蟹工船、ふたたび
残業なんて、じょうだんじゃねえんだよ。
俺は心の中で叫んでいた。
バイトがあるのだ。
そんなもん、やってられるか。
死ぬぜ、マジで。
俺はいったい何時間、ブルジョアジーのための資産形成に、付き合わなければならないのか?
(ああ、忘れてた。俺はプロレタリアートにすぎないただの虫けらだった)
ここは日本か。
どこかの独裁国家じゃないよな。
と、俺は思う。
これだけの時間拘束されて、あれだけの給料か。
呆れるしかなかった。
こんな給料で、生活できる訳ねえじゃねえか。
ここは日本なんだよ。
俺はどろどろになって、家にたどり着いた。
案の定、おかずはなかった。
米は炊いてあり、それに冷えた味噌汁をぶっかけて、腹に流し込んだ。
それで夕飯は終わりだ。
もう眠らなければならなかった。
睡眠時間が、3時間を切っている。
それでも、風呂に入りたかった。
どうしても。
俺は風呂に入った。
体を洗う余力なんてなかった。
ただ湯に浸かっているだけだ。
体が温まると、俺は知らぬ間に風呂で寝てしまった。
目覚めると、もうバイトに行く時間だった。
すぐに身支度をすませ、家を出た。
不思議なことに、強烈な睡魔にもかかわらず、俺は一度も眠りこけることなく、バイト先の駐車場に到着した。
俺はふと思った。
延々と続く、仕事、バイトの繰り返し。
それ以外、何もない生活。
日々を、生きる。
そう。
だだ、無意味に呼吸し、生き続けるだけだ。
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