耐震偽装事件とは何だったのか? | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 ここんとこ、ネタが無い(「柔剛記」停止中?)ので

たまには真面目に、プロの立場から、ニュース解説してみます。

題して「今週のわからん。耐震偽装事件とは何だったのか?」

 

 以下の、小さな囲み記事に注目したい。


 木村建設(熊本県八代市、破産)が施工し中山明英1級建築士が構造計算した熊本市内の6件について、熊本市がこれまでの見解を覆して耐震基準を満たしていると発表したことを受け、中山氏は24日午後、熊本市役所で会見し、熊本県、市などに謝罪を求めた。
 熊本市はこの日、耐震強度不足が指摘され精査中だった10件のうち2件で耐震性に問題があったと発表。中山氏が構造計算した6件を含む8件については問題なしとした。
中山氏は会見で「(最初に再計算をした)熊本県建築士事務所協会、県、市に謝罪を求めたい。まず入居者やオーナーにわびてほしい」と厳しい口調で訴えた。        2006年05月24日(共同通信)

 この中山構造研究所所長、中山明英氏は以前より

「姉歯はアホで(構造設計の)センスが無い。
バランスのとれたデザインにすれば耐震強度を満足する建物が
(1平方メートルあたりの鉄筋量)60キロ程度でも設計できる」

「(耐震偽装事件とは)勉強不足の建築士が
きちんと検討されている合理的な設計の結果をマネしたから起きた」

と述べており、今回の熊本市の発表は中山氏の主張を認める結果となった。

熊本県建築士事務所協会」は再計算の結果、
必要保有水平耐力の0.43倍しかないと指摘したが、
「日本建築防災協会」による
再度の解析では問題なしと判定された。

勉強不足と名指しされた「士事協」は
非を認め、謝罪したのだろうか?

…いったい「耐震偽装事件」とは何だったのだろうか?

国土交通省は既に最終報告書を発表している。
いくつか抜粋する。

「設計を総合的に監理できない建築士が多数存在しているため、建築士制度は再構築し、専門資格の付与、継続教育、倫理強化に取り組む」

そのために「職能団体への加入義務化」の方針を打ち出した。
今後は、弁護士が弁護士会に加入していなければ活動できないように、
建築士も何らかの団体の、そこの倫理規定の元で活動する事になる。
この職能団体へといち早く手を上げたのが
「建築士事務所協会」通称「士事協」。
その一方、自由なデザインへの公権力の介入だと
反発する勢力を抱えているのが
「建築士会」通称「士会」。

建築士ひとりひとりが、
今回の問題には責任を感じるのは当たり前だと思う。
罰則の強化も職能団体への強制加入も当然だろう。

しかし、この報告書によると、この事件の背景には

「建築確認の建築物性能保証の役割への、国民の過剰な期待がある」
んだそうだ。
まるで他人事ではないか。
「国民の過剰な期待」とは何事だ!

民営化により、
「検査機関の市場競争による審査の形骸化」を招いたことについて
特定行政庁の監督責任は感じないらしい。

「偽装の事実の公表時期が、特定の政治家からの働きかけによって歪められた事をうかがわせるような不自然な点はない」

国交省はこの調査報告で幕引きが謀れると思っているらしいが、
過剰な期待はしないほうがいい。
これは、民間に出来ることは民間に、という掛け声の下、
倫理観の欠如した建築士を巻き込んだ「シンジケート型犯罪」なのだ。
誰が一番儲けたのか、俯瞰して見るがいい。
国民の生命財産を守る仕事を、市場競争にさらせばどういう事になるか、
一目瞭然ではないか。

「安全に住まうことが出来る事を確認するのは、国民の税金を使って行う、重要な行政サービス」

だという事をアピールをしておきたい。
さもなければ、何のために我々は税金を納めているのか。
政治家の皆さんには良く考えてもらいたい。
米国から年次改革要望書が届くたびに、新しい「構造計算方法」が導入される。
(平成17年国交省告示第631号)
日本国民の安全は、日本の方法で守ることが必要なんじゃないのか。
何でもかんでも「アメリカンスタンダード」
という小泉方式はもう勘弁して頂きたい。
by ヤン