華麗なる2019年7月 | 38度線の北側でのできごと

38度線の北側でのできごと

38度線の北側の国でのお話を書きます

 事の多くは飲み屋で決まると言うが、その仕事は軽井沢、あさま山荘から帰る車の中で決まった。

 

「選挙取材行かない?」。週刊金曜日の編集者のひとことに「選挙?」と返した声はひっくり返っていたはずだ。話はとんとん拍子に決まり「どこの党をやりたい?」と聞かれたので「社民党!」と即答した。

 

 おたかさんこと土井たか子氏が「山が動いた」と興奮を抑え話したことをぼくは覚えている。

 

 その社民党が危なかった。ギリギリで政党要件を取った。半蔵門の貸会議室の選対本部は重苦しい空気に包まれていた。そこに当事者としてぼくはいたのだ。

 

 選挙に行ったって何も変わらないじゃないか。そう思ったこともある。

 

 55年体制は既に終焉したとされているが、その片方の主役がいよいよ政党要件を失おうとしている。その瞬間に立ち会っている奇跡。ぼくはカメラを構えた。

 

 

 福島みずほ副党首の横顔は疲れていた。

 

 国民民主党と社民党、2党担当は正直きつかった。選挙事務所は緊張に満ちていた。争点が見えにくい、関心の薄い選挙ではあったがぼくはその緊張と、日本の政治の刻々とした変化を満喫した。

 

 政治記者と名乗るのはおこがましいが、最先端の現場にぼくは立っていた。

 

 華麗なる2019年7月---。ぼくはいつかそう振り返るだろう。あさま山荘と参院選の現場に立ったこの1か月を。