■行政法学上の取消し・・・行政行為に当初から瑕疵があった場合に、当該行政行為を取り消して遡及的に無効とすること。

 

■行政法学上の撤回・・・行政行為が適法に成立した後、公益上の理由が生ずるなどの後発的な事情の変化により当該行為を維持することが必ずしも適当でなくなった場合に、これを将来的に無効とすること。

 

砂利採取法の第26条の1号・2号・3号による「認可の取消し」は、いずれも、適法に成立した後の事情変化に基づくものであるから、行政法学上の撤回である。

 

4号による「認可の取消し」は、不正の手段により認可を受けたことを理由とするものであり、当初からの瑕疵に基づくものであるから、行政法学上の取消しである。

 

砂利採取法

第16条 採取計画の認可

 

砂利採取業者は、砂利の採取を行おうとするときは、当該採取に係る砂利採取場ごとに採取計画を定め、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者の認可を受けなければならない。

 

次号に掲げる場合以外の場合 当該砂利採取場の所在地を管轄する都道府県知事(地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域内にあつては、指定都市の長。以下この章(第二十八条第二項を除く。)及び第四十三条において同じ。)。
当該砂利採取場の区域の全部又は一部が河川区域等(河川法 (昭和三十九年法律第百六十七号)第六条第一項 に規定する河川区域(同法第五十八条の二第一項 の規定により指定されたものを含む。)、同法第五十四条第一項 に規定する河川保全区域及び同法第五十八条の三第一項 に規定する河川保全立体区域をいう。以下同じ。)の区域内にある場合 当該河川区域等に係る同法第七条 に規定する河川管理者(同法第九条第二項 若しくは第五項 、第十一条第三項又は第九十八条の規定により、同法第二十六条第一項 及び第二十七条第一項 若しくは第五十五条第一項 及び第五十八条の四第一項 の規定に基づく権限に属する事務を行い、その権限を代わつて行い、又はその権限の委任を受けた者があるときは、その者。以下「河川管理者」という。)

 

第21条 遵守義務

 

第十六条の認可を受けた砂利採取業者は、当該認可に係る採取計画(前条第一項又は第二項の規定による変更の認可又は届出があつたときは、その変更後のもの。以下「認可採取計画」という。)に従つて砂利の採取を行なわなければならない。

 

第23条 緊急措置命令等

 

①都道府県知事又は河川管理者は、砂利の採取に伴う災害の防止のため緊急の必要があると認めるときは、採取計画についてその認可を受けた砂利採取業者に対し、砂利の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきこと又は砂利の採取を停止すべきことを命ずることができる。
②都道府県知事又は河川管理者は、政令で定めるところにより、第三条の規定に違反して砂利採取業を行なつた者又は第十六条若しくは第二十一条の規定に違反して砂利の採取を行なつた者に対し、採取跡の埋めもどしその他砂利の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

第26条 認可の取消し等

 

都道府県知事又は河川管理者は、第十六条の認可を受けた砂利採取業者が次の各号の一に該当するときは、その認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその認可に係る砂利採取場における砂利の採取の停止を命ずることができる。
一 第二十一条の規定に違反したとき。
二 第二十二条又は第二十三条第一項の規定による命令に違反したとき。
三 第三十一条第一項の条件に違反したとき。
四 不正の手段により第十六条の認可を受けたとき。

 

第31条 認可の条件

 

①第十六条の認可(第二十条第一項の規定による変更の認可を含む。)には、条件を附することができる。
②前項の条件は、認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、認可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。