アガリスクエンターテイメント 十周年記念興行・第21回公演 
ナイゲン
(全国版)




【期間】 2015年10月9日(金)~12日(月) 全5回公演

【会場】 元・立誠小学校 音楽室(京都・河原町)

【脚本・演出】 冨坂友

【出演】
議長 …… 甲田 守
監査委員長 …… 沈ゆうこ(アガリスクエンターテイメント)
文化副委員長 …… 鹿島ゆきこ(アガリスクエンターテイメント)
文化書記 …… 金原並央
「Iは地球を救う」代表者 …… さいとう篤史(ジョナサンズ)
「3148」代表者 …… 榎並夕起
「おばか屋敷」代表者 …… 古屋敷悠(MU/ECHOES)
「海のYeah!」代表者 …… 斉藤コータ(コメディユニット磯川家)
「アイスクリースマス」代表者 …… 津和野諒
「ハワイ庵」代表者 …… 細井寿代
「花鳥風月」代表者 …… 淺越岳人(アガリスクエンターテイメント)
「道祖神」代表者 …… 信原久美子(コメディユニット磯川家)
「どさまわり」代表者 …… 塩原俊之(アガリスクエンターテイメント)

【ストーリー】
“自主自律”を旨とし、かつては生徒による自治を誇っていたが、今やそんな伝統も失われつつある普通の県立高校、国府台高校。
ある夏の日、唯一残った伝統にして、やたら長いだけの文化祭の為の会議“ナイゲン”は、惰性のままにその日程を終わろうとしていた。
しかし、終了間際に一つの報せが飛び込む。
「今年は、1クラスだけ、文化祭での発表が出来なくなります」
それを機に会議は性格を変え始める。
――どこのクラスを落とすのか。
かくして、会議に不慣れな高校生達の泥仕合がはじまった…!

【解説】
“劇団設立十周年を記念した初のツアー公演にして、最後のナイゲン再演興行!”
2006年に初演、その後2012年2013年と再演を重ねてきた、劇団代表作の青春群像会議コメディ『ナイゲン』。
2012年以降、複数の劇団や企画で上演され「会議劇の新しいクラシック」の呼び声も高い本作を引っ提げて、初のツアー公演を決行!
“教室でナイゲンを見る”東京試演会と京都公演から、収容人数約500人のイベントホール「新宿FACE」でのファイナルまで駆け抜ける、アガリスク史上最大の作戦。
姉妹作『紅白旗合戦』を経て、更なるリライト・ブラッシュアップを施して行う、劇団的に最後にして決定版の『ナイゲン』再演です。

【ナイゲンとは?】
屁理屈シチュエーションコメディ劇団・アガリスクエンターテイメントが上演する、高校の文化祭の代表者会議を舞台にした会議コメディ。
メンバーの母校でもある千葉県立国府台高校に実在する会議をモデルにしている。
会議に不慣れな高校生が文化祭の発表内容について話し合い、1クラスを落選審査する泥仕合をコメディとして描きつつ、「自治」「話し合い」の意義を問う青春群像劇。

【WEB】 http://naigen2015.agarisk.com/




小劇場のお芝居の舞台として、何度となく使われている元・立誠小学校。今回初めて訪れましたが歴史を感じさせる古い校舎でとても懐かしさを感じました。校内では演劇以外にもcafeをやっていたり、映画を上映していたりと、とても素敵なロケーションを有意義に使われていました。今回の「ナイゲン」は学校が舞台。高校と小学校という違いはあれど、とてもこの作品にあっていましたね。
また、入場の際に、作品のリーフレットと共に上記の手作り感ありありの昔懐かしいわら半紙の中綴じ冊子を渡されました。期間は「7月29・30・31日」とかなり過ぎていたので「なんなんだろう?」と思いましたが、上演前の前説で上演中で使用されるナイゲン(内容限定会議)の資料で、実際劇中キャストの生徒たちに配られ、手にしているものと同じ冊子という説明がありました。

さて、作品の方は、ナイゲンの一部始終を見せてくれる演劇でした。
『ナイゲン』とは、文化祭を前に各クラス1名の役員、それに総括する議長や監査などが集まって文化祭に向けての取り決めや約束事、各クラスごとの出す模擬店などの催し物などについて話し合う会議、『内容限定会議』の略称なのだ。
会議は終盤にさしかかった頃、職員室に議長が呼び出され、教師たちから今回の文化祭で、1クラスだけ従来の催しに差し替えて校内に省エネを呼びかけるエコキャンペーンの催し物をするため、そのクラスも今回ナイゲンで決定してくれと告げられる。
ナイゲンに戻り、議長はそのことを皆に報告すると、どのクラス今回の催しをあきらめてもらうのかが議論の中心になる。
どの役員もクラスの代表と来ている以上、我がクラスの催しを無駄にしたくはなかった。
話し合いではなかなか決定しないし、落選クラスを役員による投票により決定しようということになるのだが、どのクラスの役員も自クラスを生き残るために、弁論大会のようにプレゼンテーションを繰り広げ熱弁を振い、事故の模擬店や演劇がいかに楽しく重要であるかをアピールしあうのが、それだけでは終わらず、個人攻撃・スキャンダルなどなんでもありの吊るし上げ大会に発展。
そのたびに、票の行方はあっちへいったりと右往左往のなすくり合い。
激しい激論のバトルが繰り広げられるのだが、のちに3年1組の花鳥風月より演劇を上演関するにあたっての書類の不備が発覚。代表役員もこれを認め、「書類の不備であきらめ。自クラスでエコキャンペーンの催しを引き受ける」と言い、一件落着するかのような展開を見せる。

だが、3年3組どさまわりが今まで会議の大部分で長時間さきバトルしてきた内容を根底から覆す異議を申し立てる。
それは、「突然教師から『1クラス止めてエコキャンペーンをやれ!』と言われ、『はいそうですか』で、それでいいのか?、生徒が考え文化祭を創り上げる『自主自立の精神』ってなんだよ!」と、また「俺は賛同しない!」と言い出す。

役員一同一致の承認がないと追われないナイゲンなのである…。

いやー、面白かったですねー。どのキャストもキャラが立っていたし熱かった。
1シーンで2時間のお芝居でしたが、各キャストの見せ場をちゃんと作りながら飽きることなく、終盤に行くほど加速度を増し疾走していく、大爆笑のお芝居でした。
熱量も凄かった。1公演やるだけでも、皆さんかなり疲弊していることが安易に予想されるお芝居でした。
それだけに見ごたえ十分。今ロケーションはメインの客席がドーンとあって、舞台を挟む左右にも1列だけですが、客席があって三方から舞台を囲むような客席になってました。
できれば、違う角度からもう一回観たかったな~。
千秋楽では、キャストの演技も一層熱いものになったことが容易に想像できます。

今公演のフライヤーに「最後の再演」との文字がありますが、モッタイナイ!
劇団員の高齢化とか、そうゆうことを問題にしているのでしょうか?、初めて観た私としては再演を続けて欲しいと願う作品でありました。
高校や大学の演劇部さんが上演する作品としても、最適なんじゃないかなと思った作品でもありました。どこかでこの作品をまた観れることを願ってやみません。



大満足の満点です。東京公演を観れないのが残念です。

★★★★★