東京に出てきて、一カ月と二週間余りが経った。
都に上ってから、足を踏み入れた世界。あの四月の生活を、なんと称すれば良いだろう。
あれは、不思議な多くの同年代が体験し得ぬ日々であった。
たった、一カ月。されど始めの一カ月を東京と世界の裏側で過ごした、この記憶。
嵐のように巻き起こり、すべてが過ぎ去りし今、二週間あまりの猶予期間をへと改めて考える。
その嵐に足を踏み入れる決意をしたのは私自信であるし、決して後悔はしていない、けれど余りにも多くの物事を考えさせられた時間であった。
花の女子大生という表の顔の裏側で生きた、あの華としての日々。
それは文学少女に、ましてや字書きとしての生に生々しい人の生き方を思わせた。
面白い話だ、
髪を頭より大きくし、耳に大量のピアスを開け、常に団体で行動する若者が常に大事を成すとは限らないように、
高校時代、教師に一切目を付けられなかった黒髪の乙女が人を殺さないとは限らないことに似ている。
人は、秘密を持っている。
そして、その秘密は不思議と人を美しくさせる。
多くの美しき人々が隠す秘密の前に、私の秘密など陳腐なことであろう、しかしそれでもやはり私はこの経験を同年の人々が体験していないということだけは察しがつく。
では、乙女は秘密を胸に抱いて、その日々に生じた様々な疑問を解きながら生きていこう。