画卒,後藤純男門下。「アジア/日本の美人画」をテーマに描く。東京藝大,東京造形大講師。金唐革紙製作技術保持。日本美術家連盟,絵本学会,日中文化交流協会会員。

2018年2月22日~3月15日までの22日間の「台湾写生旅行」 その9 

 

 3月10日(土) 旅行17日目。朝食はパンで軽く済ませ、宿を出て、花蓮(ホアリエン)駅に向かうまでに、「花蓮市立図書館・児童館」があったので立ち寄る。係の人に筆談で何とか、後日、日本から絵本を贈る旨を説明しました。 

 台湾鐵道で、花蓮駅9:15発、羅東駅10:26着(自強號、203元)。羅東(ルオドン)の宿は駅近くの「登園大飯店」(トイレ・シャワー付、朝食なし、1200元)に飛び込みで決めました。昼食は宿の向かいの「三角自助餐」で自助餐(ビュッフェ形式の定食、80元)をいただく。ここも安くて美味しい。 

 その後、「羅東林業文化園区」で昔の蒸気機関車等を見て(台湾人は古い機関車が好きなようです)、バスで移動して、「国立伝統芸術中心」(入場料150元)に向かいました。羅東に滞在した主な目的は、この国立伝統芸術中心の鑑賞にあります。ここは台湾の伝統芸術文化を鑑賞できるテーマパークで、再現された昔風の街並みでは、あちこちで舞踊ショー等が開催され、美術品の展示物もあり、台湾人親子連れ客はかなり多いです。人工的に作り込まれた感じなので限界はあるが、それなりによくできていて面白いです。 

 バスで羅東駅に戻り、夕食は羅東観光夜市に。ここは台湾10大夜市の一つで、とても活気があります。夜市をぶらつき、羊肉麺、青菜炒め(計125元)を食べました。 

 

「国立伝統芸術中心」(入場料150元) このような現代的水蒸気広場もあります。 

 

 3月11日(日) 旅行18日目。今日は、猫村や天燈で、とみに日本でも有名になっているローカル鉄道・平溪線(ピンシーシェン)を巡ります。羅東駅発の列車が9:12と遅いので、外観が面白い羅東駅舎をSM号スケッチブックに1時間ばかりスケッチ。区間車(各駅停車、97元)で10:45平溪線・猴硐車駅着。ここは猫村として人気があり、100匹以上もの猫がいると言います。こじんまりとした村を歩くと猫があちこちから現れますが、だいたい20匹程度でしょうか。思った程は猫がいませんが、それでも観光客は多いです。SM号スケッチブック2枚に素早く猫をクロッキー。スケッチブックを観光客が興味深そうに覗きます。ネコグッズを売る店もたくさんあり、ここで少し土産を購入。駅周辺の麺店で昼食を、もやし麺、青菜炒め(計90元)をいただく。 

 駅の反対側には猴硐車駅の昔の姿、石炭の採掘地としての顔が見れて、こちらも興味深いです。猴硐煤礦博物園区では石炭坑道をミニSL(乗車券、100数十元だったか?)で走る事ができ、昔の日本製ミニSLの乗り心地もガタゴトと面白く、子供は楽しめます。駅に戻り、周辺の店で、台湾名物・フワフワかき氷(100元程度)をいただきました。 

 平溪線・猴硐車駅14:08発、十分車駅着(15元)。十分(シーフェン)は、日本のテレビでも、線路から願い事を書いた天燈を上げられる事で話題となり、台湾人や日本人観光客が格別に多かったです。人々が天燈を上げる様子を見ながら、先へ進み、「十分瀑布」へ向かいます。ただ次の列車までの時間があまりないので急ぎます。人をかき分け、だんだん早足から駆け足になりました。台湾のナイアガラとも称される幅40m・高さ20mの大きな滝ですが、観光客が多過ぎて、周囲が観光化され過ぎて、少し興ざめです。時間がないので急いで引き返し、駅周辺の大群をかき分けかき分け走ります。日本人の若者3人組がなかなか良いコース取りで駅に急いでいるので、彼らの真後ろに付けて、走ります。途中からはその若者を追い抜いて走ります。私が日本人だとは知らない若者達が、「このおっさん強いぜ、最強や。映画のヒーローみたいになってるぜ。おっさんに付いて行こうぜ~。」と言い合っており、まさに、ハリウッド映画「インディ・ジョーンズ」か「ミッション・インポッシブル」の主役の気持ちですね~。最後は若者達を引き離し、まさに銀河鉄道999よろしく、発車すれすれで列車に駆け込みました(次の列車は1時間位は空くのです)。降車時に切符(瑞芳行き、19元)を買っていたので間に合いました。若者達は切符を購入していなかったようで、間に合わなかったみたいです。この辺が旅の経験値の差と言えましょうかね。ただ、急ぎの旅は間違いや危険もつきまとい、本当はよくありません。今回は、瑞芳での宿が決まっていなくて、瑞芳周辺の情報がガイドブック「地球の歩き方」にも全く載っていないので、到着を急ぎたかったのです。 

 瑞芳(レイファン)は九份へのアクセス拠点です。九份(ジォウフェン)はジブリアニメ映画「千と千尋の神隠し」の舞台に似ている事で、近年、爆発的に有名になった観光地です。15:40十分車駅発で16:10瑞芳駅に到着、周辺を歩くが宿や店らしきものが全く見当たらず、住宅地ばかりです。「これはやばいな。他の大きな駅にした方がよかったのかな~」等と思いながら、しばらく歩くと線路を越えて駅の逆サイドへ。そしたらコンビニやホテルらしきものが出てきました。最初に見付けたホテルが大きいので、直感的にここに定めて、飛び込む。「悦賓大旅社」は古びたホテルですが、日本人観光客はほぼ泊まらない宿らしく、一泊シングルルーム700元(トイレ・シャワー付、朝食なし)ととても経済的で、古いながら設備も十分でした。九份を朝から回りたいなら、とても便利な穴場ホテルです。一般的に中華文化圏では、外国人向けや高級な旅館・ホテルの事を「賓館」「飯店」「大飯店」等と表記し、現地人向けの安い旅館を「旅社」「旅館」等と書き(特に「旅館」とあるものは外国人が泊まれない規定の場合もあるのですが)、たいてい格安宿なのです。 

 夕食を食べに駅方向に向かいました。そしたらだんだん賑わい出し、人も増えてきました。最初に駅を降りた側は、実は裏側だったのですね・・・。明日の朝のバスを確認し、駅の表通りを行くと、「美食広場」という庶民的な食堂市場があり、自助餐(140元)はボリュームもあり美味しかったです。瑞芳は九份への中継地として、日本人観光客はただ通り過ぎるだけですが、宿泊してみても面白い小さな町です。 

 

猴硐車駅 猫村、招き猫 

 

猴硐車駅 猫村、こちらも招き猫 😼 

 

十分車駅、天燈 

 

瑞芳「美食広場」   

 

 私は「母をたずねて三千里」「アルプスの少女ハイジ」「未来少年コナン」から、「太陽の王子ホルスの大冒険」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」等を見て育ち、幼少期から長年の宮崎 駿ファンでもあり、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)は『シュナの旅』(宮崎 駿/徳間書店)の原案になった事でもご縁があります。ジブリアニメ映画「千と千尋の神隠し」の舞台を彷彿とさせるという話は、流行・ミーハーな事をできるだけ避けたい私としても、外せない重要な見所なのです。 

 明日はこの九份を巡りますが、また次回としましょう・・・。 

 

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁