死んでたまるか!~家庭内遭難者
山で遭難した際、携帯したマヨネーズを啜りながら飢えを凌ぎ切り、
無事救助されたという話を、俺はどこかで聴いたおぼえがあった。
俺は、街で暮らしていながら、遭難者だった。
毎日のように、朝飯などなく、作る時間も当然ないので、マヨネーズを振りかけて飯を喰う。
昼は、88円の食パン一斤とマヨネーズを一本買い、
それで昼飯を、3日以上喰いのばす。
夜もまた、マヨネーズを振りかけた飯だった。
たまに豚汁などがキッチンにあったりすると、俺は歓喜した。
久しぶりに口にしたそれは、涙が出るほど旨かった。
とにかく今は、マヨネーズを啜ってでも生きぬく事が先決だ。
ここで死んでは、元も子もないではないか。
俺はまだ、死ねない。
そう。
借りは返してやらねばならないのだ。
勝負はこれからだ。
