オミクロン協奏曲 | 38度線の北側でのできごと

38度線の北側でのできごと

38度線の北側の国でのお話を書きます

 映画を見ながら寝落ちした時点でおかしいと思っていた。確かに「ドライブ・マイ・カー」は長い映画だったが、これまで映画の最中にトイレに行くことはあっても(「君の名は」だ)、寝落ちすることはなかった。

 

 頭に鈍痛があった。普段痛くならない場所だから、変だなと思ったのだ。

 

 そして思った。これはオミクロンかも知れないぞと。

 

 翌日。倦怠感がどっと来た。繰り返すが、退屈な映画がもたらす遅効性の精神的な倦怠感ではない。「ドライブ・マイ・カー」は面白かった。肉体的な倦怠感。のどは違和感を訴えていた。

 

 熱を測ってみた。37.1度。あ、これはまずい。平熱が35.3度であることを考えると、かなりの問題だ。熱は上がったり下がったりを繰り返す。

 

 3日目。熱は37.3度。社内基準では自宅待機対象にならない」というので欠勤となる。午前中、熱は38.3度まで急上昇した。

 

 体温が38度線を越えてきた?まずい。まずいぞ。仁川上陸作戦が成立した。ここで人民解放軍を呼ばねば、平壌はもちろん鴨緑江まで押し戻される。そんなことを考えていたら午後に36度台に落ち着く。あれ?押し戻したか。シャワーを浴びて眠ると爽快感さえ感じた。国連軍を釜山から追い出せると思った。

 

 しかしのどの腫れがひどい。痰が絡む。

 

 ぼくの身体の中で唯一頑丈なのが、のどなのだ。ここがやられることはめったにない。10代のころ、まだナゴヤ球場があったころに、試合開始前から9回裏まで星野仙一とドラゴンズをやじり倒しても、1時間半の講演を2日で3回こなしても壊れなかった鉄の喉。それがやられていることにショックを受けた。

 

 翌日。熱は出なかったので出社。痰が出たが何とか働き切った。その翌日も。

 

 しかし、のどの違和感が消えない。のどを使う仕事ではあるが、なかなか回復が見られない。熱は35度台に戻った。ここで自治体のPCR検査を申し込むことにした。PCR検査を申し込んだ場合、会社に申請する必要がある。申請したところ、検査を受けるまで出社するなと言われた。給料は出ないので断ったところ、社内協議となり、何とか勤務が認められた。PCR検査の結果が出るまでは自宅待機。給料が出る。この違いがよくわからない。

 

 そこから2日働いてPCR検査に行ったのが昨日。結果は数日後に出ると言われた。会社には朝夕の検温結果を写メで送っている。35度台で推移していることに変わりはないが、のどの違和感がまだ消えない。もうすでに10日目を迎えている。

 

 万が一陽性となったらホテル療養を申し込もうと思っている。まだ予断は許さない。