12日目

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蛹化から12日目 ー

 

 

ー 明日あたり そろそろ出るよ

 

と いい加減な森の案内人が

 

昨夜 声高らかに宣言したのを聞いて

 

 

まあ 仕方ねえな

 

あんなに毎日 スミレの葉っぱ

 

採って 運んできたもんな

 

あいつの顔も 立てといてやるか

 

 

ツマグロヒョウモンが

 

蛹から 出てきてくれた

 

 

 

 

 

 

こんなふうに

 

間近で 羽化の 柔な美しさを堪能していると

 

いつも決まって 想うことがある

 

 

僕の中で

 

さっきまで

 

命そのものだったはずの 蛹が

 

もう 抜け殻になっている

 

 

そこには 胎盤やへその緒のように

 

本当は 

 

命そのものを感じさせる カケラのようなものが

 

こびりついているのではないか

 

 

抜け殻は

 

ある時 急に 抜け殻か

 

それとも 何かがこびりついていて

 

じんわりと 抜け殻か

 

 

材木を撫でて

 

森を 思い浮かべるように

 

 

抜け殻を愛でて

 

スミレ畑が 思い浮かんでくれば

 

なかなかに 幸せなことじゃあないか

 

 

そんなことを 想っていると …

 

 

 

 

小屋の中の 別の蛹が

 

ー 正解探しは しなさんなよ

 

と からかうように 言う

 

 

 

美しい翅の ツマグロヒョウモンと

 

ひとつ屋根の下に眠れる

 

ひと晩限りの 嬉しい夜が 過ぎてゆく

 

 

スミレ畑の 夢が見られたらな ー

 

 

 

 

 

 

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立ち往生

 

 

Yくんたちが 男の子が

 

ドヤドヤ こちらへやって来て

 

 

ー ゴリにも 見せてあげるね

 

と言って

 

屈託の無い感じで

 

翅のないハエを 見せてくれた

 

 

ー 翅とったらね 

 

  逃げないで カワイイんだよ

 

 

ほんの一瞬に

 

膨大な量の思考をした結果

 

とりわけ

 

誰かと共有したいなと思うような

 

返答を僕がしたわけでもない

 

ストーリーが展開したわけでもない

 

 

ただ なんだか 立ち止まっちゃったという感じはあって

 

命については

 

時として こんなふうに スムースに流れないことが

 

大切なんじゃなかろうかと思ったのです

 

 

そんなふうに

 

止まっちゃって 言葉を返さないままにいたら

 

 

ー コンニチハ

 

  ヤサシクシテクダサイ

 

 

Yくんが

 

翅のないハエに アフレコで

 

セリフを入れてくれて

 

僕を見るので

 

 

ますます

 

立ち往生する 土曜日の午後でした

 

 

 

 

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